抗議の声を上げる人々(2021年2月28日、マンダレー)。
Associated Press
- ミャンマーでは、クーデターに抗議する市民に対する治安部隊の暴力がエスカレートしている。
- 2月以降、平和的な抗議活動の参加者が少なくとも138人死亡していると、国連は3月15日(現地時間)に発表した。
- このうち、少なくとも9人は子どもだという。
軍が2月1日以降、少なくとも1年間は国の支配権を握ると発表してから約1カ月半、ミャンマーでは死者数が増加している。
国連は15日、ミャンマーの暫定政権が支配して以降、少なくとも138人の「平和的な抗議活動の参加者」が死亡していると発表した。ミャンマーではここ数週間、民主化を求めるデモが拡大していて、これを取り締まろうとする治安部隊が催涙ガス、スタングレネード、実弾を使用し始めたことで、多くの死傷者が出ている。
AP通信によると、国連のステファン・ドゥジャリク事務総長報道官は、最新の死者数にはミャンマーの最大都市ヤンゴンで13日に死亡した18人、14日に死亡した38人が含まれるとしている。
クーデターは数年にわたる民主化に向けた努力を台無しにした。市民らは軍が排除した、選挙で選ばれ、2月1日から新しい任期が始まるはずだったアウン・サン・スー・チー氏率いる政権の回復を求めている。
15日の声明文の中でドゥジャリク事務総長報道官は、国連のグテーレス事務総長が「国軍の手によって暴力がエスカレートしていることに愕然としている」とし、ミャンマーによるデモ参加者の殺害、恣意的な逮捕、拘束者の拷問はいずれも基本的人権を侵害するものだとコメントした。
グテーレス事務総長は、この弾圧を終わらせるために国際社会が協調するよう求めるとともに、ミャンマー国軍に対し、担当特使の派遣の受け入れと、状況の「沈静化」および「民主主義の回復」に向けた準備を進めるよう求めた。
国連のクリスティーヌ・シュラネル・ブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は15日に声明文を発表し、多くの血が流れていること、現地から聞こえてくる「胸が張り裂けるような」暴力の数々を非難した。
「医療関係者への暴力や公共インフラの破壊を含む残虐行為は、平和と安定へのあらゆる期待を激しく蝕んでいる」とブルゲナー事務総長特使は述べた。
国連児童基金(UNICEF)によると、ミャンマーでは700人の子どもたちが恣意的に拘束されていて、少なくとも9人が死亡したと見られるという。UNICEFは3月11日、逮捕者の多くは弁護士へのアクセスなしに拘束されていて、これは人権侵害にあたるとフェイスブックで述べていた。
(翻訳、編集:山口佳美)