ファイザーとビオンテックが開発した新型コロナウイルス感染症のワクチン。
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- ファイザーは、4月4日にイスラエルに届く予定だった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン70万回分の輸送をストップさせた。
- ファイザーが輸送をストップさせたのは、イスラエルが前回受け取ったワクチン250万回分の費用を支払わなかったからだという。
- さらなる支払いの遅れが懸念される中、ファイザーの従業員はイスラエルを「バナナ共和国」と呼んだと、現地メディアは報じている。
イスラエルが前回受け取ったワクチン250万回分の費用を支払わなかったことを受け、ファイザーは4月4日にイスラエルに届く予定だったCOVID-19のワクチン70万回分の輸送をストップさせた。
エルサレム・ポストによると、ファイザーとビオンテック(BioNTech)が開発したCOVID-19のワクチン70万回分は4日にイスラエルに到着するはずだったが、無期限に延期されたという。
現地のラジオ局Army Radioは、ファイザーの従業員がイスラエルの政治的不安定さについてコメントし、イスラエルを「バナナ共和国」と呼んだと報じていると、エルサレム・ポストは書いている。また、ファイザーの幹部は、ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府がワクチンの費用を支払えないのではないかと懸念しているとも報じた。
ネタニヤフ政権は、最初の1000万回分のワクチンの費用を支払った後、大々的なワクチン接種キャンペーンをスタートさせた。しかし、2月にはワクチンの供給が不足し始めた。
ロイターによると、イスラエル政府はファイザーとビオンテックが開発したワクチンを約3600万回分 —— その費用は約35億シェケル(約1170億円) —— 追加購入しようとした。ところが、裁判官の指名をめぐってネタニヤフ首相とガンツ国防相が対立、計画は頓挫した。
イスラエルではこれまでに83万4000人以上が新型コロナウイルスに感染し、6243人が死亡している。
ワクチン輸送の遅れについてエルサレム・ポストに問われたファイザーは、2020年11月の合意に盛り込まれていた分(26億シェケル相当のワクチン、具体的な量は明らかにされていない)は全て輸送済みだと述べた。
「弊社は現在、イスラエル政府と協力し、ワクチンを追加供給するための合意のアップデートに取り組んでいる。この取り組みが続く一方で、輸送は調整される可能性もある」とファイザーはエルサレム・ポストへの声明で述べた。
イスラエルでは、16歳以上の約527万人が1回目のワクチン接種を、約484万人が2回目のワクチン接種を済ませている。人口約930万人の半数以上が少なくとも1回目のワクチン接種を済ませているイスラエルは、世界有数の接種率の高さを誇っている。
Insiderはファイザーとイスラエル保健省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
(翻訳、編集:山口佳美)