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Toward 2050 変革のカタリストたちの挑戦

2050年「洋上風力」を日本の電力源に──デロイト トーマツの挑戦

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風車

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2020年末に日本政府が発表した、2050年に温室効果ガス排出ゼロを目指す「グリーン成長戦略」。その実現に向けたカギを握るのが、欧州や中国と比べて参入が遅れている日本の「洋上風力発電」だ。洋上風力発電は周りが海に囲まれている日本で大きなポテンシャルを秘めているものの、普及にはさまざまなハードルがある。

そこに挑むのが、洋上風力発電領域で先駆的な知見や実績を持つデロイト トーマツ グループ(以下デロイト トーマツ)だ。最前線で洋上風力事業を牽引する3人に、洋上風力が持つ可能性やその普及に向けたビジョンを聞いた。

これからの日本の電力源になる「洋上風力」

洋上風力支援事業をリードする山本真実氏(左)、加藤健太郎氏(中央)、福本真二氏(右)。

洋上風力支援事業をリードする山本真実氏(左)、加藤健太郎氏(中央)、福本真二氏(右)。

日本の洋上風力発電事業が急ピッチで進んでいる。

2020年7月現在、日本各地の計14地区で計画が進行中。さらに政府は「2040年までに洋上風力30~45ギガワット」の案件形成を予定しており、毎年3~4件が事業認定される見込みだ。この30~45ギガワットとは原発30~45基分に当たる。原発から洋上風力に直接的にシフトするわけではないが、洋上風力が日本のエネルギーを支える重要な電力源になることは間違いない。

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にわかに熱を帯びてきた洋上風力発電だが、世界的に見ると早くから国策として取り組む欧州や中国に比べて日本は後発だった。風向きが変わったのは、2018年に「再エネ海域利用法」が公布されてから。デロイト トーマツの洋上風力発電チームでリーダーを務める加藤健太郎氏は、次のように解説する。

「それまでは『海は誰のものか』という論点があり、海に巨大構造物を建てづらかった。しかし、新法ができて、洋上風力などの巨大構造物を長期に渡り安定的に占有できるようになりました。権利の問題が法的に安定すれば、洋上風力事業者やそこに融資をする銀行も動きやすくなります。

このように基盤が整備されたことで洋上風力は一気に注目を集め、今後1年で5000億〜1兆円規模の投資が見込まれています。これからさらに多くのビジネスチャンスも生まれていくでしょう」(加藤氏)

加藤健太郎氏

加藤健太郎(かとう・けんたろう)氏/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下DTC) アソシエイトディレクター。再生可能エネルギーの黎明期よりコンサルティング及び事業開発に携わる。2017年にDTCに参画後、再生可能エネルギー領域のリーダーとして官公庁のエネルギー政策、企業の戦略立案・M&Aのプロジェクトに従事。実事業を通じた経験をもとに、洋上風力発電領域におけるデロイト トーマツ グループの政策、市場調査、戦略策定・入札支援などをリードしている。

「脱炭素以外」の効果とは

法的な課題をクリアしたいま、洋上風力への期待は膨らむ一方だが、加藤氏は「日本のポテンシャルは未知数」と冷静に話す。

「日本は海洋国家です。ただ、海上でも風がたくさん吹く場所ばかりではありません。また、ヨーロッパに比べて海底の地盤が固い地形が多く、構造物を固定する杭が打てないところもある。海に囲まれているものの、必ずしも地形的に有利とはいえません」(加藤氏)

風車は、2万~3万点の部品を精緻に組み合わせてできあがる。また海上に巨大構造物を建設するのにも高度な土木技術が必要だ。

「簡単なことではないが、それを乗り越えられる知恵や技術力を日本は持っている」と、技術面での期待の大きさを加藤氏は語る。

自国でつくらなくても、先行する欧州や中国から輸入して建てればいいという考えもあるだろう。しかし、中国製の安いパネルに頼った太陽光発電は、国内に産業として根づかず、現在は停滞気味だ。

中長期視野で再生可能エネルギーを定着させるには、国内の産業育成も同時に行うことが必要不可欠である。ファイナンシャルアドバイザリーの福本真二氏は、洋上風力産業を育成する意義について、次のように話す。

「エネルギーシフトで問題となるのは、既存のエネルギー産業に従事する方々の雇用です。洋上風力を産業として育成することで、その受け皿が生まれます。国内で洋上風力産業が育てば、将来はベトナムやインド、ブラジルなどの世界の洋上風力適地にインフラ輸出することも考えられます」(福本氏)

福本真二氏

福本真二(ふくもと・しんじ)氏。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 シニアヴァイスプレジデント。2016年に同社に参画後、再生可能エネルギーに関連する官公庁事業や企業の戦略立案・M&Aのプロジェクトに従事。国内外の洋上風力事業投資・入札に係るアドバイザリー業務をリードしている。

