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- ユニリーバ(Unilever)は、商品パッケージに「ノーマル(普通)」という言葉を使用するのを止める。よりインクルーシブであるためだ。
- 広告に使用するモデルのからだや肌の色を調整するのも止めるという。
- 同社が1万人を対象とした国際的な調査を実施したところ、回答者の50%以上が「ノーマル(普通)」という言葉に自分は排除されているように感じると答えたという。
ユニリーバは、バス・美容商品のパッケージに「ノーマル(普通)」という言葉を使用するのを止めることに決めた。よりインクルーシブな企業であるためだ。
広告に使用するモデルのからだや肌の色を調整するのも止めるという。
このブランディング・アプローチの転換をユニリーバは2022年3月までに行うとしていて、肌のタイプや髪質を説明する言葉として使われている「ノーマル(普通)」という言葉をユニリーバの100を超えるブランドから取り除く計画だ。
「グレーヘア用のシャンプー」「潤いを補うスキンクリーム」といった、より具体的な表現に置き換えるという。
ユニリーバがこの決断に至ったのは、同社が1万人を対象に実施した国際的な調査がきっかけだ。回答者の半数以上が肌や髪の状態を説明する時に「ノーマル(普通)」という言葉が使われていると、自分が排除されているように感じると答えた。また、回答者の70%が広告に使用される「ノーマル(普通)」という表現にネガティブな印象があると答えたという。
「『ノーマル(普通)』という言葉を取り除いただけでは、問題の解決にはならないと分かっています。それでもこれはよりインクルーシブな美の定義に向けた重要なステップだとわたしたちは考えています」とユニリーバのビューティ・パーソナルケア部門の社長サニー・ジャイン(Sunny Jain)氏はロイターに語った。
同社は、かつて白人や西洋の美の理想を押し出した広告で批判されたこともあった。
インドでは、商品名がダークな肌の色に対する負のステレオタイプを固定化させるとの消費者からの指摘を受け、最もよく売れている美肌商品の名前を「Fair & Lovely(色白&かわいい)」から「Glow & Lovely(輝く&かわいい)」に変えた。
同社の主要ブランドの1つ「ダヴ(Dove)」も、黒人女性がトップスを脱ぐと、白人女性に変わる広告で批判にさらされた。ソーシャルメディアで、この広告は「人種差別的」だと指摘された。
直近では、同社のヘアケア・ブランドの1つ「TRESemmé」が、その広告の1つでアフリカの人々の髪を「縮れて冴えない」「乾燥して傷んだ」と分類したことで、南アフリカの小売店から全ての商品を引き上げざるを得なくなったと、BBCが2020年9月に報じている。
(翻訳、編集:山口佳美)