2月28日にシステム障害が発生したみずほ銀行のATM(2021年2月28日、東京・千代田区)
撮影:吉川慧
みずほ銀行は3月3日夜、全国28拠点のATMでシステム障害が発生し、キャッシュカードが戻らないトラブルなどがあったと発表した。
みずほ銀行によると、システム障害が発生したのは同日午後7時58分ごろ。時事通信によると、停止したのは東京都、千葉県、大阪府など28拠点29台のATM。飲み込まれたキャッシュカードは、現場では支店や警備会社の従業員らが対応。リモートでも監視センターから遠隔操作し、順次返却したという。
同日午後11時10分現在はいずれも復旧しているという。不具合の原因について、みずほ銀行は「ハードの不具合によりシステムセンター間のネットワーク瞬断が発生した」「2月28日に発生した定期性預金のデータ更新作業に起因するシステムトラブルとは別の要因で発生した」と説明している。
みずほ銀行は3月3日夜、システムトラブルについて陳謝するメッセージを公式サイトに掲出した。
出典:みずほ銀行公式サイト
みずほ銀行、繰り返される大規模障害 2月28日にも…
2月28日発生のシステム障害について説明するみずほ銀行の張り紙(2021年3月1日、東京・千代田区)
撮影:吉川慧
みずほ銀行をめぐっては、2月28日〜3月1日にかけて全国的なシステム障害が発生。ATMが使えなくなったり、キャッシュカードが返却されない問題がおこった。
みずほ銀行の藤原弘治頭取は3月1日、記者会見で「お客様にご迷惑、ご不便をおかけした」と謝罪。25万件の定期預金データの月末定例更新と45万件の不稼働の定期預金データの不定期更新が重なり、システムの処理能力を超えたことなどが原因だと説明した。
日本経済新聞によると、ピーク時は全体の8割の約4300台のATMが使えなくなり、ATMにカードや預金通帳が吸い込まれた事例は計5244件にのぼったという。
2月28日に発生したシステムトラブルについて説明、陳謝するメッセージ。
出典:みずほ銀行公式サイト
28日は月末の日曜日だったことも災いした。システム障害が発生した店舗では顧客が長時間待たされたり、監視センターに電話がつながらなかったりなどの問題が起こった。
各支店ではシステム障害を知らずに来店した客に、別の客が「いまATMが使えない」と注意を呼びかける場面も。最寄りの警察がキャッシュカードを飲み込まれた顧客から状況を聞く事態などもみられ、銀行側のトラブル対応の遅れが問題視された。
みずほ銀行では、過去にも大規模なシステム障害を起こした経緯がある。
みずほ銀行は2002年、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行の3銀行の再編で誕生したメガバンクだ。ところが、複数の銀行をまたいだシステム統合は至難を極め、発足直後からトラブルが発生。10年前の東日本大震災後にも大規模なシステム障害を起こした。
2019年7月には基幹システムを刷新し、新たな勘定系システム「MINORI」に移行。これをもってシステム統合は完了したが、それから1年8カ月で全国的なシステム障害がまたも発生したことになる。
金融庁「報告徴求命令」を発出
金融庁は3月3日までにみずほ銀行に対し、報告徴求命令を出した。システム障害が発生した経緯や原因について詳しく調べ、報告するよう求めている。銀行法24条では以下のように定められている。
銀行法24条 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行(当該銀行を所属銀行とする銀行代理業者を含む。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
報告内容によっては立ち入り検査や業務改善命令などの行政処分が下される。報告徴求命令に対して事実と異なる報告をしたり、資料の提出や報告を拒否した場合は懲役、罰金を科される可能性がある。
(文・吉川慧)