米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の自動運転開発企業クルーズ(Cruise)が、商用化と市場獲得に向けた大きな一歩を踏み出した。
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米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の自動運転開発企業クルーズ(Cruise)は4月12日、アラブ首長国連邦(UAE)の主要都市ドバイで、ロボットタクシーを活用した配車サービスを展開すると発表した。同社にとってアメリカ国外で初めての商業運転が実現することになる。
「2030年までにドバイ市内の交通手段の25%を何らかの自動運転に置き換える『ドバイ自動運転交通戦略』の実現に向けた大きな一歩」(ハムダン・ビン・ムハンマド・アール・マクトゥーム皇太子)としての位置づけ。
同戦略は、自動運転技術の活用により、9億UAEディルハム(約270億円)の輸送コスト削減と、環境汚染の12%低減による15億ディルハム(約450億円)の対応コスト削減、さらに交通部門の効率化による180億ディルハム(約5兆4000億円)の経済効果創出を目指すとしている。
ドバイ道路交通庁(RTA)のマタール・モハメド・アル・タイール長官によると、クルーズはドバイに現地法人を設立して間もなく商業運転に向けた準備に着手し、2023年には台数・運行エリアを限定してローンチ。2030年までに4000台まで規模を拡張するという。
またその間(2029年まで)は、クルーズにロボットタクシーと配車サービスの独占的な営業権が与えられる。
クルーズは2013年10月にサンフランシスコで設立(当時の社名はクルーズ・オートメーション)。2016年にGMが買収し、本田技研工業(ホンダ)とソフトバンク、投資運用会社ティー・ロウ・プライスからも資金を調達。
今年1月には米マイクロソフトとの戦略的提携も発表し、20億ドル(約2100億円)規模の追加資金調達を進めることを明らかにしていた。なお、2021年中には日本国内でも実証実験が始まる予定だ。
2020年12月にはアマゾン傘下の自動運転開発企業ズークス(Zoox)が、ロボットタクシー専用車両を発表(ただし、アメリカ諸都市での試験走行中で、2021年内に商業運転する可能性はないことを明言)するなど、自動運転車両による配車サービスの世界での本格展開が見えてきている。
(文・訳責:川村力)