大豆からつくったミンチ。
撮影:三ツ村崇志
3月16日、イオンは自社プライベートブランドであるトップバリュから販売されているVegetiveシリーズの新商品として「大豆からつくったミンチ」を含む3品目を発表。
3月17日から、東京・千葉・神奈川・埼玉の「イオン」「イオンスタイル」「まいばすけっと」などの限定49店舗で順次展開を開始するとした。
世界的に見ても、ここ数年、食肉用の家畜が排出する温室効果ガスの抑制への期待や、世界的なタンパク質不足への懸念から、大豆肉をはじめとした代替肉の開発が盛んに行われている。
イオンは、生産時に排出される温室効果ガスや必要な穀物、水の量など地球に与える負荷が少ない「植物性たんぱく質」を利用した「Vegetiveシリーズ」を2020年10月から本格展開している。
イオンリテール広報は、代替肉・大豆肉の製品を開発する理由について、次のように語った。
「取り扱いをはじめた理由は2つあります。
1つは、今後食糧危機にいたるまで人口が拡大し、少量の水や資源で食用に使えるものが必要になってくることを考えたときに、先んじて商品を展開してお客さまに慣れ親しんでもらうコミュニケーションが必要だと感じたためです。
もう1つは、昨今高まっている健康ニーズに対応するためです」(イオンリテール広報)
国内初、“生”の代替肉をスーパーで
DAIZのミラクルミートを使ったハンバーガー。フレッシュネスバーガーから販売されている。
撮影:三ツ村崇志
「大豆からつくったミンチ」は、その名の通り大豆由来の代替肉(=大豆肉)。
原材料となっているのは、熊本の植物肉スタートアップDAIZ(ダイズ)が販売するミラクルミートだ。
イオンリテール広報は、DAIZのミラクルミートを原料に使用した経緯について「商品化にあたって、素材そのものに旨味があることなどが魅力だった」と話す。
日本ではこれまで、スーパーなどで販売されているレトルト食品や冷凍食品などの原材料に大豆などを由来とした植物性タンパク質が使われることが多かった。2020年頃からは世界的な潮流を受けて、国内のハンバーガーチェーンなどを中心に、パティに代替肉を使用して提供されるケースも目立ってきている。
一方で、海外のようにスーパーなどで手軽に代替肉を手に入れて、みずから調理できるような形での提供は実現できていなかった。
今回、イオンから代替肉のミンチ肉が販売されることで、日本では初めて代替肉が冷蔵販売されることになる。
イオンリテール広報によると、今回販売される大豆由来のミンチ肉やハンバーグの形状に加工された新商品は、いわゆる精肉コーナーに肉の一種として陳列されることになるという。
なお、ミンチ肉の価格は100グラムあたり138円+税。
DAIZは、Business Insider Japanの取材に対して、加工されていない“生”の大豆肉がスーパーで販売される意味を次のように語った。
「スーパーが主体となり植物肉ミンチ肉を発売するということで、DAIZにとっても大きな一歩になったかと思います。ミンチ肉として提供されることで、調理の幅が広がり、より一層、ご家庭の食卓で美味しく植物肉を取り入れていただくことができるようになります。
このような形で、植物肉を食すという文化が世の中に広がっていくことで、タンパク質危機や環境配慮の観点で貢献できることを嬉しく思います」(DAIZ広報)
(文・三ツ村崇志)
編集部より:DAIZからのコメントを追記しました。 2021年3月16日 14:20