「男が休むなよ」はもう終わり?育休法改正へこれだけは知っておきたい5つのこと。

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2021年、男性育休に関する制度は大きな転換点にある。

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取得率わずか7.48%、しかも1週間内の短期間の取得が7割という、男性育休が2021年を節目に変わろうとしています。そのきっかけとなりそうなのが、現在国会で審議されている育児・介護休業法の改正法案です。

男性の育児休業取得が進まない原因となっているのは、「男性は育休を取りづらい」など職場の風土の問題に加え、一度に長期休業が難しかったり、育休中に収入が減ったりすることもハードルになっていました。

改正法案ではこうした実態に応えようとする動きがあります。法案が可決されれば、2022年秋にも始まる新しい育休制度。これだけは押さえたい、5つのポイントをみてみましょう。

1.産後8週間に取りやすく、分割取得可能に

今回の改正法案の大きな特徴として、育児のスタートとなる大事な出産直後に男性育休を取りやすくするために、出産日から8週間の間に、4週間の育休を取得できる仕組みを新しく作る。

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男性も育休を取得しやすくするため、分割して取得できるようになる。

出典:厚生労働省「男性の育児休業取得推進等に関す参考資料」

この産後直後の4週間の育休は、2回に分けて取得することができるため、「長期間休むことが難しい」という場合でも、繁忙期を避けるなどして取得しやすくなる。


2.休業中でも一定量、働いてもOK

また生後8週間であれば、育休取得日数の半分を上限に、仕事をすることも認められる(労使合意が必要)。在宅ワークが普及する流れの中「育休中でもある程度、仕事ができる」ということで、取得しやすくなることを想定。している。家計としては収入の上乗せが望める。

ちなみに育休中の収入については、これまでと同様に休業給付金がハローワークから支給されることになる。金額は育児休業開始時の賃金の67%(開始から7カ月以降は50%)だが、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料が免除される。実際の支給額は収入の8割程度が育休中も保障されている。

ただし支給額には上限があり、最初の6カ月では約30万円。7カ月以降では約22万円。

3.「言い出しにくい……」解消へ、企業から男性に確認義務化

改正法案では、育休取得対象の男性に対して、制度について説明し、取得の意向を個別に確認することが義務化される。

男性の育休取得を妨げる壁となっているのが、職場の空気感だ。育休を取得しなかった理由では、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だった」が5人に1人に上る

企業への確認義務化は、こうした事態を解消することが目的だ。

4.申請期限を2週間前に、非正規も取りやすく

改正法案では、先ほどの生後8週間の育休も含めて、子どもが1歳になるまでに男性は最大4回、女性は2回に分けて育休を取得できるようになる

申請期限についても、これまでは「1カ月前」の申請が必要だったが、「2週間前」に変更。加えて、育休を取得できなかった「働いて1年未満の非正規雇用」についても、育休を取得できるように変更されている。

5.大企業は男性育休の取得率公表マストに

2023年4月からは、従業員が1001人以上の大企業では、男性の育休取得率の公表が義務付けられることになる。育休を取りやすい風土を作るための施策として、企業側に意識づけをするものだ。

「男が休むなよ」はもう終わり

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男性育休に注目する企業も増えてきている。

出典:ワーク・ワイフバランス

男性育休の大幅な制度変更に備え、育休取得率アップに取り組む企業も増えてきている。

民間企業や官公庁で働き方改革に関するコンサル事業を行う「ワーク・ライフバランス」では、「男性育休100%宣言」に賛同する企業を募集。メルカリやみずほ銀行、大成建設など、これまでに賛同企業が100社を超えた

ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵氏は4月13日のオンラインセミナーの中で「『男が休むなよ』という風土を変えていく必要がある」と指摘。

「大企業では2023年春に、育休取得率の公表も義務付けられている。男性新入社員の約8割が『子どもが生まれたときには、育休を取得したい』と回答している2017年のアンケート調査もあり、男性育休を取得できる職場には若者が集まるようになる。早い段階から男性の育休取得を後押していくことが企業側にも求められている」(小室氏)

日本の男性育休は、制度はあってもなかなか普及しない状況が続いてきた。男性の上司のほとんどが育休を取得していない職場では、まだまだ「男性育休を言い出せる雰囲気ではない」ことが多いのが実情だろう。

今回の法改正が、その空気を変える起爆剤になるのか。ここからの動きが注目だ。

(文・横山耕太郎

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