自分たちの夢を実現している夫婦にパートナーシップを10の質問で探る「だから、夫婦やってます」。3回目の後編は「伝説の家政婦」として知られるタサン志麻さんの夫で、フランス出身のタサン・ロマンさん。
テレビや雑誌で一躍時の人となった志麻さんと共に歩んできた夫、ロマンさんから見た夫婦の転機や危機、そして日本人夫婦たちへのメッセージとは。
—— 出会いのきっかけと結婚の経緯は?
僕が日本に来たのは2013年の6月、19歳の時でした。子どもの頃から日本のアニメが大好きで、日本語をちゃんと勉強したいと思って学生ビザで来日したんです。
日本に来る前はフランスで電気工事やリフォーム関係の仕事をしていたので、海外向けの事業も始めようかなと計画をしていたんです。
翌年の春、生活費を稼ぐために始めたアルバイト先の飲食店で出会った“ボス”が志麻。まさか日本で結婚して、こんなに長く暮らすことになるとは思わなかったね。
志麻の第一印象は……仕事にも厳しく、自分の意見をハッキリ言うけど、気持ちがいい女性。日本人の女性は男性に遠慮をして言いたいことを言わない人が多いから珍しかったし、魅力的に感じられた。僕は子ども時代にお父さんがいない家庭で育って、お母さんは強い存在だったから、強い女性が好き。
志麻と週に3日くらい顔を合わせているうちに、出会って1カ月経つ頃には好きになっていました。
—— なぜ「この人」と結婚しようと思ったのですか?
一緒にいると、楽しいから。ずっと一緒にいたいと思ったから。周りはみんなびっくりしたよ。でも、家族はいつも僕の意思を尊重してくれるから、結婚には大賛成。お姉さんは「私より結構年上ね」と笑っていたけれど、それだけ。
15歳の年齢差もまったく気にならなかった。年齢や国籍の違いよりも、大事なのは愛。
むしろ、日本人は実年齢より考えや話し方が幼い人が多いなと感じることもあったから、若い子や同世代にはあまり興味を持てなかったですね。志麻は自分の考えをしっかりと持っているし、それまでものすごく努力してきた人だから尊敬できたし、ずっと話していても飽きなかった。
志麻を愛しているから少しでも助けになりたい
—— 日頃の家事や育児の分担ルールは?
「カジ」ってどういう意味だっけ? ああ、料理とか掃除とかのこと? できることをやればいいんじゃない? できないことがあればやり方を聞けばいいんじゃないかな。
僕は子どもの頃に母親とお兄さん、お姉さんと4人暮らしで、「自分のことは自分でやる」のが当たり前の環境で育ちました。10歳から12歳までは、節約のためにお昼休みに学校から帰宅して、自分でランチを作って食べていたし。洗濯も掃除も子どもの頃からやっていたから、何も言われなくてもやるのが普通になっちゃった。
僕が特別なのではなくて、フランス人にはそういう人が多いと思いますよ。それに志麻を愛しているから、少しでも助けになりたいからね。
一番得意な家事は子どもと遊ぶこと。志麻が遅く帰ってきた日や「今日は作りたくない」と言ったときは、僕が料理を作ります。レパートリーは、フランスの家庭料理か居酒屋料理が中心で、焼きそばやチャーハン、カレーライスは子どもたちもよく食べてくれます。
でも、志麻は厳しいよ(笑)。「塩足りないよ」「ベタベタだよー」とかよく言われちゃうね。でも、何をしたらいいのか教えてくれると次のチャレンジに活かせるから大歓迎。でも、また新しい文句が出るんだけどね(笑)。満点をもらったこと? 一度もないね(笑)。でも楽しいよ。
フランスの味を再現したくて珍しいチーズを買うと、「これ使い切らないといけないじゃん」と怒られるし、洗濯物に関しても何度怒られている。でも、クレームはすぐに言い合えば、大喧嘩にならない。志麻がイライラしていても、僕は気にならない。
そんなやりとりも含めてコミュニケーションが楽しいから。志麻は真面目な性格だから、頑張りすぎて倒れないかがいつも心配。ちょっとふざけて邪魔して、志麻の力を抜くのが僕の役目だね。
家事分担については、海外と比較して日本の女性はかなりやってくれるほうだから、男性が積極的に手伝うくらいでバランスがとれると思う。
自分一人の幸せ求めるなら結婚しなくていい
—— 子育てで大事にしている方針は?