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リモートワークが「コロナ後の社会」にもたらす5つのメリット

リモートワークには、よい点がいくつもある。

リモートワークには、多くの利点がある。

Bruno DE HOGUES/Getty Images

  • リモートワークへの移行には5つの利点があることが、UpWorkの新たな調査で判明した。
  • 具体的には、労働者の生産性が上がる、時間と費用の節約につながる、地方移住のハードルが下がるといったメリットが挙げられている。
  • 経済活動が完全に再開した際には、パンデミック中に起こったリモートワーク革命が、経済復活の大きな後押しになる可能性がある。

ワクチンの接種が進み、巨額の支援を伴う経済対策法が成立したことで、アメリカ経済は、2020年代という新たな発展の時代に向けて、他の国にはない絶好の位置につけている。

経済再開が大きな発展をもたらすという期待感を支える主要な要素の1つが、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけとして始まった、リモートワークの普及だ。コロナ後の世界でも、ある程度のリモートワークはそのまま恒久化する可能性が高い。

フリーランス向けビジネスプラットフォームのUpWorkが発表した新たなレポートによると、今回のパンデミックのピーク時には、専門的職業に就く労働者の実に3分の2以上がリモートで働いていたという。さらにこのレポートでは、今後5年間についても、専門職の20%から25%がリモートワークの形態をとるだろうとの見通しを示している。

リモートワークがきっかけとなり、働く側は人生で優先すべき事項について再考し、その実現に向けて動くようになった。雇用主も、プロフェッショナルとの仕事の仕方やチームの運営について、何がベストなのかを考えて業務を見直している、とUpWorkのレポートは分析している。

とはいえ、リモートワークにもいくつかのデメリットがあることは否定できない。主なものとしては、仕事とプライベートの垣根が曖昧になってワークライフバランスが崩れる、あるいはストレスが増大するといったことが挙げられる。

しかし全体で見ると、この1年に起きたリモートワークへのシフトは、5つの主要な点で経済に対して決定的なメリットをもたらしたと、レポートは指摘している。以下では、その5つのメリットについて紹介しよう。


1. リモートワーカーは生産性が高い

リモートおよびオンライン形式でのコラボレーション技術は、業務に役立つだけでなく、チーム内の連携をスムーズにするといった意外なメリットをもたらしていることは、以前にInsiderでダグラス・クエンカ(Douglas Quenqua)が伝えたとおりだ。ミーティングの出席率が上がる、上司が部下の動向により気を配るようになる、コミュニケーションが簡略化する、休息が取れるようになるといったことが、その例だ。

その結果、リモートワークによって、多くの人の生産性が向上している。UpWorkのある調査では、リモート形式で働くことで生産性が上がったと回答した労働者は、全体の61%に達した。また、採用決定権を持つ各部署の管理職を対象としたUpWorkの調査では、2020年4月以降に全体的な生産性が向上したと回答した人は、全体の32.2%に上った。これに対して、全体的な生産性が下がっているという印象を持っていた管理職は、全体の22.5%だった。

UpWorkのレポートを書いたアダム・オジメク(Adam Ozimek)は、今後、働く人たちがリモートワークにさらに適応し、新たなテクノロジーが開発され、人々がリモート形式のビジネスを立ち上げるようになれば、生産性への貢献はさらに大きくなると考えられると記している。


2. 地方移住のハードルが下がる

リモートワークは今後、アメリカ全土に就業機会を分散させるきっかけになると、オジメクは予測している。UpWorkの推計によれば、転居の計画がある人の数は、最大で2300万人に達する可能性があるという。

都市問題に関する理論の研究家で、トロント大学経済部のリチャード・フロリダ(Richard Florida)教授も、こうした変化が起きると考えるひとりだ。彼は以前Insiderの記事で、リモートワークによって、家族のいる従業員が大都市から郊外に向かう流れが加速する一方で、国民の上位1%に属する富裕層は、税金の安いところへ住所を移すだろうと指摘していた

「私は以前から、大都市以外の地域の人気が上昇するだろうと予想していた。これまで人気を集めていた既存の大都市では、不動産価格が想像を絶するほど高く、住宅を取得することが困難になっているからだ」とフロリダは語る。また、「だが、すべての地域の人気が上昇するわけではない。人気が出るのは、10から20ほどの地域に限られるだろう」とも指摘している。こうした地域には今後、新たな人材が流入し、経済発展のあり方も変わっていくはずだ。

