- 中国では「空巣青年」が「社会の脅威」となっているという考えをめぐって、ネット上で激論が交わされている。
- 中国政府が公表した統計は、"独身ひとり暮らし"の数がここ3年で約1500万人増えたことを示している。
- こうした独身者たちは自分の選択でそうしているのか、自分たちではどうにもならない環境のせいでそうなっているのか、論争となっている。
「独身ひとり暮らしは大罪じゃない。もしそうなら、わたしたち9200万人は地獄へ落ちることになる」
これはネット上で「Baobao」と名乗る29歳の女性の心情だ。広州在住のBaobaoさんは「生涯独身」を自認している。彼女はひとり暮らしをしている中国の若者9200万人のうちの1人だ。
中国政府が3月上旬に公表した統計は、"独身ひとり暮らし"の数が2018年より約1500万人増えたことを示している。
Baobaoさんのような中国の若者たちは「空巣青年」と呼ばれている —— 本人の選択かどうかにかかわらず、恋人を探したり、結婚したり、子どもを持つことなく、ひとり暮らしをしている若者のことだ。
空巣青年は、中国最大のミニブログWeibo(微博、ウェイボー)で注目の話題となっている。
そのきっかけとなったのが、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で政治局が「こころとからだの健康に関するサービス」を提供することで「空巣青年の結婚、恋愛の問題」により多くの注意を払うと示されたことだ。
People.cnによると、空巣青年は中国の出生率に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が高まっているという。
中国のニュースサイト「Dazhong」では読者を対象に、なぜ「空巣生活」を選ぶ独身者が増えているのか、世論調査を実施した。
すると、回答者の約41%が主な理由として「積極的に独身を選んでいる。無意味な恋愛関係のもつれにうんざりしている」を挙げた。回答者の38%は、空巣青年は「家庭を持つ責任から逃げている」人々の選択だと答えた。
一方、回答者の13%は「生活面、経済面でのプレッシャー」のせいでひとり暮らしを余儀なくされていると答え、回答者の約7%は「本物の愛を見つけられない」からだと答えた。
では、中国の若者たちはこの「空巣青年」現象をどう考えているのだろうか? 見方は分かれるようだ。
「デートアプリはいくらでもあるし、独身でいる理由がない。ものすごく背が低いか、不細工か、お金が全然ないかだろう。家族のこと、息子が妻を見つけられないことで家族にかかせる恥を考えるべきだ」と北京在住の28歳のWeiboユーザー、HuTaoPuTaoさんは言う。
その一方で、「空巣青年」生活を自分で選んだかどうかにかかわらず、自分の人生は自分の好きに生きていいじゃないかと考える人たちもいる。
「ひとりでいて幸せなのに、どうして妻や子どもを負担しなければいけないのか?」と南京在住の33歳のYouyouZiさんは言う。
「不名誉だなんて思わない。ぼくたちは新しい世界に生きているんだ」
上海在住の31歳のWuXiさんは「今は21世紀。一生懸命働いて、遊んで、お金もいっぱいある」と言う。
「わたしが20匹の猫と一緒に売れ残った女としてひとりで生きて死にたいなら、それはわたし以外の誰にも関係ないことよ」
(翻訳、編集:山口佳美)