- 中国の消費者たちは、H&Mやナイキといった国際的なブランドの不買運動をしている。
- ボイコットされているのは、新疆ウイグル自治区の綿を使わないと約束したブランドだ。
- アメリカや欧州連合(EU)など西側諸国は先週、強制労働をめぐって中国に対する制裁措置を発表した。
新疆綿を使わないと約束したことで、少なくとも11のブランドが中国で不買運動に直面している。新彊綿は強制労働によって作られていると報じられている。
アメリカ、EU、カナダ、イギリスは3月22日(現地時間)、「新疆ウイグル自治区のウイグル族やその他の民族的、宗教的少数グループに対する抑圧的行為」をめぐって、中国に制裁を課した。その後、中国のソーシャルメディア「Weibo(微博、ウェイボー)」では、H&Mやナイキといった小売業者が過去に出した新疆ウイグル自治区の人権侵害に関する声明文が拡散し、ユーザーたちは新疆綿を使うのを止めると約束したH&Mやその他のブランドをボイコットすると宣言し始めた。
Insiderでは、これまでにその影響を受けているブランドをまとめた。
H&M
ニューヨークのマンハッタンにあるH&M(2019年11月15日)。
REUTERS/Mike Segar
スウェーデンのブランドH&Mは声明文の中で、新疆ウイグル自治区の綿はもう使用しないとした上で、同自治区にある繊維会社との関係は終了したとコメントした。声明文の中で同社は「市民社会団体およびメディアによる、強制労働の疑いを含む報告を深く憂慮している」とした。
H&Mの声明文はWeiboで拡散した。すると、H&Mの商品はアリババやJD.comといったショッピングサイトから削除され、Baidu Maps(百度地図)はH&Mの店舗の位置情報を削除した。ソーシャルメディアの投稿は、中国各地で少なくとも50店舗のH&Mがデモを恐れて店を閉めていることを示している。
ナイキ
ナイキは新疆綿の使用について独自の声明文を公表し「わたしたちは新疆ウイグル自治区の強制労働および関連する強制労働の報告について憂慮しています。ナイキは新疆ウイグル自治区から商品を調達しておらず、わたしたちの発注先も同自治区の布や糸を使用していないことを確認しました」とコメントした。
Weiboでは、人々が抗議のためエアジョーダンやエアフォース1を燃やす動画を投稿している。人気俳優のワン・イーボーは、声明に対する批判を受けて、ナイキのイメージキャラクター契約を打ち切った。
アディダス
REUTERS/Christian Hartmann
アディダスも新疆綿を使用しないと述べた。その結果、3人の大スター、ヤン・ミー、ジャクソン・イー、ディルラバ・ディルムラットがアディダスとの関係を断ったとViceが報じた。
コンバース
PYMCA/Universal Images Group via Getty Images
新疆綿を使用しないとの約束を受け、EXOのレイ、オーヤン・ナナ、バイ・ジンティンはコンバースとの関係を終了したと、サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。
バーバリー
中国共産党の機関紙である人民日報は、バーバリーを新疆綿を使用しない企業として名指しした。
カルバン・クライン
メキシコシティのカルバン・クライン(2017年5月)。
Henry Romero/Reuters
新疆綿を使用しないとの約束を受け、EXOのレイはカルバン・クラインとの契約を停止した。
アンダーアーマー
REUTERS/ Lucas Jackson
アンダーアーマーの声明文も他の多くのブランドと同じ意見で、「アンダーアーマーは新疆ウイグル自治区および同自治区外での強制労働やその他の虐待に関する信頼できる報告を深く憂慮しています」と述べた。アンダーアーマーも不買運動の対象ブランドリストに名前が上がっている。
トミー・ヒルフィガー
Getty Images/Vittorio Zunino Celotto
新疆綿をめぐって、複数のセレブがトミー・ヒルフィガーのプロモーションを止めると発表していると、Viceが報じた。
ニューバランス
AP Photo/Stephan Savoia
人民日報は、ニューバランスも新疆綿を使用しない企業として名指ししている。
ギャップ
マンハッタンにあるギャップ。
Reuters/Eduardo Munoz
ギャップは「わたしたちは新疆ウイグル自治区から一切衣服を調達していないことを確認しました」とした上で、同社には「非自主的な労働の使用に反対する厳しいポリシー」があるとする声明文を発表した。その結果、ギャップはWeiboの不買運動の対象リストに加えられた。
ザラ
ザラのウェブサイトには、新疆ウイグル自治区における強制労働に関する報告を「非常に憂慮している」とする声明文が掲載されたが、その後、削除された。ザラもWeiboの不買運動の対象リストに加えられている。
(翻訳、編集:山口佳美)