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Toward 2050 変革のカタリストたちの挑戦

地球はこのままでは守れない──デロイト トーマツが考える「環境と経済の好循環」とは

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Shutterstock / Sepp photography

いまや企業活動と切り離せないテーマとなった気候変動問題。世界の企業も強い関心を寄せており、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:以下、TCFD)への賛同企業が増えている。

TCFDは、2015年12月にG20の要請を受けた金融安定理事会(FSB)によって設立。投資家の適切な意思決定のため、企業に対して一貫性、比較可能性、信頼性のある気候関連財務情報の開示を促すことを目的としている。

実はこのTCFD、日本でも賛同企業が350社を突破。その数は世界1位だ。

この盛り上がりに一役買っているのが、4年前からTCFDに注目して関係各所にアプローチし続けてきたデロイト トーマツ グループ(以下デロイト トーマツ)だ。TCFDは企業活動、そしてサステナブル社会の形成にどのような影響を与えるのだろうか。同グループでTCFDを推進する3名に話を聞いた。

「見せかけだけではない開示」が求められている

深刻化する気候変動問題を受けて、現在、SDGsやRE100(※)などさまざまな国際的イニシアチブが発足しているが、なかでも企業活動と強く結びついているのはTCFDだろう。

※RE100…企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ

TCFD

異常気象による災害が起きると、サプライチェーンが寸断されるなどして企業活動がストップするおそれがある。それらの物理的リスクに加え、炭素税や温室効果ガス(GHG)排出の削減など気候変動を抑えるための政策によって、場合によってはリーマンショックほどの多大な事業への影響を受けるおそれもある。

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出典:TCFD公式ホームページの情報をもとにTCFDコンソーシアム作成

企業にお金を出す投資家側から見ると、企業が気候変動関連リスクを踏まえてどのような対策を取っているのか、あるいはリスクをチャンスに変える戦略を持っているのかが「見える化」されていないと、投資の判断がしづらい。

そうしたニーズを背景に、G20の要請を受けた金融安定理事会が2015年12月にTCFDを設置。2017年6月に最終報告をまとめて、気候関連のリスクと機会について企業が自主的に情報開示する際のフレームワークを提示した。

このイニシアチブ発足当時から関わっているのが、デロイト トーマツだ。現在、日本でTCFD対応アドバイザリーチームを率いるデロイト トーマツ コンサルティングの丹羽 弘善氏は、約4年前に当時欧州で先行していたTCFDの動きを知り衝撃を受けたと明かす。

「日本ではそれまでサステナビリティレポートや統合報告書といった気候変動開示はありました。ただ、それらは自社が現時点でどのくらいCO2を排出しているか程度の断面的な情報の開示にとどまっていました。
一方TCFDは、気温上昇を1.5℃未満に抑えられた場合、2℃未満の場合、3℃未満の場合……といったように複数のシナリオに基づく検討を行い 、企業の経営戦略のレジリエンスについて説明することを求めています。 これは劇的な変化です」(丹羽氏)

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丹羽 弘善(にわ・ひろよし)氏/デロイトトーマツコンサルティング合同会社 アソシエイトディレクター。環境ベンチャーや商社との排出権取引に関するジョイントベンチャーの立ち上げなどを経て現職。気候変動関連のシステム工学・金融工学を専門とし、政策提言、排出量取引スキームの構築、気候変動を踏まえた経営戦略業務に従事。

2050年、気温上昇2℃の差が社会を変える

丹羽氏が興奮気味に話すのには理由がある。同氏は気候変動問題に十数年にわたり携わってきたプロフェッショナルで、前職の環境ベンチャー時代にはCO2排出権取引の制度設計にかかわった。一定の成果は上げたものの、「CO2の削減は企業にとってあくまでもCSRの一環であり、経営戦略と結びついていなかった」と限界も感じていた。そこに登場したのがTCFDだった。

「TCFDが求めるのは、環境と経済の好循環。この2つをつなげることは私個人の悲願でもありました。とうとうここまで来たかと感慨深かったです」(丹羽氏)

衝撃を受けたのは、当時丹羽氏とともに動いていた有限責任監査法人トーマツの中島 史博氏も同様だった。とくに驚いたのは、シナリオ分析という手法が盛り込まれていた点だ。

「気候変動対策の国際的な枠組み『パリ協定』では、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えることを掲げました。
2100年の気温上昇は2℃か、はたまた4℃か。それに向けてどのような技術革新があり、政策はどう変わるのか。TCFDでは、将来起こりうるシナリオを前提にリスクと機会を分析することが求められます。既存の開示要請でここまで方法論が定められるものはなかった。

もう見せかけだけの開示は許されない。TCFDは、間違いなく企業や社会を変えると感じました」(中島氏)

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中島 史博(なかじま・ふみひろ)氏/有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー。大手コンサルティングファーム、サステナビリティコンサル会社を経て2016年に入所。環境経営やサステナビリティ、ESG経営のアドバイザリーに従事。

一方、サステナビリティを切り口とした戦略コンサルティングを提供していた藤井 麻野氏も、TCFDで日本企業が変わる可能性を感じたという。

「日本企業の経営戦略は3~5年の中期計画が中心です。ただ、サステナビリティを実現するには、もっと長いスパンで戦略を考える必要がある。TCFDをきっかけに、10~30年といった長期のスパンで経営を考える企業が増えるのではないかと期待が膨らみました」(藤井氏)

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藤井 麻野(ふじい・まや)氏/モニターデロイト アソシエイトディレクター。10年以上にわたり戦略コンサルティングに従事。中でもCSV・サステナビリティを切り口とした経営戦略や新規事業の策定、ブランディング、マネジメントシステム改革などのプロジェクトを多く手掛ける。著書に『SDGsが問いかける経営の未来』がある。

