増加する「後払い決済」サービス。今後優位なビジネスモデルとは?:eMarketerレポート

BNPL

Getty Images/Oscar Wong

「BNPL(Buy Now Pay Later:後払い決済)」の人気が高まり続けている。無利息で分割払いができる新たな支払い方法へのニーズが、新型コロナウイルスの流行によってさらに増えたためだ。市場の拡大に伴い、金融サービス企業の間の競争も激化している。

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アメリカの消費者がBNPL決済を利用する理由。「クレジットカードのように金利が発生しない」「予算以上の買い物ができる」「審査なしで利用できる」「クレジットカードを使いたくない」「クレジットカードの審査を通らなかった」「クレジットカードを限度額まで使ってしまった」「銀行口座を持っていない」

Insider Intelligence

インサイダー・インテリジェンスは、BNPLサービスを提供するさまざまな企業について解説し、変化するマーケットでそれらの企業が優位性を獲得するために採用しているビジネスモデルを分析する。

コロナ禍でEコマース向け決済が大きく成長

新型コロナウイルスの流行によりEコマースの利用が加速し、それに伴いオンラインでの多様な決済手段への需要が高まった。BNPLは、オンライン・ネイティブの決済手段であるため、Eコマース市場の急拡大とともに利用が一気に広がった。

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アメリカにおける「Eコマースの売上高」と「小売売上高全体に占めるEコマースの割合」の推移予測。

Insider Inteligence

パンデミックの影響で何百万人もの人が失業した。経済基盤が不安定になった人々は、これまでよりも柔軟な決済手段を必要としている。一方で、コロナ危機の間に借金を返済した消費者も多い。こうした人々にとって、「無利息のBNPLソリューション」は、高額なカード払いの返済を避けるための魅力的な代替手段となる。

拡大するBNPL市場

BNPL業界は、消費者に柔軟な支払い方法を提供するために、レイアウェー(頭金を払って商品を予約し、残額の分割払い完了後に受け取る仕組み)や分割払いを近代化してきた。繰り返しの利用を想定したクレジットカードと比較して、BNPLソリューションは1度きりの取引で使える。ちょっとした買い物の際にも、金銭的な負担を軽くしたいと考える消費者には魅力的だ。

パンデミックの影響もあり、BNPL人気はさらに高まることが予想される。2025年にBNPLの取引額は世界全体で6800億ドル(約72.8兆円)に達する見込みだ。取引額(推定)が2850億ドルだった2018年からの年間複合成長率(CAGR)は13.23%となる。

BNPLソリューションの中には実店舗で利用できるものもあるが、オンラインでの利用が主流となっている。2020年第2四半期の「Eコマースの売上高」は前年の同時期に比べ44.4%増えると推定されている。Eコマースの拡大とともに、BNPLソリューションの利用も増える可能性がある。

BNPL関連企業のカテゴリー

活況を呈するBNPL市場への参入とシェア拡大を目指し、企業はさまざまなアプローチをとっている。

ダイレクト・プロバイダー

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Affirm

アメリカでBNPLの台頭を率いてきた中核的存在であり、業界の発展によって最も利益を得られる立場にある。商品の販売・支払いが行われる場(販売時点)で決済ソリューションを提供しており、BNPL業界の知名度上昇に最も貢献している。代表的な企業にアファーム(Affirm)、アフターペイ(Afterpay)、クラーナ(Klarna)などがある。

ファシリテーター

既に多くの加盟店との関係を確立している大手決済企業は、BNPLソリューションへの関心の高まりを機会として捉えている。「ファシリテーター」と呼ばるこれらの企業は、加盟店がダイレクト・プロバイダーのソリューションを導入できるよう中介し、BNPLエコシステムに加われるようにする。代表的な企業にマスターカード(Mastercard)、ショピファイ(Shopify)、ストライプ(Stripe)などがある。

レトロアクティブ・プロバイダー

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American Express

クレジットカードで購入済みの商品に対し、後からBNPLでの支払いを可能にするのが「レトロアクティブ・プロバイダー」だ。これらの金融業者(主にクレジットカード発行会社)は、消費者が商品購入後に柔軟な支払い方法を選べるようにする。アメリカン・エキスプレス(American Express)、チェース(Chase)などが代表的な企業だ。

主なBNPL関連企業

フィンテックや大手金融機関などが市場シェアを競っている。主な企業を以下に記す。

Affirm, Afterpay, Alliance Data, American Express, Chase, Citi, Mastercard, JPMorgan Chase, Klarna, PayPal, Quadpay, Sezzle, Shopify, Splitit, Stripe, TSYS, Visa, Zip

BNPL業界分析

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BNPLサービスを利用したことがある消費者の比率を年齢層ごとに示したグラフ。

Insider Intelligence

パンデミックによる経済的影響で、何百万人もの消費者がデジタル金融を利用するようになっている。BNPLの普及が進むなか、すでにいくつかの企業が他を凌駕し、大きなシェアを獲得する兆しが見えてきた。今後Eコマースのさらなる拡大で、顧客のニーズも変化していくと見られる。

インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「BNPL」では、主要な BNPLプレイヤーや市場トレンドについて解説。また、アメリカで業界をリードし、今後優位性を確立すると考えられるビジネスモデルを紹介する。

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[原文:Buy Now Pay Later Report: Market trends in the ecommerce financing, consumer credit, and BNPL industry

(翻訳・野澤朋代)

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