Suez Canal Authority
- 海運会社のエバーグリーンは、同社のエバーギブンがスエズ運河で立ち往生した後、株価が28%も上昇した。
- 2人のアナリストに聞いたところ、タンカー関連株が乱高下するのは珍しいことではないという。
- タンカー関連の株価は、2021年に高騰した海運市況に大きく影響されている。
- しかし、今回のスエズ運河の閉鎖は、需給バランスを悪化させ、運賃を押し上げた。
世界の貿易を揺るがす大事件を起こしたにも関わらず、スエズ運河を船で塞いだ台湾の海運会社の株価が急上昇した。
エバーグリーン(Evergreen)社の株価は、3月23日に同社のエバーギブン号がスエズ運河で立ち往生し、400隻以上の船が影響を受けた後、28%上昇した。
エバーグリーンの株価は2020年の夏から上昇していたが、運河の封鎖後にさらに大幅な上昇を見せた。エバーギブンが立ち往生した日、エバーグリーンは8%暴落し、42.75ニュー台湾ドル(NT$)で取引を終えた。その後、1年以上ぶりの高値となる55台湾ドルまで上昇し、エバーグリーンの1年間の上昇率は440%となった。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアナリストであるアダム・シャイナー(Adam Scheiner)は、「タンカー関連の株価が大きく変動するのは珍しいことではない。運賃が変動しやすい海運市況に大きく左右されるためだ」と述べた。
世界がパンデミックから立ち直るにつれ、海運業界の状況は着実に好転しており、運河の閉塞は、港湾の混乱させ、輸送の供給を悪化させただけだった。
「スエズ運河の封鎖は、供給悪化と価格上昇の炎に油を注ぎ込んだ」とシャイナーはInsiderに語った。
サードブリッジ(Third Bridge)の産業・資材・エネルギー部門のリーダー、ピーター・マクナリー(Peter McNally)は、コンテナ船の運賃が2020年の初めに比べて4倍になっているとInsiderに語った。
「これは、エバーギブンが世界の海運を混乱させる前のことだ」と彼は説明した。
コンテナが不足し、使用中の船舶をアジアに戻すためのロジスティックスへの対応が困難になったことで、年間を通じて海運運賃が上昇していたとマクナリーは述べた。さらに、パンデミックによって航空貨物便が減り、多くの企業が貨物輸送を海上輸送に切り替えたという。
運賃の高騰は、貨物輸送会社にとっては好材料だ。しかし、エバーグリーンは、世界的な貿易の混乱を引き起こしたことで、近々、制裁を受けるかもしれない。ブルームバーグによると、エバーグリーンの社長は「保険でカバーされるため、貨物の遅延に対する責任はない」と述べているが、同社は10億ドルの罰金を科せられる可能性がある。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)