Win McNamee/Getty Images
- ドイツのケルン在住の男性が、56万ドル(約6100万円)相当のビットコインを騙し取られた。
- 男性は、イーロン・マスク氏が自分のお金を2倍にしてくれるとかたるツイッターアカウントにつられたとBBCに語った。
- これは「ギブアウェイ詐欺」と呼ばれるもので、しばしば仮想通貨が使われている。
ドイツのケルン在住の男性が、イーロン・マスク氏になりすました詐欺師に引っかかり、56万ドル相当のビットコインをだまし取られたとBBCが報じた。
男性は、"マスク氏"が自分のお金を2倍にしてくれると信じ込んで、ビットコインを渡してしまったという。
こうした「ギブアウェイ詐欺」を追跡しているオランダの団体によると、これは1件の詐欺の被害額としては過去最悪だと、BBCは伝えている。
マスク氏は2月21日、「Dojo 4 Doge」(仮想通貨のドージコインを指す)とツイートして話題になった。同氏はしばしば仮想通貨に対する強い関心を示していて、その過程で市場を動かしている。
そして、詐欺師らはマスク氏の偽アカウントを使って、この"強い関心"に付け込もうとしている。
今回、BBCに被害を明かした男性は、その1つをクリックしてしまったという。
リンクは"本物"のように見えるページへとつながっていて、マスク氏にビットコインを送れば、2倍になって返ってくると説明していたとBBCは報じている。
このウェブサイトでは0.1~20ビットコインを送ることができるとされていて、これは16日の価格で5600~110万ドルに相当する。
だが、サイト運営者はマスク氏とは何の関係もなかった。
"イーロン・マスク氏から仮想通貨がもらえる"とかたるページのスクリーンショット(現在は削除されている)。
Medium
"イーロン・マスク氏から仮想通貨がもらえる"とかたるページのスクリーンショット(現在は削除されている)。
Medium
BBCによると、カウントダウンを続けるタイマーの存在も判断を急がせたという。男性は自分が持っていた10ビットコイン全てを送ることにした。ドルに換算すると56万ドル相当だ。
男性は「これは間違いなく本物だ」と考えていたとBBCに語った。
ところがタイマーのカウントダウンが終わってもお金が戻って来ず、男性は自分のミスに気付いたという。
「2階に上がってベッドの端に座り、妻に伝えました」
「彼女を起こして、『ぼくは大きな間違いを犯した。ものすごく大きな間違いを』と話したんです」
仮想通貨の詐欺は近年、急激に増加している。2019年だけでもその被害額は46億ドルにのぼるとInsiderは報じた。
偽物の仮想通貨の"ギブアウェイ"は有名人のソーシャルメディア・アカウントを狙うことが多く、彼らのアカウントをハッキングして本人の代わりにツイートしたり、公式アカウントになりすましている。
マスク氏 —— 仮想通貨に強い関心を持っていることでよく知られる —— が詐欺に使われるのは、これが初めてではない。
2020年7月、ハッカーたちはマスク氏やオバマ元大統領、ビル・ゲイツ氏、ジェフ・ベゾス氏、アップル(Apple)、キム・カーダシアンさんといった有名人や企業のツイッター・アカウントを乗っ取って、似たようなギブアウェイ詐欺を投稿した。
ハッキングされたビル・ゲイツ氏のツイッターアカウントのスクリーンショット(2020年7月)。
ハッキングされたマスク氏のツイッターアカウントのスクリーンショット(2020年7月)。
[原文:A man in Germany said he fell for a fake Elon Musk crypto scam that cost him $560,000]
(翻訳、編集:山口佳美)