Airbnb共同創業者が日本の学生に語ったアドバイス「拒絶されることに慣れよ」

ネイサン・ブレチャージク

「学生の時にこれを読んでプログラミングを勉強したんだ!」と実際の本を見せてくれたAirbnb共同創業者のネイサン・ブレチャージク氏。

撮影:西山里緒(オンラインセッションのスクリーンショット)

2021年の今、自由に時間を使えたら何をしますか? どのようにして今のキャリアに至ったのですか?

日本の学生から寄せられた質問に、Airbnbの共同創業者であり初代CTOのネイサン・ブレチャージク氏が答えた。

Airbnbは3月17日、同氏をホストに迎え、高校や大学などを卒業する日本の学生向けにオンライントークセッションを開いた。約20名の学生たちを前に、ブレチャージク氏は自身のキャリアを振り返った。

1. 5ドルでも…学生時代にビジネス経験をすべし

ブレチャージク氏が最初に仕事でお金をもらった経験は、まだティーンエイジャーの時だったという。12歳の頃からコンピューターに夢中になり、趣味でゲームをプログラミングしていたという同氏。

14歳の頃、自作ソフトをオンライン上にアップして「気に入ったら5ドル送ってください」と投稿してみた。

すると、40代の男性から電話があり「似たようなものを1000ドル払うので作ってくれませんか?」と申し出があったという。その後、続々とプログラミングの依頼が来るようになり、最終的に自作ソフトウェアをライセンスして販売するまでに。すでに高校生の時には100万ドル(約1億円)を稼いでいた、と驚きの過去を明かした。

「値段よりも価値があったのは、自信が持てたこと。イチから自分でやり遂げられるという自信と、他人にとって役立つものを提供できるという自信」

2. 最初の就職は「正直、退屈だった」

ネイサン・ブレチャージク

ハーバード大学でコンピューターサイエンスを専攻した後、ソフトウェア企業「OPNET」に就職したブレチャージク氏。しかし率直に言って、仕事はやり甲斐のあるものではなかった、とブレチャージク氏は明かす。

配属されたプロジェクトは当初想定していたものとは異なり、また開発のスピードも遅く、ブレチャージク氏は次第に失望していったという。

「やりがいのある(challenged)環境にいるか?というのは重要な指標だ。その時、僕は挑戦していなかったし、何も学んでいなかった」

その後、ブレチャージク氏はカリフォルニアに移り、その時たまたまルームメイトになったジョー・ゲビアらとともに、同氏は2008年、Airbnbを創業する。

キャリアはいつでも変えられる。最初の就職に失敗しても、悲観することはない。なるべく早くに気づいて、選び直せば良いだけだ」

3. 拒絶されることに慣れよう

Airbnbは創業時、投資家からの投資をいくつも断られたことで知られている。ブレチャージク氏は「初期は本当に大変で、ほとんど辞める寸前だった」と率直に振り返る。

すべての成功した人の条件は、粘り強くやり通したこと。(誰かからの)拒絶に慣れて、それを乗り越えていくこと

Airbnbの事業アイデアを思いつき、ある業界の著名人にそれを伝えた時には、たった一言「それだけを考えているわけじゃないよね」とにべもなく返されたという。

また、ある投資家にカフェで資金調達の相談を断られた時のエピソードをこう語った。

「話の途中で、その投資家は飲んでいたスムージーを半分残したまま、いきなり席を立ってどこかに行ってしまった。僕らは顔を見合わせて、駐車場に追加料金を払いに行ったのかな?電話をかけに行ったのかな?と。もちろん戻ってくるはずだと考えていたけど、なんとその人は戻ってこなかったんだ!」

4. もし今20代だったら……「“旅行”する」

最後に、2021年の今20代だとして、自由に使える時間が1年あるとしたら何をしますか? —— 参加者からのそんな質問に対して、同氏はしばし沈黙して、苦笑しながら「旅行がしたい」と答えた。

「難しいだろうけれど、やっぱり旅行がしたい。遠い場所である必要はない。それはアドベンチャー、新しい経験、とも言い換えられるかもしれない」

そして、ハーバード大学時代に履修していた、人工知能の研究をもう一度やり直したい、と付け加えた。

(文・西山里緒)

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