各国で開発が進む｢ワクチン・パスポート｣…海外旅行で必須になるかもしれない

それでも、AP通信とInsiderが報じたように、今後数カ月のうちに、海外旅行者にとってワクチン・パスポートは必須になる可能性が高い。

ワクチン・パスポートとはどんなものか

デジタル・パスポートは、航空便の搭乗券のようなもので、スキャン可能なコードが付いており、スマートフォンで表示したり、事前に印刷したりして使用するとワシントン・ポストは報じている。また、旅行によっては、予防接種の際に受け取る予防接種記録カードで代用することもできる。

例えば、ハワイでは、州当局が、ハワイを出入りする際や島を越えて旅行する際に、ワクチン・パスポートを発行することを検討していると、地元のテレビ局KHON2が報じている。

しかし、アプリが開発されている一方で、ハワイ州のジョシュ・グリーン（Josh Green）副知事は、空港で職員が予防接種記録カードをチェックするだけで事足りると述べている。

一方でバイデン政権は、クルーズ船やレストランなどの混雑した場所に入る前に予防接種を受けていることを証明するためのワクチン・パスポート・プログラムの作成に取り組んでいるとワシントン・ポストは報じている。

同紙によると、ヨーロッパでも、EUが同様の共同ワクチン・パスポートの開発に取り組んでおり、夏の観光のピークに間に合うよう、6月までに稼働させることが期待されているという。

イスラエルではすでに｢グリーン・パスポート｣と呼ばれるデジタル・パスポート・アプリが使われており、イスラエル政府は予防接種が完了した人に証明書を発行している。

一部の国では、これまでも入国時に特定の病気に対する予防接種の証明が必要で、旅行者は紙の国際予防接種証明書を使用していた。

また、旅行を再開したいというニーズの高まりに対応するため、CommonPass、IATA（国際航空運送協会）のTravel Pass、CLEAR社のHealth Passなど、予防接種の証明を保存・表示するデジタルヘルス・パスポート・アプリがすでに登場している。

世界保健機関（WHO）も、デジタル・ワクチン・パスポートのガイドラインと基準を定めた｢スマート・ワクチン証明書｣の作成に取り組んでいる。

政府や航空会社は、予防接種の要件や、安全であることを証明する方法をまだ統一しておらず、旅行業界のリーダーの中には、強制的な予防接種が差別につながるのではないかという懸念を抱いている人もいる。

しかし、希望を持っている人もいる。

ジョージタウン大学ローセンターのオニール国家・国際保健法研究所の所長であるローレンス・ゴスティン（Lawrence Gostin）は以前、Insiderに次のように語っている。

｢ワクチン・パスポートは、正しく、公平に行われれば、より早く通常の状態に戻るための手段になる。旅行、スポーツ観戦、仕事への復帰など、私たちが好きなことをより安全に行うことができるようになる｣

もっと知る

｢ワクチン保護主義｣欧州で台頭の懸念。輸出規制めぐる衝突は世界経済の大きなリスクに

もっと知る

ワクチン接種率は英国46%、日本1%以下。世界のワクチン接種と感染状況の｢今｣…最新16データで知る

［原文：Vaccine passports won't be federally mandated in the US, but you might need one for international travel. Here's what it could look like.］

（翻訳、編集：Toshihiko Inoue）