アメリカのジャネット・イエレン財務長官。
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- アメリカのジャネット・イエレン財務長官はABCニュースに対し、バイデン政権は富裕税の導入についてはまだ何も決定していないと語った。
- ホワイトハウスは以前、実施上の問題があるので富裕税導入を支持しないと表明していた。
- ブルームバーグによると、アメリカの富裕層と企業は、いずれにせよ、増税に直面する可能性が高いという。
アメリカのジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は、ABCのジョージ・ステファノプロス(George Stephanopoulos)記者とのインタビューで、将来の富裕税導入の可能性について質問され、バイデン政権の選択肢の中には富裕税が含まれることを示唆した。
ステファノプロスが「富裕層税は導入しないのか」と質問した後、イエレン長官は「それはまだ判断していない。検討することはできる」と述べた。また、バイデン大統領は、個人や企業への増税を含むいくつかの案を示しているが、それは「富裕税に似たものだ」と語った。
エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は最近、超富裕層への資産課税を求める主張を繰り返している。その案では、純資産が5000万ドルから10億ドルの世帯には2%の税金が、10億ドルを超える世帯には3%の税金が課されることになる。
イエレン長官は2021年に入ってから、富裕税は「実行するのは非常に難しい」と述べていた。彼女はまた、富裕税については議論されたが、大統領は支持しなかったと述べた。
ウォーレン議員のプレスリリースに引用されているカリフォルニア大学バークレー校のエコノミストの分析によると、富裕税は10年で3兆ドル以上の収入をもたらすという。
イエレン長官はステファノプロス記者に、バイデン大統領は「富裕税を支持していないが、経済のニーズと必要な支出を満たすために、企業と富裕な個人がより多くの負担をするべきだと考えている。私は時間をかけて、財政赤字を抑制するための提案をしていこうと思う」と述べた。
富裕税ではないかもしれないが、裕福なアメリカ人は重要な税制の変更に直面するだろう
ブルームバーグによると、富裕税とは別に、バイデン政権は景気刺激策後の経済プログラムに資金を供給する「1993年以来の連邦税の大幅引き上げ」を計画しているという。
検討されている増税には法人税引き上げが含まれており、バイデン大統領はすでに21%から28%へ引き上げたいと述べている。さらに、「パススルー課税」に対する優遇措置が縮小され、相続税の適用範囲も拡大される可能性がある。
また、ブルームバーグは、相続税や贈与税に関する「正常化プロジェクト」のうち、トランプ政権下で優先順位が下がったり、縮小されたりしたものが、バイデン政権下で再び浮上する可能性があると報じている。それによると、特に重要な分野として、資産評価の減額措置が制限される可能性があるという。
また、高額所得者をターゲットにした施策もある。ブルームバーグによると、所得が40万ドル以上の者に対する所得税引き上げと、所得が100万ドル以上の者に対するキャピタルゲイン税率の引き上げが検討されているという。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バイデン政権は、今後の経済対策を行うための最善の財源調達方法は何かを検討しているという。また、民主党下院議員らがすでに基本政策の立案に取り組んでいるとInsiderは報じている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)