“東京勤務”のこだわり捨てる就活生。会社選びの条件は「リモートで働けるかどうか」

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東京などの大都市での勤務から、より地方に目が向いたという就活生もいる。

撮影:横山耕太郎

コロナ禍で、就活生の勤務地に対する意識が変わりつつある。

2022年卒業の就活生ら1220人が回答したアンケート(ベネッセiキャリアが2021年2月から3月に実施)では、全体の15%が「コロナの影響で希望の勤務地に変化があった」と答え、そのうち3人に1人が「東京など大都市から、それ以外のエリアも検討するようになった」と回答した。

コロナの影響を受けて、東京など大都市での勤務にこだわらなくなった就活生が一定数いることが分かる。

就活生や大学生からは、「いろいろな場所に住みながら働きたい」、「東京勤務を希望していたが、東京でなくてもリモートワークができれば抵抗はなくなった」などの声も聞かれ、採用活動でリモートワーク体制をアピールする企業も増えてきている。

東京の会社に内々定。でも「東京には住まない」

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女子大生のTさんは「オンラインでいくらでも人脈は広げられる」と話す。

GettyImages

「大学に入った当時は、『就職は東京。都会じゃないと人と繋がれない』と思っていました。でもコロナで時代が変わって、オンラインでいつでも人と出会えるようになりました。会社選びでは、『フルリモートで働けるかどうか』が大事になりました

関西の私立大学4年のTさん(女性、22)はそう話す。

Tさんは2021年2月、都内のベンチャー企業からすでに内々定を得た。2022年春からはその企業に就職する予定だが、東京に住むつもりはないという。

「どこか一カ所に住むのではなく、若いうちはいろいろな土地で暮らしてみたいと思っています。1日に何十分もかけて出勤するのは時間がもったいない」

Tさんは大学の講義や就職活動も、オンライン上で経験したが、むしろオンライン化によって「一気に世界が広がった」と話す。

「大学3年時に1年間、アメリカに留学していたのですが、2020年冬に帰国してからは、コロナの影響で大学でも就活でも直接人と会えない状況でした。それでも、ウェビナーに参加したり、(音声SNS)クラブハウス(Clubhouse)を活用して、一線で活躍する人とつながることができました。オンラインでいくらでもつながれる時代である以上、好きな場所で働きたいと思っています」

「月に2回くらいの出社」が理想

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大部分がリモートワークをしているため、社員がまばらなオフィス。2020年8月に撮影。

REUTERS/Tomoshige Akira

海外の高校を卒業し、2020年9月に早稲田大学に入学した同大1年のKさん(女性、18歳)も、東京での勤務にこだわらなくなったという。

「関西に本社を置く外資系企業に興味があったのですが、家族や友達が住む東京を離れるのは嫌でした。でもコロナ禍で、体が東京にある必要はないと思うようになりました」

Kさんは大学入学後、1度しか登校せず、講義はもっぱらオンライン。制作会社でのインターンシップもフルリモートで参加している

「大学はオンライン講義ですが、さびしさは感じません。むしろオンラインでのディスカッションでは、対面よりも仲良くなれる気がしています」

Kさんは卒業後の働き方について、「旅をしながらオンラインで仕事をしたい」と話す。

友達とエアビー(Airbnb)で1週間部屋を借り、埼玉県からオンライン授業を受けたこともあります。就職先には、月に2回くらいの出社が理想かな。地方と東京を行き来した生活をしたいと思っています」

就活生の6割「リモートワークできる会社」を希望

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コロナの影響で勤務地の希望が変わったと回答した192人に、どのような変化があったのかを質問した。

ベネッセiキャリアが実施したアンケート調査の結果を基にBusiness Insider Japanが作成。

就活生のダイレクトオファーサービスを運営するベネッセiキャリアが、2022年卒の就活生ら1220人を対象に行ったアンケート調査(2021年2月28日~3月4日に dodaキャンパスの会員学生を対象に実施 )でも、就活生の勤務地へ意識の変化が明らかになった。

「就職活動をするにあたり、勤務先はリモートワークができる企業がいいですか?」という質問には、「リモートワークができる企業の方がいい」が22%、「できればリモートワークできる企業の方がいい」が36%。リモートワークができる企業を希望する就活生は約6割に上った。

アンケートを行ったベネッセiキャリアの商品サービス本部本部長・桜井貴史氏はこう指摘する。

「大学の講義がオンライン化されたことで、リモートワークを身近に感じている就活生が多い。自分らしく働けるポジティブな選択肢として、リモートワークを捉える傾向がある」

就活生は「脱・東京」?

「コロナウイルスの感染拡大の影響で希望勤務地に変化があったか」という質問では、15%が「変化があった」と回答。変化があったとした就活生に、どのような変化があったかを複数回答で聞いたところ、「東京・大阪・名古屋などの大都市から、それ以外のエリアも検討するようになった」が33%で最も多かった。

「コロナの影響で勤務地の希望が変わった割合が15%というのは、非常に高い割合。景気などに応じて志望業界を変えることは多いが、勤務地の希望は一人ひとりの働き方に対する価値観に近い部分。コロナによって、働くことに対する意識が大きく変わったことを示しているとも言える」(前出の桜井氏)

アンケートの自由回答では以下のような回答もあった。

・フルリモートワークができる企業に魅力を感じるようになった 。

・関東も検討していたが、名古屋があたりが良いと思うようになった。

・自分の住みたい土地から通える勤務地で探すようになった。

・親に持病があるため、もしもの時に駆け付けられる距離で勤務したいと思うようになった。

・程よい田舎に住みたいと強く思った 。

こうした就活生の変化を受け、企業側にも動きが出てきているという。

「オンライン就活が普及し、大都市の大学に通う学生に対し企業側もアプローチがしやすくなった。地方の企業が大都市の大学に通う地元出身者に対し、ダイレクトリクルーティングのアプローチをするなどの動きも増えている」(桜井氏)

勤務地の選択肢を増やす企業も

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就活生に「リモートワーク体制」をアピールする企業も出てきている(社員はイメージです)。

撮影:横山耕太郎

実際に勤務地の選択の幅を広げた企業もある。

大企業向けクラウド製品の開発販売を手掛ける「ドリーム・アーツ」(東京・恵比寿)は、東京本社に勤務する社員を対象に、希望すれば広島本社に勤務できる制度を2020年秋から開始した。

ITエンジニアの採用競争が激しい首都圏に比べ、地方は人材確保の面で優位性があることなどから、同社では2016年に広島本社を設置。東京が自然災害の影響を受けた場合も想定し、広島拠点への人材異動を進めており、引っ越し費用に加え、移住を促進するために30万円の一時金を支給することに決めた。

グループ全体の社員数は約250人で、現在東京本社に勤務する社員は約150人。広島本社への異動を希望した社員は約10人にのぼる。

「異動を希望しているのは広島出身者などで、20代半ばの社員が多い。

東京本社は恵比寿ですが、コロナ後はリモートワークを推進していて出社率は10%ほど。オフィスを一部解約したこともあり、社員が働きたい場所で働けるような制度を作りました。今後は、就活生に対しても『東京でも広島でも働ける』という点をアピールしてきたい」(広報担当・佐藤万智さん)

就活生や学生にとっては、「出社を前提にした勤務」はもはや当たり前ではなくなってきている。リモートワークについては、リアルでのコミュニケーションができないことによるマイナス面に目が行きがちだが、多様な働き方を推し進めることにもつながることは言うまでもない。

高まる「リモートワーク志向」に企業側も応える必要があるだろう。

(文・横山耕太郎

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