スフリエール火山から上がる噴煙を見つめる市民。
Reuters
- カリブ海の島国セントビンセント・グレナディーンのセントビンセント島の住民は、クルーズ船での避難を望んでいる。
- 先週、火山が噴火したセントビンセント島は、その大部分が生活できない状況になっている。
- 近隣の島は、新型コロナウイルスのワクチンを接種している場合に限り、避難民を受け入れるとしている。
火山が噴火したセントビンセント島の住民は、新型コロナウイルスのワクチンを接種している場合に限り、近隣の島に避難することができると、セントビンセント・グレナディーンの首相が述べた。
セントビンセント島では4月9日に標高1234メートルのスフリエール火山が噴火し、一部住民が避難していて、島にはクルーズ船が派遣されている。
ただ、このクルーズ船に乗るには事前にワクチンを接種しなければならないと、セントビンセント・グレナディーンのラルフ・ゴンサルベス首相は噴火の翌日に行われた記者会見で述べた。
「主席医務官がワクチン接種を済ませている人を特定したら、わたしたちは彼らをクルーズ船に乗せることができる」とゴンサルベス首相は語った。
セントビンセント島では、1万6000人以上が「レッドゾーン」と呼ばれる島内で最も危険な地域から避難している。この地図は、島の危険区域を示している。
一部の住民は、セントルシアやグレナダ、バルバドス、アンティグアといった近隣の島に一時的に避難する予定だ。
ただ、大半の島がワクチン接種を受け入れの条件としている。
「コロナ禍で誰かを受け入れようとするなら、人々はできる限り最高レベルの抵抗力を持っていてほしいと願うだろう」とゴンサルベス首相は10日、報道陣に語った。
セントルシアは事前のワクチン接種を求めていないが、島に到着した際にワクチン接種を求められるかもしれないと、首相は話した。
「これら全てにわたしたちはコロナ禍で対応しなければならない」とゴンサルベス首相は11日、NBC 6に語った。
「わたしたちはパンデミックにもうまく対応してきた。まだ10人しか死亡していない」
スフリエール火山が噴火した影響で、セントビンセント島では停電や断水も起きている。島は大量の火山灰に覆われ、地面で固まり始めていると、国家緊急事態管理局(NEMO)は11日にツイートした。
また、ゴンサルベス首相は、中には避難したくない住民もいると話している。
これはワクチンに対する恐怖のせいかもしれない。そのせいで、政府からの他の支援を受ける気もなくさせている可能性がある。
ロイターによると、野党のシェバーン・ジョン(Shevern John)議員は「人々はワクチンをとても怖がっていて、避難所に行くのも嫌がっている。避難所へ行けば(ワクチン接種という)プロトコルに従わざるを得なくなるからだ」と指摘している。
ゴンサルベス首相は、避難民が自宅に戻れるようになるまで最大で4カ月かかる可能性があると警告している。
(翻訳、編集:山口佳美)