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ユーグレナ、バイオジェット燃料「完成」を発表…年内に商業フライト実現へ

燃料

ミドリムシ由来のバイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料。

撮影:今村拓馬

ミドリムシを利用したバイオ燃料の製造などを手がけるユーグレナは3月15日、神奈川県横浜市に保有しているバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントで、米国材料試験協会が定めた国際規格である「ASTM D7566 Annex6 規格」(以下、ASTM規格)に対応したミドリムシ由来のバイオジェット燃料が「完成」したことを発表した。

同社は今後、実証プラントで製造したバイオジェット燃料を利用した航空機の商業フライトの実現に向けて、航空運送事業者や航空局等との最終調整を進めていくとしている。

ASTM規格:ユーグレナの実証プラントでは、アメリカのChevron Lummus Global, LLC(以下、CLG社)とApplied Research Associates, Inc.(以下ARA社)が共同開発したバイオ燃料製造技術である「BICプロセス」を利用して燃料を製造。この原料としてミドリムシを利用しており、ミドリムシを使った製造プロセスがASTM D7566 Annex6 として認証されている。

バイオジェット燃料、5月頃に供給可能に

バス

次世代バイオディーゼル燃料を搭載予定のいすゞのシャトルバス。2020年4月に、供給が始まった。

出典:ユーグレナ

ユーグレナは、2018年10月に実証プラントを建設すると、2020年3月にバイオディーゼル燃料の完成を発表。これまでにバスやフェリー、タグボート用の燃料などとして、バイオディーゼル燃料の導入を先行して進めてきた。

一方、航空機の燃料となる「バイオジェット燃料」については、2020年1月30日に製造プロセスがASTM規格の新規格として認証されたものの、それ以降、実証プラントで実際にジェット燃料を製造する工程に遅れが見られていた。

同社広報はこの理由について、

「新型コロナウイルス感染症の影響が拡大による影響、またバイオ燃料製造実証プラントの稼働や整定(調整)に時間を要したためです。またディーゼル燃料に比べジェット燃料は製造における難易度が高く、完成のタイムラグが発生しました」

と説明。

今回、一連の課題を解決し、同社の実証プラントで既存の石油系燃料との混合前の純粋なバイオジェット燃料が完成した(※)。今後、継続的に供給することが可能となった。

※バイオジェット燃料は、石油由来のジェット燃料を混合して利用する。

同社広報はBusiness Inside Japanの取材に対して、

「今後、(通常の)ジェット燃料と混合する工程を経て、5月頃を目処に供給できるようになる」

と、航空運送事業者への供給目処について話した。

その後、関係各所との調整が済めば、いよいよ同社がバイオ燃料事業に取り組みはじめた2008年からの悲願としてきた国産バイオジェット燃料を使ったフライトが実現することになる。なお、初フライトの時期は未定としながらも、2021年中としている。

今年中に商業プラントの建設地を選定

プラント

ユーグレナのバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント。2018年秋に横浜市鶴見区に建設された。

出典:ユーグレナ

バイオ燃料は、地球温暖化の原因物質の一つとされている二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する観点から、近年、石油由来の燃料の代わりとして注目されている。2020年12月に政府が発表したグリーン戦略でも、脱炭素戦略における重要な役割を担っている。

2020年10月には、ユーグレナの研究開発事業が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の公募事業として採択。5年間で総額数十億円規模の支援を受け、大量培養技術やサプライチェーンの整備を含めた研究開発を推進している。

ユーグレナは今後、2025年を目処に新たに商業用のプラントを整備し、バイオ燃料(ジェット燃料、ディーゼル燃料)の年間供給量を25万キロリットルにまで拡大させる見通しを示している。また、2030年にはさらにその規模を拡大させ、年間100万リットルのバイオ燃料の製造を目指す考えだ。

商業プラントの建設候補地はまだ確定していないものの、

「現在選定中で、今年中に国内外の複数候補地の中から選定する予定です」(ユーグレナ広報)

としている。

脱炭素の流れは世界的に見ても加速しており、今後、バイオ燃料に対する需要も高まっていくことは間違いない。

しかし、国内でバイオ燃料の確固たるサプライチェーンはまだ確立されているとはいえない。

バイオジェット・ディーゼル燃料ともに順調に製造規模を拡大させることができれば、ユーグレナが国内のバイオ燃料市場の主要プレーヤーとなることも現実的になりそうだ。

(文・三ツ村崇志

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