大手3社のオンライン専用料金、特徴と注意すべき点は?
画像:各社公式サイトの情報をもとに、編集部が作成
オンライン専用プラン「ahamo(アハモ)」「povo(ポヴォ)」「LINEMO(ラインモ)」が3月17日以降、順次提供が始まる。
いずれも月間20GBで3000円を切る価格を実現しているなど共通している部分は多いが、細かな特徴の違いや注意点もある。
新規加入や乗り換えを考えている場合、最近公開・更新された要素もあるのであるので、改めて確認してみよう(※以下は2021年3月9日時点の情報を元に作成)。
NTTドコモ「ahamo」
NTTドコモが2020年12月に先陣を切って発表した「ahamo」。
撮影:小林優多郎
- 基本料金:月額2970円(税込)
- データ容量:月間20GB
- 音声通話:1回につき5分間無料、5分以降は30秒あたり20円(税別)
- その他の特徴:基本料金・データ容量の範囲内で、82カ所の国や地域でデータローミングが利用可能。
【基本】音声電話を利用するなら最安値
ahamoは3プラン中唯一、基本料金に「1回につき5分間無料」の通話無料分が含まれている。そのため、最低月額料金だけを比較すれば最高値だが、通話無料分のオプションを含めた形では最安値となっている。
いまは新型コロナウイルス感染症拡大により海外に行く機会は減っているが、海外データローミングに追加料金がかからない点も、ほかのキャリアのプランにはないahamo唯一の点だ。
基本料金内で海外データローミングができるのはahamoだけ。
撮影:小林優多郎
また、家族割(NTTドコモの場合、ファミリー割引)のカウント対象に常時なるのはahamo唯一だ。家族が「ギガホ/ギガライト」などの既存プランを契約中でも、家族の割引額は変わらない。
【注意点1】既存ドコモユーザーにとっては意外な違いがある
ahamoへ移行しようとする人でd払い残高(ドコモ口座の残高)がある人は要注意。
撮影:小林優多郎
NTTドコモはahamoをあくまでも新しい料金プランとしているが、ahamo登場当初から既存の料金プランと大きく異なる点がある。
直近では、spモード決済まわりの仕様の違いが話題だ。dメニューなどから契約したファンクラブなどの月額会費がかかるサービスに登録している場合、ahamoはspモード決済に非対応のため、移行時に自動解約となってしまう。
また、NTTドコモ自身が注力するキャッシュレスサービス利用者も注意が必要だ。ahamo移行時にはdポイントカード利用者情報が更新される関係で「ドコモ口座」(d払い残高)も廃止になる。廃止前にもっていた残高は返金されるが、550円の手数料がかかる場合がある。
【注意点2】dカード GOLDの特典は悩ましい
dカード GOLD特典は、従来プランとahamoでは大きく違う。
出典:NTTドコモ
加えて、年会費1万1000円の「dカード GOLD」契約者もカード契約による特典の内容が変わる。特に大きいのは、従来プランでは対象となっていた毎月のドコモ通信料1000円(税別)につき100ポイント(最大10%)還元が、ahamo利用分については対象外となるところだ。
その分、ahamo利用者向け特典として、dカード GOLDの利用額100円(税込)につき10ポイント(毎月最大300ポイント)付与される。9月からはデータ容量が毎月5GB(2750円税込相当)追加される。
例えば、4月1日から始まる無制限プラン「5Gギガホ」の場合、月額7315円(税込)=月額6650円(税別)でdカード GOLD契約者なら毎月600ポイントがもらえる。そう考えると9月1日以降のahamoのdカード GOLD特典は金額にすれば約3000ポイント程度となるので、比較的おトク……と考えることもできるだろう。
KDDI「povo」
「povo」を発表するKDDIの髙橋誠社長。
出典:KDDI
- 基本料金:月額2728円(税込)
- データ容量:月間20GB
- 音声通話:30秒あたり20円(税別)
- その他の特徴:「+200円(税別)で24時間データ使い放題」などのトッピング機能
【基本】現状最もシームレスに移行できるプラン
