富裕層の中の格差は、アメリカ全体で貧富の差がいかに激しいかを示している。
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- 富裕層の中にも格差があることが、Wealth-Xの最新の報告書で分かった。
- 1500万ドルから3000万ドルの資産を持つ人々は超富裕層人口の16%だが、保有する資産のはその2倍の32%を占める。
- これは、超富裕層でも富が偏っていること、全体としての格差が非常に大きいことを示している。
大金持ちの間でさえ、格差がある。
富裕層の10人に1人は、500万ドルから3000万ドルの資産を保有しており、Wealth-Xは報告書の中で彼らを「超富裕層(VHNW:very high net worth」と定義している。だが、このクラスの中でも、富は均等に分布してはいない。
報告書によると、VHNWの2/3(約1700万人)は、資産が500万ドルから1000万ドルの最も低いクラスに当てはまる。だが1500万ドルから2000万ドルと、2000万ドルから3000万ドルの上位2つのクラスはわずかに42万1170人で、VHNWのうちの16%以下だ。さらに、このクラスの人々が保有する資産は、2倍以上、32%を占める。
VHNWの資産は合計で26兆8000億ドルで、世界の富裕層の合計資産105兆ドルの1/4にあたる。総資産が100万ドルから500万ドルのクラスの合計資産が40%、3000万ドル以上のクラスは34%を占めている。つまり、富裕層全体とVHNWの両方で見ても、莫大な資産がごく一部の人々によって保有されているのだ。
パンデミックが格差を拡大した
パンデミック前は、アメリカの貧富の差は水面下に潜んでいた。Insiderで報じたように、株を所有していたり、もともと高所得だったりした人々は好景気の恩恵を受けた。そして資産全体のうち、上位1%の層が持つ資産の割合が大きく増加した。
パンデミックは経済の不平等を深刻化させ、K字回復ととも不平等はさらに拡大していった。Kの下方向への動きは進み、低所得者層が経済的に苦労し続けている。貧困層は経済的に脆弱で、多くが失業手当を受けたり、エッセンシャルワーカーとして健康上のリスクを負っている。2020年6月から11月に、およそ780万人のアメリカ人が貧困ラインを下回った。
一方、高所得層は低所得の労働者より自宅から仕事ができる割合が6倍も高いことがEconomic Policy Instituteの調査でわかった。彼らは支出を減らし、貯蓄を増やすことができた。実際に超富裕層は何十億ドルものお金を増やしている。
VHNWと富裕層全体の格差の広がりは、富裕層と貧困層の間の貧富の差についても、多くのことを物語っている。いかに富が上位だけに集中していくかということだ。
[原文:There's a wealth gap even between millionaires, and it says a lot about growing inequality]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)