看守がフライドチキンでハンストを妨害…反プーチンのナワリヌイ氏、健康状態が悪化

2021年2月20日、ロシアのモスクワで行われた公聴会に出席した反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ。

2021年2月20日、ロシアのモスクワで行われた公聴会に出席した反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ。

Maxim Shemetov/Reuters

  • アレクセイ・ナワリヌイは、インスタグラムの投稿で、刑務官が料理の匂いを漂わせて彼の食欲を刺激しようとしていると述べた。
  • ナワリヌイは、収監されている刑務所で医療行為が行われていないと主張し、その抗議としてハンガーストライキを行っている。
  • 彼の弁護士によると、彼の健康状態は悪化しており、手足の感覚を失っているという。

ロシアの野党勢力の指導者で、現在投獄されているアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)は、刑務官が彼の目の前で鶏肉を揚げ、彼のハンガーストライキを妨害しているとインスタグラムの投稿で述べている。彼は刑務所内の医療が不十分であることに抗議し、3月末からハンガーストライキを行っている。

彼は、モスクワ近郊のポクロフ市の第2刑務所(IK-2)で3年半の刑に服しており、そこからインスタグラムを投稿して状況を説明した。投稿によると、刑務官は鶏肉の匂いを漂わせただけでなく、ナワリヌイのポケットにお菓子を忍ばせたりもしたという。

ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と対立する勢力として注目されるナワリヌイは、2014年に受けた有罪判決の執行猶予期間中に、出頭義務を履行しなかったとして、2021年2月に実刑判決が下された。だが彼は、神経剤による被害を受けたために出頭できなかったと主張している。

これは、ナワリヌイが2020年8月に神経剤の「ノビチョク」により、一時昏睡状態となった毒殺未遂事件のことで、ロシア連邦保安局(FSB)の関与が指摘されているが、ロシア当局はそれを否定している。

またナワリヌイは、2014年の横領罪での有罪判決は政治的な意図によるものだと述べ、プーチン大統領は自分を殺そうとしていると非難した。

3月末からハンガーストライキを行っているナワリヌイは、椎間板ヘルニアが2カ所に発生し、健康状態がかなり悪化していると彼の弁護士であるバディム・コブゼフ(Vadim Kobzev)が述べたとBBCが報じた

コブゼフが4月8日に投稿したツイートによると、ナワリヌイは歩く際に痛みを感じており、手足の感覚はまひし、体重も1日に1ポンド(約500g)ずつ減少しているという。

ナワリヌイはインスタグラムに次のような投稿を行った。

「当局がハンストの信頼性を損なわせ、笑いものにしようとすることは分かっていた。ただ、そのやり方の幼稚さには驚かされる」

彼は、国営テレビが彼のハンストを偽装だと非難したことを受けて、カメラが録画している間だけキッチンに水を取りに行くようにしている。

また、刑務官は彼をからかおうと目の前で鶏肉を調理し、一緒に食べようと誘い、「ほら、レックス、いい匂いだ。もうあきらめるんだ。お前は何も達成できない」などと述べたという。

最初は彼らが命令に従ってそんなことをしているのだろうと思っていたが、「信念に基づいて行動している」と気づいたとナワリヌイは述べた。

さらに、彼は医学的に適切な診察を受けることを拒否され、MRIによるスキャンの結果も知ることを許されていないという。

人権団体アムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール(Agnes Callamard)事務総長は4月7日、ロシア当局が「彼をゆっくりと死に至る状況に置き、彼に何が起こっているのかを隠そうとしているのではないか」とロイター通信に語った。さらに、彼が置かれている状況は拷問に等しいとも述べた。

彼の弁護士は、刑務所には医師がおらず、救急隊員が1人いるだけだと述べたが、刑務局はこれを否定し、「ナワリヌイは症状に応じて必要とされる医療処置をすべて受けている」と主張しているとBBCが報じた。

ホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は4月7日、ナワリヌイの健康状態が悪化しているとの報道に対し、バイデン政権は「心配している」と述べ、彼に対する容疑は「でっち上げ」であるとの姿勢を改めて強調した。


[原文:Putin critic Navalny says Russian prison guards are trying to break his hunger strike by frying chicken in front of him

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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