新登場のXperia 1 IIIのカラーバリエーションは、フロストブラック、フロストグレー、フロストパープルの3色。
撮影:小林優多郎
ソニーは、新型スマートフォン「Xperia 1 III」(エクスペリア・ワン・マークスリー)、「Xperia 10 III」(エクスペリア・テン・マークスリー)を発表した。
それぞれ日本を含む国・地域で、2021年初夏以降に発売予定。国内では、Xperia 1 IIIをKDDIとソフトバンク、Xperia 10 IIIをKDDIがそれぞれ6月中旬以降に発売するとアナウンスしている。いずれも「価格は未定」(KDDI、ソフトバンク両社広報)。
特にXperia 1 IIIについては、Xperiaとしては新機構のカメラモジュールや、360度立体音響技術、ゲーマー向け機能など、前機種を超える「ソニーファンの期待」に答える製品に仕上がっている。
可変式望遠レンズ搭載など王道進化した「Xperia 1 III」
「Xperia 1 III」。
撮影:小林優多郎
Xperia 1 IIIは、画面比率21対9の6.5インチディスプレイ、最上位スマホ向けのチップセット「Snapdragon 888」、メモリー12GB、ストレージ256GB/512GBを搭載するフラグシップ機。
完成度の高かった前機種「Xperia 1 II」から、主に以下のような機能が強化されており、「ソニースマホの1つの完成形とも言える仕様」に仕上がっている。
- 超広角(16mm)、広角(24mm)、ペリスコープ型※ 望遠レンズ(70mm/105mm)搭載で、合計4つの画角に対応
- 同社の一眼カメラシリーズ「α」の被写体追尾(リアルタイムトラッキング)技術を搭載
- 世界初の「4K 120fps HDR対応」の有機ELディスプレイ搭載
- ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」に初めてスマホ本体のスピーカーで対応
- 通常音源も擬似的に立体化する「360 Spatial Sound」を搭載
- ゲームファンから要望の高い、高フレームレート(120fps)のゲームプレイ録画が可能
※ペリスコープ型カメラ:光を端末内で数回屈折させる機構。あいだのレンズを動かすことで、異なる倍率(画角)を実現する。
写真左からXperia 1 IIIと1 IIの背面カメラ部分。
撮影:小林優多郎
Xperia 1シリーズは、従来からソニーのさまざまな技術を結集させたモデルではあるが、今回はその色がより濃くなっている。
ユーザー目線でとくに大きな変更は、従来カメラアプリとして、通常の「カメラ」と「Photo Pro」がプリインストールされてきたが、これが「Photo Pro」に統合された点だろう。
Xperia 1 IIIではカメラボタンの質感がほかのボタンとは異なる。ちなみに、指紋センサー兼電源ボタンの下にあるのは、Googleアシスタント起動専用ボタン。
撮影:小林優多郎
Photo Proは一眼カメラαの操作系や連写などの「写真にこだわる人が使う機能」がまとめられたアプリだ。
そのため、一般的なスマホユーザーにはややわかりづらい部分もあったが、今回従来カメラアプリ相当の「BASIC」モードが追加。Photo Proアプリだけで、ライトユーザーから撮影に凝りたいユーザーまでカバーできるようになった。
Xperia 1 III(写真上)とII(写真下)のカラバリ比較。
撮影:小林優多郎
また、オーディオ面でも2種類の立体音響技術を搭載した点が特徴。360 Reality Audioは専用の音源データが必要だが、まるで音楽ホールで生の演奏を聞いているかのようなリッチな体験ができる。
一方で、360 Spatial SoundをオンにするとSpotifyなどのストリーミング音源でも、内部音源を分析し、比較的にライトな立体音響風のエフェクトを楽しむことができる。
なお、販売する市場によって異なるが、対応する5Gバンドについてソニーは「Sub6とミリ波に対応する」としている。
Xperia初の5G対応ミドルレンジ「Xperia 10 III」
「Xperia 10 III」。
撮影:小林優多郎
Xperia 10 IIIは、チップセットにSnapdragon 690 5G Platform、6Gメモリー、128GBストレージを搭載したミドルレンジ機。前機種の「Xperia 10 II」に比べて、以下の点が強化されている。
- 前機種25%増の4500mAhバッテリーを搭載。
- ミドルレンジ機では採用例が少ない、傷つきにくい「ゴリラガラス6」を採用。
- 5G対応・バッテリー大容量化しながらも、高さは3mm、幅は1mm小型化。
- ストリーミング/CD音源を高音質化するDSEE Ultimateに対応。
- ディスプレイはHDR表示に対応。
Xperia 10 IIIのカラーバリエーションは、ブルー、ホワイト、ピンク、ブラックの4色。
撮影:小林優多郎
実機を持ってみると、縦長ではあるが案外コンパクトにまとまった端末であることがわかる。
スペック的にも搭載する機能面でも、Xperia 1 IIIには当然劣るが、そのぶんスマホに求められる必要十分な機能がまとまっていると言える。
気になる価格について、ソニーは明らかにしていないが、担当者によると「Xperia 10 IIと大きくは変わらない」と話しており、4万~5万円台だと予想される。
純正カバーと「Xperia 5 III」も登場
カラーバリエーションに合わせたカバーが用意されている。
撮影:小林優多郎
ソニーはほかにも、Xperia 1 IIIとXperia 10 IIIの純正カバーを発表。同カバーでは、搭載するスタンドで横置き時の動画視聴などをサポートする。
日本での展開が未定となっている「Xperia 5 III」。
出典:ソニー
また、日本での発売は現状未定だが、例年秋冬モデルに発表していた「Xperia 5 III」も発表。詳細な情報はまだ明らかになっていないが、従来どおりXperia 1 IIIの特徴をほとんど備えた小型機に仕上がっている。
(文、撮影・小林優多郎)