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- 最新の調査で、ストレスはCEOの寿命に大きな影響を与えることがわかった。
- 全米経済研究所の調査報告書に、詳細が記されている。
全米経済研究所(National Bureau of Economic Research:NBER)の研究報告書で、大企業のCEOは、ストレスの強い仕事によって、早く老化して長生きできない可能性があることがわかった。
2021年3月に発表された報告書は、フォーチュン500企業のCEOの顔写真とCEOの寿命データを使って、「見た目にわかる老化への影響」を機械学習技術で分析したものだ。
また、この研究では、会社法などの規制要因や「各業界のストレスレベル」などについても調べ、CEOの死亡率に与える影響を推定した。NBERの研究員は、推定されるストレスの影響の度合いは非常に大きいとし、「一般的なCEOにとって、企業買収防止法の効果は、2歳若返らせるのに匹敵し、その寿命を2年伸ばす」と結論づけている。敵対買収の阻止を手助けする法律は、ストレスの軽減と相関関係がある。
また、業界全体の苦境や低迷については、「2年間で株価の中央値が30%下落」すると、CEOには1.5年分の老化に匹敵する影響をもたらすとわかった。
今回の機械学習では、CEOの就任前と就任後の顔写真を使用した。研究員は2006年頃のフォーチュン500企業のCEOの顔写真を3000枚以上集めたという。その結果、CEOは会社に危機が訪れた後、およそ1歳老けて見えることがわかった。
この調査は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、イェール大学経営大学院、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール、カリフォルニア大学バークレー校の研究者が行った。
今回の調査結果は、ストレスの多い仕事と寿命の関連性に関わる一連の研究結果に追加されることになる。Health Affairsの2015年の調査では、ストレスの多い仕事に就く労働者は早死にしやすいが、学校教育を受けた期間が短い人はそのリスクが高まることがわかった。中でも最も影響を受けやすいグループ、教育期間が12年以下の黒人男性は、職場が要因となって寿命が3年近く短くなることがあるとわかった。
[原文:Stressed-out CEOs visibly age faster and die earlier, according to a new study]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)