ただしフロリダ教授は、その後は大都市も再び活気を取り戻すと考えている。アメリカで新型コロナウイルスのワクチン接種が徐々に進むなかで、創造性やエネルギッシュな活動を支えるものとして「人と人との交流」が再び注目を浴びるようになり、それが都市の復活を促すというのが、彼の予想するシナリオだ。


3. フリーランスへの仕事依頼が増える

雇用主は、フルタイムの従業員とフリーランスワーカーの両方からなる、ハイブリッド型のチームを構築する傾向が高まっていると、UpWorkのオジメクは記している。2020年11月に実施されたUpWorkの調査では、今後6カ月以内にフリーランスワーカーに仕事を依頼する計画の有無を尋ねたところ、採用の決定権を持つ管理職の36%が、独立した労働形態をとる人材をもっと活用したいと回答した。

また、独立系コンサルタントのマーケットプレイス「ビジネス・タレント・グループ(Business Talent Group:BTG)」が2月に公開したレポートによると、とりわけフォーチュン1000企業は、場所にとらわれず、より多様な人材を活用する取り組みを進めているという。特にCEOやCFOなど、「C-Suite」と呼ばれるハイレベルの役職に関して、独立した人材への需要が増えている。BTGのレポートによれば、過去1年でこうした人材への需要は急増し、前年比で67%増加したという。

こうした需要の高まりは、人材プールを拡大し、働く機会の拡大につながるだろう。


4. 費用の削減や時間の節約を実現

毎日の通勤の必要がなくなったことで、働く人たちは自由に使える時間が増え、懐具合も豊かになった。

UpWorkの調査によると、リモートワークを1年間続けることで削減できる通勤時間は、平均して9日分に相当するという。さらに自家用車で通勤していた場合は、リモートワークによって1人あたり約4350ドル(約47万4000円)の節約になった。これは、マイカー通勤による社会的コストの削減額も含んだ数字だ。

ノースウエスタン大学の経済学教授、ロバート・ゴードン(Robert Gordon)氏は、リモートワークによって節約できた時間やコストは、経済の成長や生産性の向上を後押しする可能性があると述べている。これはゴードンが、経済研究機関であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン・フォーキャストのインタビューで明らかにした見解だ。高収入の働き手が、在宅勤務でもこれまでと同等の収入を得られるように労働力の再編が進んでいる、とゴードンは指摘している。

「こうしたリモートワークへのシフトが、生産性の向上につながるのは確実だ。なぜなら、通勤や、オフィスが入る建物、さらには、これらに関連する商品やサービスといったものがない状態で、以前と変わらないアウトプットを生み出しているからだ」とゴードンは述べた。

「我々は自宅でアウトプットを生み出し、出来上がったものを電子的手段で送付し、経済に参加することが可能になった」


5. パンデミック後のリモートワークは今とは違う

オジメクはUpWorkのレポートで、「世界を襲ったパンデミックの最中のリモートワークは、一般的なリモートワークとは状況が異なる」と指摘している。学校が臨時休校になっている間、仕事と子どもの世話のバランスをどうやって取るかといった、リモートワークにまつわる悩みの多くは、コロナ禍が原因となっている。

ポストコロナの世界では、こうした問題が仕事の妨げになることはなくなり、リモートで働く従業員も仕事に集中できるようになるはずだ。UpWorkによると、この「仕事の邪魔になる要素が少ない」という点は、もともとリモートワークのメリットとして挙げられることが最も多い要素だという。

また、リモートワークと言っても、在宅勤務とは限らない。トロント大学のフロリダ教授は、自宅周辺の地域が新たなオフィスとして使われるようになると予想している。

「通常のオフィスがあまり使われなくなったとしても、地域コミュニティや自宅周辺の地域、あるいは都市そのものがオフィスの機能を担う傾向は高まるだろう」と彼は述べている。

「自宅やオフィス以外の場所で、他の人と出会い、交流できる場所があれば、そうしたところに人々は引きつけられるはずだ」

[原文:5 ways remote work is changing the economy for the better

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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