ポールスターの現行モデル。
Polestar
- ボルボ傘下のポールスターは、クライメート・ニュートラルな電気自動車「ポールスター0」の開発に取り組んでいる。
- 同社は、製造工程で排出される温暖化ガスをオフセットするというより、発生しないようにしていくと述べている。
- ポールスターのサステナビリティ部門責任者であるフレデリカ・クラレンが、このプロジェクトについてInsiderに語った。
スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ(Volvo)傘下の電気自動車メーカーのポールスター(Polestar)は4月7日、「世界初のクライメート・ニュートラル・カー」を開発していると発表した。この車は「ポールスター0」と呼ばれ、2030年までに製造される予定だ。
同社は、木を植えることで温暖化ガスの排出量をオフセット(相殺)するのではなく、製造方法を変えることで、最初から温暖化ガスを排出しないようにしていくと述べている。
「我々は電気自動車を製造しているので、ガソリンなどの燃焼による有毒な排気ガスの発生を心配する必要はない。だからといって我々の仕事がそれで終わりというわけではない」と、同社のサステナビリティ部門責任者であるフレデリカ・クラレン(Fredrika Klarén)は声明で述べた。
ポールスターが現在販売しているのは、わずか2車種だが、ともにInsiderの「2020年カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
同社は製造に伴うすべてのすべての温暖化ガスの排出をゼロにする計画だと、クラレンがInsiderに語った。そのために、サプライチェーン全体で再生可能エネルギーやリサイクル素材などが使用される。
「今日出荷されたポールスター2はカーボンフットプリント(炭素の足跡:温暖化ガス排出の履歴)を残して工場の門を出た。2030年には足跡を残さない車を販売したい」と同社のトーマス・インゲンラス(Thomas Ingenlath)CEOは声明で述べている。
ポールスターは、できる限りエネルギー効率の高い車を製造するために、サプライチェーン・パートナーにも協力を求める、とクラレンは述べた。
「我々の事業は、完全に彼らに依存していると言っていい」
彼女は、ポールスター0の価格、生産台数、ターゲット市場はまだ決まっていないとも述べた。
ポールスターの最大の課題は、生産規模の拡大と、カーボンニュートラルな製品に対する消費者の需要喚起だという。消費者は結局「何を買うかによって意思表示する」ことになるが、パンデミックの影響で多くの人々が自分の消費習慣について考えるようになった、と彼女は付け加えた。
クラレンによると、ポールスターは今後販売するすべての自動車に、カーボンフットプリントや材料の調達先を開示するサステナビリティ宣言を付加することで、自動車の環境への影響についての人々の意識を高めていきたいという。まずは、温暖化ガス排出量26トンのポールスター2から、この取り組みが始まる。ポールスター0が発売されれば、そのカーボンフットプリントはゼロになるだろうと彼女は述べた。
2021年モデルのポールスター2
Guillaume Fournier Photographe
同様の宣言は、食品やファッション業界でも行われているが、ポールスターの宣言は、自動車メーカーにおける「独自の透明性を示す初めての事例」になると、同社は述べている。
クラレンによると、多くの企業が植林などを行うカーボンオフセットを利用してカーボンニュートラルであることを宣言しているが、これには「科学的な裏付け」がなく、長期的に見ると持続可能ではない「憂慮すべき事態」だという(彼女は具体的な企業名を挙げなかった)。
ポールスターは、4月7日に発表した年次報告書で、カーボンニュートラルな自動車の目標を発表した。
同社はすでに、賞与の査定に気候変動に関する目標を取り入れている。また、クラレンはInsiderに対し、2040年までにカーボンニュートラルを達成したいと述べた。現在でも、生産を行っている中国の成都にある工場では、再生可能エネルギーのみを使用しているという。
今回の発表は、ポールスターが販売拠点をアメリカ各地に拡大することを受けて行われた。3月には、ボストン、アトランタ、ダラス、デトロイトなど、15都市にショールームを開設する計画が発表されている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)