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「スーパースター幹部チーム」が崩壊する2つの理由…アベンジャーズは現実には難しい?

スーパーチーム

Shutterstock.com/yurakrasil

理想の組織とはどんなものでしょうか。アベンジャーズ(アメリカのヒーローキャラクターがチームとなって戦う映画)のように、個性を持った一人ひとりが集結して、力を合わせて強大な敵と戦う、そんな組織は答えの一つかもしれません。

ところが現実的には、スーパースターが集まったチームが失敗することも多々あります。

史上最強打線とうたわれた2004年の巨人は、どのチームでも4番バッタークラスとなれる人を集めて、シーズン最多259本塁打を残しながら優勝できませんでした。著名人ばかりで構成されたファンドが何らかの理由で瓦解してしまったのも記憶に新しいところです。

そういうことが起こる理由は、人事のプロ目線でみると、そこまで不思議ではありません。

よく言われるように、「組織の力は個人の力の単なる足し算“ではない”」からです。

例えば、強い力を持った二人が、互いに反対方向に組織を引っ張れば、結局その力を打ち消し合うことになってしまいます。また、同じような力を持った人が何人もいても、仕方がないことだってあります。

エグゼクティブクラスの採用は、実は難しい

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Shutterstock

エグゼクティブクラスの採用が難しいのにはいくつか理由があります。

まず一つは、「配属した先でうまくいかなかった場合に、別の部署に異動して再起を図る」ことが困難だということがあります。

これは、若手のメンバークラスの採用とは大きな違いです。

いわゆるCXOレベル(企業幹部)ともなると、もちろん一人1ポジションですから、まさに「余人をもって代えがたい」わけです。その人がもし機能しなかったり、チームと不適合を起こしたりしても、本人だけのせいかどうかもわからないケースもあります。

エグゼクティブクラスまで上り詰めるような方ですから、一癖も二癖もあったとしても、何らかの突出した能力が必ずあります。ただし、万人に言えることですが、一緒に働くとなると、自由が好きな人もいれば、厳格な目標に燃える人もいます。

これはエグゼクティブのようなスーパースター人材でも同じです。ここが合わなければ、後々問題になる可能性があります。

「スーパースターを評価するのは失礼」なのか

二つめは、意外と見落とされている点かもしれません。

一般論ですが、転職ではそれなりに難しい入社試験や適性検査が課せられるケースは珍しくありませんが、エグゼクティブクラスのハンティングなどでは、「適性検査を受けるほうが稀」です。

おそらく、受け入れ企業側には実績のあるスーパースター人材を細かく評価していくことが「失礼なのではないか」という気持ちがあり、またエグゼクティブの側も、「そんなに細かく評価しなければならないなら、自分に声がけなどしなければいい」「信じてくれていないのであれば、行きたくない」と思いがちだからでしょう。

人は期待されると意気に感じて動くものです。しかし、そういう気持ちのために、結局、ミスマッチが生じる可能性があるのだと考えます。

本当はエグゼクティブ採用ほど慎重であるべき

エグゼクティブクラスの加入は、もちろん突然行われるわけではありません。いろいろな幹部メンバーと会食を繰り返してマッチングを判断する、ということもあります(最近の社会環境では難しくなりましたが……)。

ただ、これも見方によっては一つの落とし穴です。酒席は確かに仲良くなれるかもしれませんが、決して「精度の高い評価」ができる場ではない、というのが私の考えです。

本来は、(組織への影響力が大きい)エグゼクティブ採用ほど、慎重に評価すべきです。何人も何人も社員に合わせたり、適性検査を受けてパーソナリティー上のミスマッチがないか確認したり、価値観や志向などにズレがないか調べたほうがいいのです。

「日本にリーダーが足りない」のか?

日本人

Getty Images/RunPhoto

「日本にはリーダーが足りない」と世の人はよく言います。私がいろいろな会社のリーダー層を見てきて思うのは、単純に生かしきれていない、もっと言えばつぶしてしまっているケースもあるのではないかということです。

某大手アパレルで創業者が若い社長をヘッドハンティングしてきたものの、早々にうまくいかず物別れに終わったり(その後、その社長はご活躍されているところを見れば、決して能力不足などではないことがわかります)、某大手通信会社では、外国人の後継者候補が就任したあと、1年ぐらいでお別れしたりと、エグゼクティブ人材のミスマッチ例は枚挙にいとまがありません。

メンバー間に力の差があれば、どちらかが折れてなんとか和が成り立つのでしょう。

しかし、スーパースター同士だと力が拮抗して、長期の闘争か冷戦になってしまいます。それでは組織は成長しませんし、才能の無駄遣いです。エグゼクティブクラスこそ、精査してチーミングをすべきだと、私は思います。

(文・曽和利光


曽和利光:京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長を歴任し、2011年に株式会社人材研究所設立。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。近著に『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』。そのほか『コミュ障のための面接戦略』、『人事と採用のセオリー』などの著書がある。

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