ASUSはキーボードやカバーが分離できる「ASUS Chromebook Detachable CM3」を日本で販売する。
撮影:小林優多郎
ASUSは3月17日、新型2in1 PC「ASUS Chromebook Detachable CM3」(以下、CM3)の日本発売を発表した。
一般販売向けモデルは本日(3月17日)から発売開始で、直販価格は5万800円。同社の直販サイトでは4月8日までの間、キャンペーン価格で3万5800円で購入できる(いずれも税込)。
ここでは、CM3の実機先行レビューをお送りする。
縦置きにも対応する独自形状のスタンドカバー
付属のスタンドカバーは、縦置きにも対応する。
撮影:小林優多郎
CM3は10.5インチのタッチ対応液晶ディスプレイを搭載したChrome OS搭載PCだ。最大の特徴は”Detachable”(デタッチャブル、取外し可能な)という名のとおり、本体のタブレットとスタンド、キーボードカバーが分離する、いわゆる2in1仕様だ。Windows機でいえばSurfaceシリーズのような設計になっている。
同様の特徴をもつChromebookはすでに国内市場で発売済みだが、CM3の珍しい点としては、スタンドが縦置きに加え”縦置き”にも対応していることだ。
スタンドカバーの背面。折り曲がるヒンジの部分が十字に配置されているのがわかる。
撮影:小林優多郎
仕組みはシンプルで、スタンドカバーに配置された十字型のヒンジで、立てたい方向に折って使う。やや硬めのヒンジなので、自分の好きな角度で固定できる。
CM3が「縦置きできる」ことは使い勝手面で意外と重要なポイントだ。CM3ではChrome向けのウェブアプリだけではなく、Google Playで配信されているAndroidアプリを動かせるため、SNSのタイムラインや文字の多いニュースの表示、縦画面固定のゲームアプリなどとも相性がいい。
スタンドカバー、キーボードカバーを装着したときの重さ。
撮影:小林優多郎
なお、実機の重量は、本体のみの時が約506g。スタンドカバーとキーボードカバーの両方を装着した時は917g。いずれも10インチ台のサイズ感も相まり、かばんの中でもそこまでかさばらない。
最新のChrome OS、セカンドPCにちょうどいい機種
「ASUS USI Pen」が付属しており、本体に格納すると自動で充電される。
撮影:小林優多郎
CM3はチップセットにMediaTek製「MT8183」、メモリー4GB、ストレージ128GBと、いわゆるミドルレンジの性能を持っている。そのため、性能や軽量さからして、外出先などに持ち運ぶセカンドPCとして非常に満足度が高い。
ChromebookとAndroid端末で同じGoogleアカウントにログインしていれば利用できる「Phone Hub」。
撮影:小林優多郎
先行レビュー中には、ちょうどグーグルがChorme OS誕生10周年を記念して配信した最新バージョン「M89」を適用した。
バージョンM89の新機能はいくつかあるが、とくにChromebook上から同Googleアカウントを設定したAndroid端末を操作できる「Phone Hub」は、Androidスマホユーザーなら必見の機能だ。
スマホに届いたメッセージに、Chormebookから返信できる。
撮影:小林優多郎
Phone Hubを使えば、Chrome OS上からAndroidスマホの電波強度やバッテリー残量、通知を確認できるほか、テザリングのオン・オフも可能(iPhoneユーザーにとってのiPad/Mac連携機能に近い)。
また、SMSや一部のメッセンジャーアプリの通知はChrome OS上から返信もできるため、通知が来るたびにいちいちスマホを開く必要がないのはかなり便利だ(筆者環境では「+メッセージ」と「LINE」で、返信操作が可能だった)。
Android版Lightroomアプリを入れてみたところ。
撮影:小林優多郎
以前レビューした同社の10万円台の「Chromebook Flip C436」と比べると、写真編集時やアプリの切り替え時にややもたつきを感じたが、CM3は5万800円という半分の価格帯の製品だと割り切れば、そこまでの不満はない(なお、冒頭のとおり、4月8日まではキャンペーン価格で3万5800円になっている)。
教育用途を中心に市場を拡大するChromebook
ASUSはすでに1500の教育機関にChromebookを納品しているという。
出典:ASUS
ASUSによると、同社は2020年に文部科学省が小学校・中学校を対象とした「GIGAスクール構想」の影響でChromebookを中心に、大きく販売台数を伸ばしたという。
ASUSで日本の教育市場を担当する鈴木真二氏は「(ASUS製)Chromebookは1500校以上に採用されている」と話す(※)。コロナ禍でIT業界的に部材調達に滞りなどが発生していたが、「グローバルのサプライチェーンの一部を日本市場のために集約することで、今回のニーズにお応えした」(ASUS広報)。
また、鈴木氏は「2021年は2020年より大きな販売実勢を予想」とし、今後進む高等学校向けGIGAスクール施策や、学校卒業後や家でも使い慣れたChromebookを使い続けるニーズを狙っていく。
※文科省の平成29年の最新統計によると全国の小中学校数は約3万校
(文、撮影・小林優多郎)