サンパウロでは作業員たちが防護服に身を包み、COVID-19の合併症で亡くなった人の棺を埋葬していた(2021年3月24日、ブラジル)。
AP Photo/Andre Penner
- ブラジルの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による週平均の死者数は、世界全体の26%を占めている。
- AP通信によると、状況は厳しく、悪化の一途をたどりそうだ。
- 4000人という1日あたりの死者数は「すぐそこ」だとサンパウロのある医師は警鐘を鳴らしている。
ブラジルが新型コロナウイルスにあえいでいる。報道によると、死者数が急増し、火葬場はパンクしているという。
ブラジルの1日あたりの死者数は現在、世界中の他のどの国よりも多いとAP通信は報じた。
Worldometersによると、ブラジルでは3月27日(現地時間)、3368人の新型コロナウイルス関連死が報告されたという。
その週平均の死者数 —— 1日あたり2542人 —— は、Our World In Dataによると、世界全体の26%を占めている。
あまりにも死者が多いため、サンパウロの墓地では2、3分ごとに埋葬が行われているとCNNは報じた。
火葬場はパンクしているという。ある施設では、1日あたりに対応できる数の3倍もの需要があると、CNNは伝えている。
状況は厳しく、専門家によると、それは悪化の一途をたどりそうだ。
「公的医療制度、効果的な予防接種キャンペーンの歴史があり、どこにも負けない医療従事者のいる国で、想像もしたことのないレベルをわたしたちは上回っている」とデューク大学の神経生物学の教授ミゲル・ニコレリス(Miguel Nicolelis)氏はAP通信のインタビューで語った。
「次は医療制度の崩壊だ」
ブラジルの医療制度はプレッシャーに負けそうになっているとAP通信は報じた。ほぼ全ての集中治療室(ICU)の病床が埋まっているもしくはほぼ埋まりそうな状況だという。
1日あたりの死者数もすぐに4000人に到達する恐れがあると、ある専門家はAP通信に語った。「1日あたり4000人という死者数は、すぐそこまで迫っているように見える」とサンパウロ病院のスーパーバイザーの1人、ホセ・アントニオ・クリアチ(Jose Antonio Curiati)氏は話している。
人から人へ非常に広がりやすい変異ウイルスが大惨事をもたらし、ブラジルの死者数は30万人を超えた。
これには、ボルソナロ大統領がロックダウン(都市封鎖)措置の導入に抵抗しているせいだとの批判の声もある。
大統領は、ロックダウンは経済にとって実行可能ではないと繰り返し主張し、根拠のないCOVID-19の治療法を奨励し続けていると、ニューヨーク・タイムズは報じた。
そして、ロックダウン措置を導入しようとした州知事や市長らを「独裁者」と呼んだとBBCは報じている。
3月上旬には国民に対し、ウイルスについて「泣き言を言うのは止めろ」と言い放った。
ルラ元大統領を含め、ボルソナロ大統領を批判する人々は、大統領のコロナ対応に反対の声を上げてきた。
「これはわたしたちの歴史上、最大のジェノサイド(大量虐殺)だ」とルラ元大統領は語った。
(翻訳、編集:山口佳美)