代替肉スタートアップのネクストミーツは、3月15日、同社のオンラインショップで鶏肉を再現したプラントベースの代替肉「NEXTチキン1.0」を販売することを発表した。
代替肉とは、大豆などを中心とした植物性のタンパク質を加工することで、肉の食感や味を再現したもの。近年、食肉用の家畜による温室効果ガスの排出量の減少といった環境負荷の低減効果に対する期待や、世界的なタンパク質不足への懸念から、世界的に開発が進められている。
ネクストミーツはこれまでにも、一人用焼き肉をコンセプトにしている「焼肉ライク」へのフェイクミート(大豆肉の焼肉)の提供や、オンラインショップでの代替肉牛丼、ハンバーガーなどの販売を進めてきた。
同社は1月末にアメリカの主要取引市場への上場準備市場にあたるOTCブリティンボード(OTCBB)市場にSPAC(Special Purpose Acquisition Company・特別買収目的会社)の仕組みを利用して上場している。
代替肉の「NEXTチキン1.0」。
提供:ネクストミーツ
同社広報によると、今回発表されたNEXTチキン1.0は大豆をベースとした代替肉(大豆肉)で鶏の「むね肉」をイメージして加工したもの。まずは、同社のオンラインショップでの販売を開始するが、現在、外食チェーンへの展開の準備も進めている状況だとしている。
なお、ネクストミーツによると、鶏肉1キログラムとNEXTチキン1.0の主原料である大豆1キログラムを生産する過程で必要となる資源量や温室効果ガスの排出量を比較すると、 水資源は44%削減、 温室効果ガスは約92%削減できる見込みだとしている。また、土地の使用面積は、鶏肉だと約12.2平方メートル必要であるのに対して、大豆の場合は約7.5平方メートルと38%の削減となる。
代替チキンは、2029年までの伸びしろに期待
ネクストミーツは、焼肉ライクで代替牛肉を提供している。写真は牛カルビ(左)と、ネクストミーツが提供するNEXTカルビ(右)。
撮影:三ツ村
国内の代替肉市場では、ハンバーガーなどに使われるミンチ状の牛肉を模した代替肉が販売されているケースが多い。鶏肉を模した代替肉を製造している企業は限られる。
この理由について、同社広報は「鶏肉特有の食感や繊維感を再現するのが難しいからだと考えている」と話す。
ネクストミーツは、Business Insider Japanの取材に対して、今回チキンタイプの代替肉を販売するに至った理由をいくつか語った。
まず、OECDによる世界農業の見通しでは、2029年までに世界の食肉の生産量は約4000万トン増の約3億6600万トンになると予想されている。このうち、鶏肉の増加量が最も多く、増加見通し全体の約半分に相当する約2050万トンだ。
この点からも、代替肉としての鶏肉の必要性を強く感じているとした。
また、ネクストミーツは現在、インドへの進出に向けて現地パートナー会社とともに生産ラインの確保や商品リリースに向けた準備を進めているという。
同社広報は、今回のNEXTチキン1.0の発売について「インドで最も人気なのが鶏肉という点も考慮した」としている。
(文・三ツ村崇志)