"レジなし"にやっぱりドキドキ…… イギリス初の実店舗「Amazon Fresh」で買い物してみた

筆者

イギリス初のAmazon Freshで買い物をしてみた。

Kate Duffy

  • アマゾンはイギリスで初となる"レジなし"の実店舗「Amazon Fresh」をオープンした。筆者は早速、この店をチェックしに行ってきた。
  • Amazon Freshではカメラと陳列棚のセンサーがバッグに客が何を入れたかを探知し、料金は店を出た後に請求される。
  • 買い物は簡単だったものの、個人的には天井からぶら下がっている大量のカメラが好きでなかった。

ロンドン西部イーリング地区にあるAmazon Freshは普通のスーパーではない。

この店はアマゾンが3月4日にオープンさせたイギリスで初めての実店舗だ。なぜそれほど大騒ぎしているのか探るために、筆者は早速、店をチェックしに行ってきた。

その仕組みは、アメリカで展開している"レジなし"の「Amazon Go」と同じだ。店に入り、欲しいものをバッグに入れたら、そのまま出てくればいい。

「そのまま店を出て」と書かれたアマゾンの緑色のバッグを持っていても、なんだか自分が世界一の万引き犯になった気分だ。

買い物は簡単だった。ショッピングカートを避ける必要もなければ、レジで慌てる必要もない。料金は店を出た後に請求される(ただ、わたしの場合は領収書が出てくるまでに2時間かかったので、それまで具体的にいくら使ったのか分からなかった)。

店の広さは2500平方フィート(約230平方メートル)しかないので、一般的なスーパーに比べてかなり小さく感じた。1週間分を買いだめするのは難しいかもしれない。

全体としては、その清潔さ、効率の良さに感心した。ただ、何がわたしのバッグに入っているかをチェックする、天井からぶら下がっている大量のカメラは好きでなかった。ディストピア感があった。

食べ物に特別なところはないものの、買い物をラクなものにしているその先進テクノロジーがこの店を際立たせている。

ロンドンの新しいAmazon Freshでの筆者の買い物体験をレポートする:


イギリス初のAmazon Freshはロンドン西部イーリング地区にある。

外観

Amazon Fresh。

Kate Duffy

Amazon Freshに向かう途中、わたしが考えていたのは「どうしてイーリング?」ということだった。

ロンドン中心部からイーリングまでは、地下鉄で1時間ちょっとかかる。ただ、この大通りには人気店が数多く連なっている —— その中でも一番新しいのがAmazon Freshだ。

上の写真のドアは店の出口だ。入口は角を曲がったところにあって、わたしは列に並び、アマゾンのアプリをダウンロードして、緑色のジャケットを着たアシスタントの指示に従った。

わたしが店を訪れたのは、ランチタイムの混雑が終わってすぐの午後2時頃だったので、列はさほど長くなかった。レジがないことを考えれば、待ち時間はかなり短いはずだ。

アプリでQRコードをスキャンすると、時間計測が始まる。領収書はわたしが17分12秒店内にいたことを示していた。


店に入るには、アマゾンのアプリでQRコードをスキャンしなければならない。スキャンすると、緑色のバーが開く。

入口

入口の様子。

Kate Duffy

第一印象は悪くない。アマゾンのアプリをダウンロードしてあれば、QRコードをスキャンするだけで中に入ることができる。

客はマイバッグを持って行ってもいいし、再利用可能なAmazon Freshのバッグを1ポンド(約150円)で買うこともできる。ショッピングカートや買い物かごはないので、全体的にスムーズだ。

ただ、商品を直接バッグに入れて、目の前に食べ物が見えない状態で買い物をするというのは、やや不思議な感覚だ。


上を見ると、陳列棚に向けられた大量のカメラが目に入ってくる。これらのカメラは客がバッグに入れた全てのアイテムを追跡している。

カメラ

天井からぶら下がっているカメラ。

Kate Duffy

Amazon Freshと一般的なスーパーの主な見た目の違いは、大量のカメラが天井からぶら下がっていることだ。カメラは何がわたしのバッグに入っていくかを見ているだけなのだが、なんだか自分が監視されているような感覚だった。

一方で、安全、安心感もあった。テクノロジーが信用できるなら、万引きの心配はない。客は店に入った瞬間からアマゾンのアカウントで追跡されているからだ。


どの商品を客が取ったかを判別するために、天井のカメラだけでなく、陳列棚に付けられた重量センサーも働いている。

商品

アマゾンのナスのマサラ。

Kate Duffy

店を半分ほど進んだ頃、わたしは自分がその商品を買おうとしていること、何も隠していないことを証明するために、大げさな身振りで商品をバッグに入れていることに気付いた。

