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- "自己愛"とは、自分自身とその能力を信頼し、自信を持ち、誇りを持つことだ。
- 自己愛を実践するということは、境界線を引き、自分の感覚や感情を意識し、自分の人生から有害な人を追い出すことだ。
- 自己愛を高めるには、セラピストに助けを求めたり、日記を書いたり、自分を肯定する言葉に耳を傾けることだ。
あなたには人生を常にともに過ごしている人が1人だけいる —— あなた自身だ。自分自身との愛ある関係を育てるには時間もかかるし、そのプロセスは複雑だが、さらなる幸せと自由の余地も生む。
"自己愛"とは?
自己愛は、自分自身とその能力に対する信頼、自信、誇りを持つことだ。
「(自己愛は)あなたが人生の良い時を楽しみ、人生の悪い時に対処する自分の能力を信じる助けになるでしょう」とUrban Balanceの臨床心理学者エイミー・ダラマス(Aimee Daramus)氏は言う。
自分ではダメだといった考えや自分のニーズを優先させることへの罪悪感から、自己愛を得るのは簡単ではないかもしれない。
「人が自分の内面的なニーズを他のことより優先し始めると、自己愛に固有の"物の見方の変化"があるのです」とニューヨークにあるレノックス・ヒル病院の臨床心理学者サブリナ・ロマノフ(Sabrina Romanoff)氏は言う。
自己愛を育てるには時間、忍耐、訓練が必要かもしれないが、誰にでもその価値はあるし、誰にでも手が届くものだ。自己愛を実践する6つの方法と知っておくべきことを紹介しよう。
1. セルフケアを実践
セルフケアは、あなたがする自分のからだ、こころ、感情の健康にとってプラスになること全てだ。
その方法はいろいろあるが、具体例としては:
- テレビや映画を観る
- 料理をする
- ゲームをする
- 散歩に行く
- 自宅を掃除する
- デンタルフロスで歯をきれいにする
- エクササイズをする
2. マインドフルになる
マインドフルネスとは、その瞬間の自分の感覚や感情を、良し悪しで判断することなく認識することだ。"今"に集中することで、"過去"や"未来"から自分を遠ざけようとする。
「自分のからだとこころに耳を傾け、自分のニーズに気付けるようになることは、自分のためにできる最良のことです」とプロのライフ・コーチでカウンセラーのアニー・M・ヘンダーソン(Annie M. Henderson)氏は言う。
研究が言っていること:2015年のある大規模レビューで、研究者らはマインドフルネスをベースにした介入が被験者の自尊心を高めたことを突き止めた。
マインドフルネスのやり方の具体例としては:
- メディテーション(瞑想)
- 自分の呼吸の回数を数えるまたは深呼吸をする
- グラウンディング・エクササイズ
- 自分の五感に注意を払う
3. ネガティブな考えに疑問を持つ
自分の頭の中に「自分には価値がない」「自分にはできない」と言った考えが浮かんだ時は、なぜそう感じるのか? どうすれば気持ちを切り替えられるか? 自分に尋ねてみよう。
また、自分に対する意見にどういった外部要因が影響を与えているか、時間をかけて考えてみよう。「職場での自分のパフォーマンスが低い場合もありますが、自分への期待が大き過ぎることもあります」とダラマス氏は言う。
「友人や大切な人に自分が寄り添えていない場合もありますが、彼らのニーズが理不尽な場合もあります」
4. 境界線を引く
物理的、心理的な境界線を引くことで、自分が自分をどう扱うか、他人が自分をどう扱うかを、自分がコントロールできるようになる。これは"自己愛"にとって欠かせない。自分のニーズを優先させ、そのニーズがどういったものなのか声を上げて主張する助けになる。
具体的には:
- 罪悪感を覚えることなく「ノー」と言うことを学ぶ
- 他人の意見に関係なく、決断を下す
- 自分と自分のニーズのために立ち上がる
あなたの境界線は時間とともに変わるかもしれないし、変わったとしても謝る必要はない。
5. 他人と自分を比べるのを止める
ソーシャルメディアのおかげで、理想化された他人の生活や成功を目にすることがあまりにも多くなった。ネット上で作り上げられた誰かと自分を比較するのは、自己愛にとって有害になり得る。
「ソーシャルメディアは、公的人格もしくは人々が考え出した仮面の極端な例であり、それぞれの人生を彩る挑戦、問題、困難についてはごくわずかしか表していないことを覚えておきましょう」とロマノフ氏は言う。
研究が言っていること:2018年のある研究では、ソーシャルメディアを自分と比較するために使用し、仲間からのポジティブなフィードバックを求めている学生は、うつ症状を経験しやすく、オフラインで自分を安心させてくれる言葉を過剰に求める傾向があることが分かった。
6. あなたの人生から有害な人を追い出す
有害な人は、あなたの自己愛を育てる能力を制限しかねない。自己愛は自力で勝ち取ることもできるが、周りの人々からポジティブな言葉や気遣いをもらった方が容易になる。
ヘンダーソン氏によると、"有害な人"というのは:
- あなたの成長に抵抗感や恐怖感を示す
- ネガティブなことしか言わない
- あなたの意見を無視する
- あなたが引いた境界線を無視する
- 一緒に時間を過ごした後、あなたが疲れてしまう
誰かとしゃべった後、自分自身に「会話を始める前より、気分は良くなった? 悪くなった?」と聞いてみよう。
自己愛をどう育てるか
自己愛を育てる方法はたくさんあり、どれが一番良いかは人によって異なる。
「朝5時の起床、メディテーション、日記で自己愛を感じられる人もいますが、それはダンスやランニングだったり、ライフコーチやセラピストと話しをすることで得られる場合もあります」とヘンダーソン氏は言う。
「自己愛や自分に合った方法を見つけるには、継続がカギとなります」
試してみたい自己愛の育て方の具体例としては:
- 支援を求める:研究によると、セラピストには自己愛や自尊心を育てる支援ができるという。セラピストにはあなたの不安がどこから来ているのか突き止めるためにやさしく導き、それを乗り越える手伝いができる。「セラピストはうつや不安、トラウマといった潜在的な問題をチェックすることもできます」とダラマス氏は言う。
- 自己愛のメディテーションを行う:マインドフルネス同様、自己愛のメディテーションは自分自身と向き合い、自らに対する愛や思いやりといった感情を呼び起こすものだ。
- 日記をつける:ものを書くということは、自分に自らの感情、誇り、自分の好きなところ、目標達成のために自分がしていることを認識するチャンスを与え、幸福感を高めることにつながる。
- 肯定的な言葉に耳を傾ける: 肯定的な言葉とは、あなたの自己愛が揺らいだり、自己愛を高める必要がある時に自分自身に言ってあげることのできるフレーズだ。「自分には価値がある」「自分は愛されている」といった言葉もこれに含まれるかもしれない。始める際には、専用のアプリや日記も入手可能だ。
まとめ
自己愛とは、良いことも悪いこともある"生涯にわたる旅"だ。自力で自己愛を実践し、育てることもできるし、メンタルヘルスのプロの力を借りてもいい。自分自身を愛するということは、自分のニーズに耳を傾け、ネガティブな考えに疑いを持ち、あなたを憂鬱にさせる人をあなたの人生から追い出すことだ。
[原文:What does it mean to love yourself? 6 ways to practice self-love, according to psychologists]
(翻訳、編集:山口佳美)