「地図はすぐに古くなるけれど、真北を常に指すコンパスさえあれば、どんな変化にも惑わされず、自分の選択に迷うこともない」
そう語る山口周さんとさまざまな分野の識者との対話。
第4回目の対談相手は、解剖学者の養老孟司さん。人工物で作り出された都市を「脳化社会」として身体性の喪失について警鐘を鳴らし、新刊『AIの壁』では人間の知性を問い直しています。コロナ禍で地方に拠点を移す人が増えてきた現状をどう捉えているのでしょうか。
山口周氏(以下、山口):新型コロナという1年半前には想像しなかったことが起こりました。先生は以前から一種の思考実験として「鎖国してみたらいいんじゃないか」とおっしゃっていましたが、事実上そうなった。環境が劇的に改善されるなど良い側面も注目されていますが、この事態をどうご覧になっていますか。