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- マイクロソフトは、ワークプレイス・ツールのユーザーの動向がパンデミックの中でどのように変化したかを分析した。
- 人々は今、2倍以上の時間を会議に費やし、チャットも約5割増しになった。
- 調査対象者の半数以上が働き過ぎていると回答した。
もしあなたが、パンデミックの中の在宅ワークに疲れているなら、その理由を説明する驚くべき調査結果がある。人々は今、パンデミック以前に比べ2倍以上の時間を会議に費やし、同僚からはチャットのメッセージ攻勢に遭っている。
これはマイクロソフト(Microsoft)が2021年3月22日に発表した、この1年間にMicrosoft Teamsなど同社製のワークプレイス・ツールで行われたやりとりの分析結果だ。このデータは、労働者の多くが身を持って感じていることを裏付けるものになっている。在宅ワークは仕事を終わらせることを困難にする多くの課題を生み出しているのだ。
「労働者に対するデジタルの圧力は大幅に増している」とレポートは述べている。
下のグラフは、ユーザーがこの1年で会議に費やした時間(青色)と、やり取りしたチャットのメッセージ数(黄色)を表している。どちらも企業が従業員に在宅勤務を命じた2020年3月以降に増加した。
2021年2月には、労働者が会議に費やす時間は2020年2月と比べ2.5倍にもなっており、同僚とのチャットも45%増となっている。就業時間外のチャットも、42%増加している。
疲れ果てるのも無理はない。マイクロソフトが行った正社員と自営業者約3万人を対象にした別の調査では、回答者の50%以上が自分は働き過ぎであると述べたという。
さらに別の調査は、同じように燃え尽き症候群が蔓延していることを示している。会議への参加やメッセージへの返答にこれまで以上の時間を費やしているのであれば、本来の仕事の時間は減っているということだ。そのため、夜間や週末に仕事をして、終わらせなければならないことも多くなる。実際に、パンデミックによって実労働時間は49分から3時間程度長くなっているという調査結果もある。
COVID-19のパンデミック以前も、アメリカでは長時間の会議やデジタルツールによる過負荷の問題が取り沙汰されており、企業は長年にわたって、少しづつ対策を施してきた。グーグル(Google)は何年も前に、Googleカレンダーに「会議の迅速化(speedy meetings)」という設定項目を設け、会議の短縮を促している。
だが今、疲れ果てた従業員のために、それ以上のことを行っている企業もある。例えば、シティグループ(Citigroup)は3月22日、従業員に対し、毎週金曜日は内部のテレビ電話を禁止すると伝えた(ただし、音声通話は可)。
「家庭と職場の境目が曖昧になり、絶え間なく続く仕事が、我々の生活に負担をかけている」とシティグループのCEO、ジェーン・フレイザー(Jane Fraser)が記した文書を、CNBCが入手している。
過剰なコミュニケーションに加え、マイクロソフトのデータは在宅ワークのもう1つの否定的側面を示している。パンデミックの中、同じチームのメンバー同士はより頻繁にコミュニケーションを取ったが、別のチームの人とのコミュニケーションは減っているのだ。
「繋がりがなくなると、イノベーションも止まる」とマイクロソフトのシニア・プリンシパル・リサーチャーのナンシー・ベイム(Nancy Baym)はレポートで述べた。
「新しいアイデアが出にくくなり、集団思考に陥る可能性が高まる」
興味深いことに、ウイルスを効果的に排除して、その後ロックダウンが緩和されたニュージーランドでは、チームの孤立化も緩和された、とマイクロソフトは報告している。
調査レポートと並行して発表されたブログの投稿でマイクロソフトは、希望する従業員には、3月29日から出社を許可すると述べた。10月には、パンデミック後は従業員が自宅で仕事をする割合を50%以下にするハイブリッド・ワークウィークを実施すると発表している。
[原文:It's not just you - meetings really have spiraled out of control in the pandemic]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)