北磁極の上空で「宇宙ハリケーン」が起きていた…人工衛星の観測データを解析して判明

宇宙ハリケーンのイメージ図。

宇宙ハリケーンのイメージ図。

Qing-He Zhang/Shandong University

  • 科学者たちは新しい研究で、2014年8月に初めて「宇宙ハリケーン」を観測していたと発表した。
  • その嵐は北磁極の上空200kmで渦巻いていた。
  • 宇宙ハリケーンは水の代わりに電子を降らせ、人工衛星に大混乱をもたらす可能性がある。

通常のハリケーンは衛星画像で簡単に見つけることができる。ハリケーンは地球の表面に近い大気の最下層で発生し、大雨や強風をもたらす。

「宇宙ハリケーン」はまったく別のものだ。

2021年2月発行された「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された研究によると、史上初の宇宙ハリケーンが観測されたという。2014年、人工衛星が北極上空200km以上にある渦巻状の塊を観測していたのだ。

通常のハリケーンが空気の渦巻であるのに対し、 宇宙ハリケーンは太陽系全体で見られる超高温の荷電ガスの一種、プラズマの渦だ。

そして、この嵐は雨の代わりに電子のシャワーをもたらす。

レディング大学の宇宙科学者で、この研究の共著者であるマイケル・ロックウッド(Michael Lockwood)は、プレスリリースで次のように述べている。

「これまで、宇宙のプラズマ・ハリケーンが存在するかどうかさえ定かではなかったので、このような衝撃的な観測で存在を証明できたのは信じられないことだ」

宇宙ハリケーンは、幅1000km以上で、電離層の中の高さ80kmから950km付近に形成されていた。ロックウッドと共同研究者は、衛星のデータを使用して3Dモデルを作成した。

人工衛星に大混乱をもたらす可能性も

宇宙ハリケーンは8時間続いた。反時計回りに渦巻き、渦巻銀河のように、中心からいくつかの渦巻腕が伸びていると研究者は述べた。

NASAのハッブル望遠鏡で撮影されたNGC1566渦巻銀河。

NASAのハッブル望遠鏡が撮影した渦巻銀河「NGC1566」。

ESA/Hubble & NASA

ロックウッドと共同研究者は衛星のデータをコンピューターに取り込み、モデル化することで、その原因を解明した。太陽の上層大気であるコロナから放出される荷電粒子が原因であることを発見したのだ。

太陽粒子とコロナプラズマの定常的な流れは太陽風として知られている。その速さは時速約160万kmだ。

ロックウッドは「宇宙ハリケーンは、太陽風のエネルギーと荷電粒子が、地球の上層大気に異常に多く、急速にやってくることによって発生すると見られる」と述べた。

太陽風が地球に到達すると、地球の磁場に遭遇する。地球は、その外核で液体の鉄とニッケルが渦巻き、電流を発生させるため、磁場を持つ。この磁気圏は、太陽からの致命的な放射から惑星を保護しているが、太陽から来たプラズマの一部も保持している。

地球の磁場は太陽放射からこの惑星を守っている。

地球の磁場は太陽放射からこの惑星を守っている。

NASA Goddard / Bailee DesRocher

一般的に、太陽風はこの保護膜をかすめていく。しかし時折、入ってくる荷電粒子やプラズマがあり、閉じ込められたプラズマや電界と相互作用することがある。そのような相互作用は、磁気圏の乱れを引き起こす。

2014年の宇宙ハリケーンは、そのような現象によるものだった。

研究では、地球の磁場と太陽の磁場の断片(太陽風に乗って運ばれたもの)との間の相互作用が、嵐を形成したことを示唆している。

通常、磁場が混ざり合うことはない。しかし、別の磁場が近づくと、磁場の一部が再整列し、さらには融合して、磁気エネルギーの新しいパターンを形成することもある。宇宙ハリケーンがあった日には、これが起こった可能性が高い。太陽風エネルギーの異常な流入が、地球の北磁極の上に新しいパターンを形成したのだ。

この嵐は、宇宙から地球の大気圏への導管として機能し、電子を惑星へと送り込んだ。

その粒子の雨は、我々の高周波無線通信、レーダー探知システム、または人工衛星技術に大混乱をもたらしたかもしれないと研究の著者は述べている。地球の磁場から染み込んだ荷電粒子は、人工衛星や国際宇宙ステーションのコンピュータなどの誤動作を引き起こす可能性があるが、幸いなことに、今回の場合は何の問題も報告されていない。

他の惑星でも宇宙ハリケーンが発生する可能性がある

アメリカ自然史博物館のプラネタリウムショー「WorldsBeyondEarth」の木星の磁場のイラスト。

アメリカ自然史博物館のプラネタリウムショー「WorldsBeyondEarth」の木星の磁場のイラスト。

Aylin Woodward/Business Insider

ハリケーンが発生する惑星は地球だけではない。火星、土星、木星でも同様の現象が発生している。しかし、太陽系の惑星の大気圏上部にもハリケーンがあることを発見したのは、今回が初めてのことだった。

ロックウッドは、磁気圏を持つ惑星や衛星であれば、宇宙ハリケーンが発生する可能性があると考えている。そして、金星と火星を除く太陽系のすべての惑星にはそれがある。

「惑星の磁場と大気中のプラズマは宇宙に広く存在しているので、今回の発見は、宇宙ハリケーンがよく見られる現象であることを示唆している」と彼は述べている。

[原文:Scientists spotted a 'space hurricane' swirling above the magnetic north pole. It was raining charged solar particles.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み