イギリスのエリザベス女王と王室の面々。
Chris Radburn/Reuters
- イギリス王室は、ヘンリー王子とメーガン妃の主張に対して内々に対処すると述べた。
- 危機管理コミュニケーションの専門家は、これがまったく空虚な言葉である可能性を指摘している。
- この対応は、エリザベス女王の悲しみと分裂した家族関係を表しているのかもしれないという。
オプラ・ウィンフリーとのインタビューで、ヘンリー王子とメーガン妃が衝撃的な告白をした後、世界中が王室の公式回答を待っていたが、それは3月9日に発表された。
エリザベス女王の代理としてイギリス王室が発表した声明では、ハリー王子夫妻の主張、特に人種差別に関する主張に関心を抱いており、内々に対処すると述べている。
ヘンリー王子夫妻はウィンフリーに対し、彼らの息子のアーチーが生まれる前、肌の色がどれだけ黒いかについて「懸念する会話」があったと語ったが、発言した人物の名前を挙げることはしなかった。ウィンフリーは後に、それは女王やフィリップ殿下ではないと述べている。
広報会社ヘラルドPRの社長で、危機管理コミュニケーションの専門家であるジュダ・エンゲルマイヤー(Juda Engelmayer)は、王室の公式声明が示唆する宮殿の壁の向こう側で起こっていること、そしてこのスキャンダルが君主制にとって持つ意味についてInsiderに語った。
バッキンガム宮殿が述べたこと
声明の中で、王室は「ここ数年がハリーとメーガンにとってどれほど困難であったかのを知り、悲しく思っている」と述べている。
「提起された問題、特に人種に関する問題は気になるところだ。いくつかの記憶が異っているかもしれないが、非常に深刻に受け止めており、ファミリーが内々に対処する」と続け、「ハリー、メーガン、アーチーは常に愛されている家族の一員だ」と結んでいる。
専門家が読み解く、この声明の意味
エンゲルマイヤーは、バッキンガム宮殿の声明は、分裂した王室に対するエリザベス女王の悲しみや不満を示しているのではないかと考えている。
インタビューでは、家族内の軋轢が前面に出ており、ヘンリー王子は、メーガン妃と一緒に王室生活から身を引く前に父チャールズ皇太子が電話に出なくなったとウィンフリーに語っている。また、ヘンリー王子は兄のウィリアム王子とは「別の道を歩んでいる」と2回も言い、メーガン妃はキャサリン妃に泣かされたと語っているが、これは以前にイギリスのタブロイド紙が報じたのと逆の話だ。
「女王はそれを痛感しているのだと思う」とエンゲルマイヤーはInsiderに語り、王室内の軋轢について語った。
声明では、ヘンリー王子子一家は「とても愛されている家族の一員」とされているが、エンゲルマイヤーは、女王は「誰とも話をしないことや幸せな大家族ではないと認める準備がまだできていないのだろう」と語った。
バッキンガム宮殿の回答では、王室はメーガン妃とヘンリー王子が提起した人種に関する問題を「非常に真剣に」受け止めるとしているが、エンゲルマイヤーは、これは空虚な言葉かもしれないと考えている。
「我々は今、社会の転換期にいる。ここ数年のあらゆる運動や政治を考えると、人種差別の叫びは手を振るだけでは消えることはない」
エンゲルマイヤーは「内々で対処する」と述べるだけでは不十分だと言う。王室は、この問題に対処するための本当に歩みだしていることを人々に示す必要があると。
王室メンバーと広報担当の断絶
メーガン妃がウィンフリーに話したことが事実であれば、「ファミリーのメンバー、女王、広報担当の間に何らかの断絶があることを示している」とエンゲルマイヤーは述べています。
エンゲルメイヤーは、すべての話には2つの側面があると思うと付け加えた。
「メーガンの話したことが100%真実だったとは思わない。それは彼女の認識であり、我々がどう思いたいかということでもある。その中間に(真実が)あることを期待している」
メーガン妃がキャサリン妃を泣かせたというタブロイド紙の記事(メーガン妃はウィンフリーに、実際に起こったこととは正反対であると語った)について、エンゲルマイヤーは、この記事が報道機関にリークされた時点で、宮殿はこの件をうまく処理できていなかったのではないかと述べた。この話が嘘だというメーガン妃の主張が正しいとすれば、王室はウィリアム王子がチャールズ皇太子に続く王位継承者であることから、キャサリン妃に有利になるようにしたかったのではないかという。
また、彼は、この記事に関して王室の広報担当部署内でどのような会話が展開されたと思われるかについても述べている。
「たとえそれが、メーガン妃を犠牲にするようなことであっても、それは、メーガン妃を傷つけるためではなく、伝統を守り、君主制を守っていくためのものだ」
そして「拙速な行為で誤算があったと思うが、悪意というよりは、標準的な伝統に基づいたものだと思う」と付け加えた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)