AP/Elaine Thompson
- アマゾンは3月4日(現地時間)、アメリカ以外で初となる実店舗をイギリスのロンドンでオープンした。
- この店ではカメラと重量センサーを使って客が何を購入したか探知し、費用を請求する。
- 総菜や食料品、アマゾンのデバイスなどを販売するという。
アマゾンは4日、アメリカ以外で初となる実店舗「Amazon Fresh」をイギリスのロンドンでオープンした。
"レジなし"のこの店はロンドン西部イーリング地区にあり、その仕組みはアメリカですでに営業している実店舗「Amazon Go」と同じだ。
ロンドンのこの新しい店では「by Amazon」と呼ばれるイギリスのプライベートブランドの食料品を扱い、客は会計の列に並ばずに済む。
店の入口のゲートは、客がスマートフォンのアプリをスキャンすると開く。天井に設置されたカメラと陳列棚の重量センサーが、客が何をカートに入れたり戻したりしたかを探知し、料金は客が店を出た後、登録済みのクレジットカードで自動で決済される。
店の広さは約2500平方フィート(約230平方メートル)と一般的なスーパーに比べてかなり狭く、総菜や食料品、アマゾンのデバイスなどを販売する。オンラインで注文した商品を受け取ったり、返品するカウンターもある。
ロンドンで新店舗を開いたのは、アマゾンが食料品を世界各地で販売しようとしていること、人々が食料品 —— 同社がまだ支配していない分野 —— に使う大金を勝ち取るには実店舗がカギだと考えていることの証だ。
この目標の向け、アマゾンはアメリカで2017年にホールフーズ(Whole Foods)を買収している。
また、独自の店舗形態 —— "レジなし"のコンビニエンスストア「Amazon Go」20店舗、シアトル地域に食料品店「Amazon Go Grocery」2店舗(広さはロンドンの店舗の約4倍)、カリフォルニア州とイリノイ州に食品スーパー「Amazon Fresh」10店舗 —— も立ち上げている。
アマゾンが2018年に初めてオープンした「Amazon Go」はロンドンの新店舗同様、カメラとセンサーを使って客と商品を追跡することで、客が物理的にレジで会計を済ませることなく、商品を持って店を出ることができた。アマゾンはこれらの店舗で使用されているソフトウエア「Just Walk Out」のサードパーティーの小売業者への販売も強化している。
2020年9月には、手のひらをかざすことで支払いができる生体認証スキャナー「Amazon One」を導入。Amazon Goの決済で利用できるだけでなく、アマゾンはこちらも他の店や競技場、オフィスなどに販売する計画だ。
小売業者に店舗の自動化に必要なソフトウエアやハードウエアを提供しているAiFiのCEOスティーブ・グ(Steve Gu)氏によると、新型コロナウイルスのパンデミックで、一部の人々は非接触の買い物を「必要不可欠」と見なすようになったという。
グ氏は、パンデミックがこうした自律型店舗 —— こうした店では客がレジ係とのやりとりを回避できるだけでなく、ソーシャル・ディスタンスを取るのが難しい会計の列に並んで待つことも避けられる —— の市場への導入を促進したとInsiderに語った。
「今回の出店の成功は、アマゾンが店内の顧客にパーソナライズ化された体験を生み出し続けられるかどうかにかかっている」とマーケティング・プラットフォーム「Iterable」のヨーロッパ・中東・アフリカ地域のマーケティング責任者エル・ナダル(Elle Nadal)氏はInsiderに語った。
「オンライン小売りに合わせたそのアプローチが、彼らの今日のビジネスにつながった。顧客は効率とパーソナライズ化のマリアージュを期待している。それがアマゾンにこれまで良い結果をもたらしてきた」
(翻訳、編集:山口佳美)