国内発売した「電動で動くアレクサ」の実力を探る…「Echo Show 10」実機レビュー

Echo Show 10 スマートホーム

アマゾンの「Echoシリーズ」のフラグシップ機「Echo Show 10」の使い勝手を確認してみた。

撮影:小林優多郎

Amazonは4月14日、新型スマートディスプレイ「Echo Show 10」の出荷を開始した。直販価格は2万9980円。

3代目となる今回のEcho Show 10は、2020年9月25日にグローバルで発表されたが、当初の計画より遅れて日本に上陸した。

最大の特徴は、今までのアレクサが使えるディスプレイ付きのスマートスピーカーの機能に、「電動で回転する」という機能が付け加えられている点だ。

音と映像で動く、唯一無二の「モーション機能」

Echo Show 10 とiPhone

写真左から6.1インチのiPhone 12 Proと10.1インチのEcho Show 10。

撮影:小林優多郎

基本性能をおさらいすると、Echo Show 10は10.1インチHD(1280×800ドット)解像度のタッチ機能付きディスプレイを搭載。ディスプレイは回転台兼スピーカーの上面に配置されている。

ディスプレイ右上には、1300万画素のカメラ機能を搭載している。このカメラはアレクサのテレビ電話機能のカメラとして使うほかに、「物の動きを捉える」役割を持つ。

Echo Show 10 の動き

画面の向きが自動的に変わる。

撮影:小林優多郎

「物の動きを捉える」機能とは、Echo Show 10のモーション機能のことだ。カメラで動きを認識、マイクで声のする方向にディスプレイが向くようになっている(顔認証はしていない)。

モーション機能をオンにしておけば、「アレクサ」と呼んだり、動画や音楽を再生中、ビデオ通話中などは近くにいる人の方に、自動的に画面が向く。ちなみに、モーション機能は「すべてのアクティビティ時」「指定したアクティビティ時」「リクエストしたとき」の3つのモードがある。

とくにビデオ通話と見守りカメラ機能では威力を発揮

Echo Show 10 のビデオ通話機能

アレクサのビデオ通話機能。Echoデバイス同士だけではなく、スマホアプリでも発着信できる。

撮影:小林優多郎

このモーション機能、実際に使ってみると今までにないスマートディスプレイの体験になる。ひとことで表せば「アレクサがロボット風に感じる」。

画面表示にアレクサの顔が表示される……ということはないが、話しかければ必ずディスプレイを確認できる様は、ロボット的なかわいげがある。

機能的に活躍するのは、やはりビデオ通話時だ。モーション機能で追ってくれるほか、アレクサのビデオ通話機能は、話者の顔に少しズームするので、多少動いたとしても、自分の顔がフレームアウトすることはほぼない。

見守りカメラ機能

スマホアプリからEcho Show 10のカメラを“見守りカメラ”として呼び出せる。スワイプ操作で向きも変えられる。

撮影:小林優多郎

また、Echo Show 10は見守り用のカメラとしても動作する。出先などで、スマホのアレクサアプリからフロントカメラの映像を呼び出せる。その際には、スマホアプリ側からEcho Show 10の方向をスワイプで操作できる。

ビデオ通話も見守りカメラ機能も離れたところに住む家族がいる場合などに役立つだろう。

Echo Show 10 のカメラカバー

Echo Show 10は物理的なカメラカバーを備える。ソフトウェアでオンオフするものではない。

撮影:小林優多郎

ただ、そこで気になるのはプライバシーだ。突然カメラがオンになってしまうのは、家にいる人間としてはあまり気持ちのいいものではない。

そこで、Echo Show 10には「物理的なカメラカバー」がついている。家に居るとき、見られたくないときは、カメラ自体をふさいでおけば、ソフトウェア的な操作でこれを外せない。

Echo Show 10は、日本でまだ「本気出してない」

Echo Show 10 の回転幅テンプレート

Echo Show 10には「回転幅テンプレート」と呼ばれる紙が付属する。

撮影:小林優多郎

一方で、Echo Show 10には気になる点が2つある。

1つは当たり前なのだが「かなり大きく、場所を取る」ということだ。Echo Show 10には設置の目安になる台紙があるのだが、この大きさは直径37センチの円形だ。

実際にはモーション機能の有無だけではなく、回転する範囲もセットアップできるので、例えば壁際など「必ず直径37センチの表面積がある空間」が必要なわけでない。それでもこの回転機構を100%生かしたいのであれば、食事をするテーブルの上に物をおかないなど、ある程度、場所を選ぶ。

このあたりは、今後、同様の回転機構を持つ小型版の8インチや5インチがモデルが出てくることを期待したいところだ。

Echo Show 10 のAlexa

日本とアメリカではできることが少し違う。

撮影:小林優多郎

2つ目は、「日本版Echo Show 10はまだ本気出していない」ということ。

話しかけている人の認識にはアマゾン独自の半導体「AZ1ニューラルプロセッサー」が活用されている。このAZ1は、アメリカなどではアレクサの応答機能にも活用されている。具体的には、より省電力で素早くアレクサが反応、返答する。

ただし、アマゾンによると「日本において、AZ1ニューラルプロセッサー搭載に伴うアレクサによる応答機能は未提供」だという。

さらに、アメリカではビデオ会議ツールの「Zoom」と「Amazon Chime」がEcho Showシリーズで利用できる。これも日本市場にはまだ提供されていない。

オンライン会議のスタンダードとも言える「Zoom」が使えれば、公私ともに使えるデバイスとして、大きくても自宅での市民権も得やすいように思える(ちなみに、グーグルの「Google Nest Hub Max」もZoomに対応しているが、こちらも日本未提供)。

Echo Show 10 でPrime Video

このぐらい大きな画面と大きなスピーカーを持っていると、エンターテイメント専用機としても便利だ。

撮影:小林優多郎

いずれにせよ、Echo Show 10は同スマートディスプレイシリーズのフラグシップ機だ。オーディオ機能も現時点ではシリーズ唯一の「2.1チャンネルシステム」を搭載するなど高品質な装備になっている。

スマートアシスタントの活用だけではなく、Prime MusicやAudibleなどの音声コンテンツ、Prime VideoやNetflixなどの映像コンテンツを自宅で楽しむのにも最適なデバイスだ。

多機能で。映像も音もいい「スマート」なサブディスプレイとしてのポテンシャルは十分高い。

(文、撮影・小林優多郎

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