ノウハウはオープンに。「触媒」となり変化を加速する

TCFDの動きをグローバルでいち早く察知し、その意義や可能性を見出したデロイト トーマツは、日本でも先駆けてアクションを起こした。丹羽氏は経済産業省と一緒に海外の投資家を回ってヒアリングを実施。それを受けて経済産業省はTCFDの研究会を立ち上げ、デロイトトーマツが事務局としてサポートに入った。

監査法人をバックグラウンドに持つ同グループがアドバイザリーとなることで、経営戦略への取り込みが必須のガバナンスにおいて、事業活動の変革や財務まわりの施策に入り込み、官民が連携したスピーディな推進ができたのだ。

さらに環境省の受託事業として2018年度から3年間、「気候関連リスク・機会の把握とシナリオ分析の支援事業」を実施。参加企業にナレッジを提供した。

注目したいのは、シナリオ分析の進め方を実践ガイドとしてまとめて、参加企業以外にもオープンにしていることだろう。シナリオ分析のノウハウは、コンサルティングファームにとって大事な“商品”。それをオープンにするのはなぜか。丹羽氏は「私たちが目指しているのは、専門性と総合力を提供して社会変革とイノベーションを加速させる“変革のカタリスト(触媒)”ですから」と答えた。

「官公庁と協力して、財務会計から戦略まで多方面の視点を入れて仕組みづくりをしてきたのは、社会を良い方向に変えるために尽きます。ですから、私たちのノウハウを誰が使ってもかまわない。最終的に世の中がより良くなれば、それでいいのです」(丹羽氏)

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Shutterstock / KieferPix

真のサステナブルな社会の実現へ

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デロイト トーマツでは、これまでのTCFDに基づく実績と知見を活かしたシナリオ分析ツール『Climate Metrics』を2021年3月より提供開始。気候変動リスクや機会の可視化、レポーティング、モニタリングを自動で行い、長期的視点で企業の意思決定をサポートしていく。(写真はイメージです)

Shutterstock / Gorodenkoff

デロイトトーマツが早くから、かつオープンに動いた成果だろうか。TCFDに賛同した日本企業は1900社中356社にのぼり、イギリスの303社、アメリカの280社を上回り世界一となっている(2021年3月25日時点)。

同グループは引き続き枠組みづくりに参画するとともに、TCFD対応を検討している企業を支援していく考えだ。

活動を通して何を成し遂げたいのか。最後に3人に今後の展望を語ってもらった。

「以前は経営企画や環境部門が声を上げても全社的な動きになりづらかったのですが、TCFDで経営層や事業部門の意識が変わり巻き込みやすくなりました。

気候変動が経営戦略に入ると、中長期を見据えた事業ポートフォリオの再編や非財務も含めたKPIマネジメントの改革など、やるべきことがたくさん出てきます。私たちは総合力を活かして、その支援をしていきます」(藤井氏)


「TCFDのCはClimate(気候)ですが、TCFDはCを他のテーマに替えても適応できるフレームワークです。たとえばSDGsを踏まえて人権を経営戦略に入れ込んでもいい。
サステナビリティは総論賛成、各論反対になりがちなので、一つひとつ解決していくことが大事だと考えています。気候変動以外のテーマにも挑戦しながら、複雑な社会課題の解決にむけて様々な人や知識をつなぎあわせ、イノベーションの創出や変革を促進するカタリストとしての役割を果たしていきたいです」(中島氏)


「デロイトトーマツが立ち上げた気候変動に関するチームでは“Just transition”をコンセプトに掲げています。産業や労働者を公正に移行するという意味ですが、私は一人ひとりが自分の行動に責任を持つことが公正なトランジションにつながると解釈しています。
また、これまでずっと気候変動にまつわる問題に携わってきた身としては、最近特に若い世代のみなさんの間でエシカル消費が進むなど気候変動に対する関心が高まっていると感じます。
2030年、2050年、さらにその先の未来に向けて長いスパンで向き合い続けないといけない非常に大きな課題です。若い世代の方と一緒に、今後もディスカッションしながら環境と経済の好循環に向けて取り組んでいきたいと思います」(丹羽氏)

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気候変動・サステナビリティに関するデロイト トーマツの取り組みや情報はこちら。

気候変動リスク・機会に対するシナリオプランニングツールについてはこちら。

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「事業の原点に立ち返る」デロイト トーマツCEOが語る、企業のあるべき姿への責任と決意

「人とひとの相互の共感と信頼に基づく『Well-being(ウェルビーイング)社会』」の構築を目指す──。デロイト トーマツ グループ(以下、デロイト トーマツ)が2021年3月11日に掲げたAspirational Goal(目指すべき社会の姿)だ。デロイト トーマツは1968年に日本初の全国規模の監査法人として誕生した、監査やコンサルティングのプロフェッショナル集団。なぜいまこのような構想を打ち出したのか。永田 高士CEOにその狙いや経済社会に対する決意を聞いた。コロナ禍の社会変容が導いた「新たなアプローチ」── プロフェッショナル集団がなぜ「Well-being社会」の構築をゴールとして設定したのか、背景を教えてください。約3年前にグループCEOに就任したとき、当グループの目指す姿として「経済社会の変革のカタリスト」を掲げました。私たちは会計士、コンサルタント、税理士、弁護士、そしてデータサイエンティストやエンジニアなどを含む約1万5000人のプロフェッショナルを擁する集団です。この多様な人材が個々の専門領域を越えて互いに連携し合うことで、日本企業や社会システムに大胆な変革を促す

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