ナスのマサラは、"メイン2品とサイド2品で10ポンド(約1500円)"というセットの一部だ。


自分が買いたいものを他の誰かに取ってもらうことはできない。自分で商品を手に取る必要がある。

通路

Kate Duffy

買い物はひとりですることになる。自分が手に取った商品を別の客に手渡すと、重量センサーとカメラは最初に商品を手に取った人が購入したと認識し、料金を請求する。


Amazon Freshはさまざまなプライベートブランドの商品を取り扱っている。ピザ、調理済み食品、果物、野菜などが他社に負けない魅力的な価格で販売されている。

PB商品

Kate Duffy

アマゾンはこれらの商品をイギリスの業者から調達している。意外にも店の商品の3分の1近くがアマゾンのプライベートブランド商品だった。どれもいい感じだ。

価格は平均的だが、競争力はある。Mサイズのピザは4ポンド(約610円)と、テスコ(Tesco)やセインズベリー(Sainsbury's)といったイギリスの他のスーパーと同じくらいだ。ただ、お得な商品もある。上の写真の鶏胸肉2枚と副菜のセットは5ポンド(約760円)だ。

オーガニック食材やビーガンの選択肢もあるし、一般的なブランドの商品もある。


食料品だけでなく、店内にはAmazon Hubもある。

Amazon hub

Amazon Hub。

Kate Duffy

店の奥にはアマゾンからオンラインで購入したアイテムを引き取ったり、返品したりできるAmazon Hubがある。


薬売り場にはカードが並んでいて、Amazon Hubへ持って行くと実物と交換できる。

薬

Kate Duffy

レジ係に背後から取ってもらうなどする代わりに、Amazon Freshでは客がカードをAmazon Hubへ持って行き、実物と交換してもらう。


アルコール売り場には警備員がいて、客が売り場を出る時にIDカードをチェックしている。

アルコール売り場

Kate Duffy

アルコール売り場には警備員がいて、わたしが何をバッグに入れたかをチェックしていた。天井のカメラに加えて、だ。ビールを選んで売り場を出ようとしたら、警備員にIDカードを見せるよう言われた。

売り場の写真を撮ってもいいか警備員に尋ねると、警備員は「もちろん、今はたくさんの人が撮ってますよ」と答えた。

新型コロナウイルスのパンデミックで出かけられる先が限られる中、この店は観光客を引き付けているようだ。純粋な買い物客というより、遊びに来ている客の方が間違いなく多かった。

そして、Amazon Freshの客は圧倒的に若い人が多かった。高齢者はここで買い物をするのに必要なテクノロジーを使いこなせるのだろうかという疑問がわいてきた。


食べ物や飲み物をセットで購入することもできる。

ドリンク

Kate Duffy

この売り場は広かった。さまざまな食べ物、おやつ、飲み物が揃っている。

食べ物は標準的な価格だが、1ポンドで好きな飲み物やおやつを追加することができる。レモングラス・チキンや枝豆入りグレインサラダなど、おしゃれな食べ物も売られている。


温かい食べ物や焼き立てのパンも手に入る。

売り場

Kate Duffy

Amazon Freshは、急いでお昼ごはんを済ませたい時には理想的だ。すぐに食べられる物がたくさん売られているので、都会の慌ただしく働く人にはぴったりだ。


入れたてのコーヒーも1杯2.3ポンド(約350円)で手に入る。オートミルクを選ぶこともできる。

コーヒー売り場

Kate Duffy

店の手前にはコーヒーマシンが2台あって、1台は通常のミルク用、もう1台はオートミルク用だ。


店は明るく、ポップ音楽が流れていて活気がある。特別感がある。

店内の様子

Kate Duffy

Amazon Freshは、ウェイトローズ(Waitrose)といったイギリスの高級コンビニエンスストアに匹敵する。清潔で、整然としていて、品揃え豊富だ。

ちょっと変わっているのは、購入した商品を読み取ることなく店をあとにできることだ。

わたしのレシートは店を出てから2時間後にEメールで送られてきた。料金が正しく請求されているかどうか早く知りたかったので、これにはイライラさせられた。

請求は正しかった。わたしがバッグに入れた順番通りに全てのアイテムがカウントされていた。


13品で20ポンド(約3040円)だった。

戦利品

Kate Duffy

Amazon Freshは買い物するのが簡単すぎる……。

[原文:I went to the first Amazon Fresh store in the UK and felt like a shoplifter. Take a look inside.

(翻訳、編集:山口佳美)

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