また、洋上風力の推進はカーボンニュートラル社会に貢献するだけでなく「日本経済を成長させる起爆剤にもなる」と地域社会のエネルギーシフトをサポートする山本真実氏は語る。

「産業育成という面では、日本企業と海外企業が切磋琢磨しながら競争し技術を身につけ磨いていくことが必要だと考えています。

そのためには、いかに官民が一体となって新たな産業をつくっていけるかがとても大事で、私たちはカタリスト(触媒)として入り込んで支援をしていきたいと考えています」(山本氏)

山本真実氏

山本真実(やまもと・まさみ)氏。有限責任監査法人トーマツ マネジャー。2020年に入所後リスクアドバイザリー事業本部に所属。洋上風力を含むエネルギーシフトの潮流を日本の活力に変えるため、官庁や自治体、地域企業に対してアドバイザリーやリスクマネジメントを行っている。

戦略、ファイナンス、自治体支援…強みは「ワンストップ」

デロイト トーマツは、洋上風力発電事業に対して具体的にどのような支援を行っているのか。

洋上風力発電事業はテーマが幅広い。事業者は地域や競合の分析を行い、入札戦略を立て、提案書を作る。その過程でプロジェクトファイナンスを行ったり、新しい子会社やSPC(特別目的会社)を設立したりする必要もある。

新会社を作れば会計税務も避けて通れない。省庁や自治体側から見ると、産業育成や地域活性化といったテーマも絡んでくる。それら多岐にわたる領域で、同グループは「洋上風力に関わるあらゆる困りごとを支援する」(加藤氏)という。

大きな強みは、幅広いテーマにワンストップで対応できる総合力だ。中心メンバーの加藤氏は参入戦略、福本氏はファイナンス、山本氏は自治体支援のプロフェッショナルだが、その他にも組織内にはM&A、地域振興、会計税務、デジタル領域などの専門家が約100人いてバックアップする。また、豊富な知見が集まるグローバルネットワークを駆使して、多岐にわたるテーマに対するグループ全体での横ぐしのサービス提供が可能だ。

まだスタートを切ったばかりの日本の洋上風力事業において、この体制は心強い。福本氏は自身の経験をこう語る。

「公共事業で発注者の政府が配布する入札図書は、これまでの積み重ねで枚数やフォーマットがだいたい決まっています。しかし、洋上風力はまだ何も決まっておらず、官民ともに試行錯誤を繰り返しながら政策や事業を進めているのが実情です。

我々も暗中模索の中で、クライアントの半歩先をリードし事業をドライブしていく必要があります。洋上風力事業ではこういった前例のない困難によく直面しますが、グループ内に誰かしら専門家がいて、組織の枠を超えて後方支援してくれる。おかげで安心してチャレンジすることができます」(福本氏)

風力発電

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2050年に向けて。産業、そして社会を変えていく

洋上風力発電というフロンティアを開拓するときには、組織としての総合力に加えて、メンバーの士気の高さも武器になる。

再生可能エネルギーや洋上風力発電は重要な社会アジェンダになり、ここ10年で企業の投資意欲も劇的に変わりました。これは日本だけでなく、世界の潮流。社会が変化していく最前線にいるのは、とてもワクワクします」(福本氏)


「今日本は洋上風力発電をつくるところに意識が集中していますが、先行する欧州では、保守点検にAI技術を活用したりDXと絡めた施策を行ったりとさらに次のフェーズを進んでいます。エネルギー転換が日本の地域創生にどうプラスになっていくかを考えつつ、先を見通した広い視野をもってコンサルティング業務を実践していきたいと考えています」(山本氏)

メンバーの力強い言葉を聞いて、リーダーの加藤氏は最後にこうまとめた。

「私たちはカーボンニュートラル社会の実現に向けて『Just Transition(公正な移行)』というコンセプトを標榜しています。Just Transitionには、エネルギー源をクリーンに変えることだけでなく、日本のこれまでのビジネスモデルやサプライチェーンを新たな産業に適応させて、産業育成・地域創生を実現させていくことなど多様な側面があります。

このようなトランジションを進めることが、日本企業に長年寄り添ってきた私たちの使命です。

洋上風力は、今後30年以上かけて続くプロジェクトです。成功に導くには、現場で奔走する若手を次のリーダーとして育て、さらに次の世代へとたすきをつないでいかなくてはいけません。洋上風力発電の黎明期の今、現場の最前線で身につけているナレッジを知的アセットとして体系化しながら、より一層高品質なサービスを提供すべく我々は挑戦を続けていきます」(加藤氏)


デロイト トーマツが取り組む洋上風力発電支援について、詳しくはこちら。

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