基本的なプランの構成としては特筆すべきところはない。音声通話は基本は従量課金制で、月額+500円で1回につき5分間無料、月額+1500円で通話し放題のオプションが用意されている。
一方で、キャリア決済という意味では、3キャリアで比べると最も現行のauユーザーが移行しやすいサービス内容になっている。
KDDIは「auかんたん決済」という通信料合算のサービスを提供しているが、auからpovoに移行した際も、とくに解約などはおきずに利用し続けられる。
povoの動作確認が済んでいる端末リストには、SIMフリースマートフォンもいくつか並んでいる。
撮影:小林優多郎
また、動作確認端末にはiPhoneやKDDIのAndroidスマートフォン以外にも、SIMフリー端末が(やや偏りはあるが)多く列挙されている点も安心して使えるポイントだろう。
【注意点】いまだにサービス内容が不明瞭な点も
povoのトッピングは斬新だが、まだその全貌は明らかになっていない。
出典:KDDI
povoは3月23日にスタート予定だが、いまだにサービス内容がハッキリしない点がある。
とくに同社が「必要な時だけ、必要な分だけ」という、新しいオプションの形“トッピング”だ。前述の通話無料分の追加とデータ量の追加、そして「200円課金で1日無制限」以外には明らかになっておらず、どんなユーザー体験でトッピングのON/OFFができるかもわからない。
また、国際データローミングについても「提供予定」としており、いつ使えるようになるかは明らかになっていない。コロナ禍明けの旅行やビジネスなどで海外利用を考えている人は頭に入れておいた方がいいだろう。
ソフトバンク「LINEMO」
ソフトバンクの「LINEMO」は、LINEとの取り組みを全面に押し出している。
撮影:小林優多郎
- 基本料金:月額2728円(税込)
- データ容量:月間20GB
- 音声通話:30秒あたり20円(税別)
- その他の特徴:LINEの各種サービスのデータ量のカウントがゼロ。
【基本】LINEがストレスなく使える&eSIM対応など独自要素が多い
LINEギガフリーにより、LINEトーク画面でのメッセージやスタンプ・画像・動画などの利用、タイムラインへの投稿、検索の利用などのLINEの一部サービス・機能のデータ容量がノーカウントになる。
LINEの音声通話・ビデオ通話もLINEギガフリーの対象となるため、友だちや家族とのコミュニケーションであれば音声通話を全く使わない、ということも可能だろう。
物理SIMのいらないeSIMは、契約から回線開通までをスムーズにする(写真はPixelにIIJのeSIMをインストールしたところ)。
撮影:小林優多郎
また、3プランで唯一、サービス開始当初から「eSIM」の発行に対応している点も注目だ。
eSIMは現状でSIMフリー版の「iPhone XS」(2018年9月発表)以降のiPhoneや、「Pixel 4」(2019年10月発表)以降のPixelなどが対応している。
eSIM対応端末は限られているが、eKYC(オンラインでの本人確認)からeSIM発行、開通まではソフトバンクによると「最速1時間」と非常に短い点は他社プランにない魅力と言える。
【注意点】LINEギガフリーの対象とZHD系サービス特典に注意
LINEMO契約時は、ソフトバンク・ワイモバイルのようなPayPayに関する特典がなくなる。
撮影:小林優多郎
キャリア決済「ソフトバンクまとめて支払い」は非対応(4月以降対応)、家族割の対象にならない、キャリアメールは使えないなど、いくつか制限がある点はほかのキャリアのプラン同様だ。
また、LINEギガフリーといえど、LINEマンガやLINE MUSICなどのLINEファミリーアプリの利用のデータプランは無制限ではない点も注意。
加えて、既存のソフトバンク・ワイモバイルユーザーの場合は、月額508円(税込)の「Yahoo!プレミアム」の月額会費が発生しなかったり、PayPayも各種還元キャンペーン時の優遇があるが、LINEMOにはそれらの特典はない。ヤフーやPayPayヘビーユーザーなら留意する必要がある。
(文・小林優多郎)