MLB、マウンドを遠ざける実験を独立リーグで開始…三振もホームランも減ると予想

MLB

Victor Decolongon/Getty Images

  • アメリカのメジャーリーグベースボールは、独立リーグと提携して、マウンドを後ろに下げる実験を行う。
  • これによって、近年増え過ぎていると言われる三振とホームランが減る可能性がある。
  • 一方、投手は変化球の投げ方を習得し直す必要があるだろう。

アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)は、独立リーグのアトランティック・リーグ(Atlantic League)と提携し、三振やホームランを減らす可能性のあるルール変更の実験を行う。

2021年8月3日からアトランティック・リーグにおいて投手板とホームプレートの距離を18.44メートルから18.75メートルへとおよそ30センチメートル広げると、MLBが4月17日のプレスリリースで発表した。この30センチメートルが「変化を評価するために必要な最小の距離」であると判断したと、MLBの相談役を務めるセオ・エプスタイン(Theo Epstein)がプレスリリースで述べている。

「この変更の影響について多くのことを学び、グランドの寸法の調整という重大な対応が、他のカテゴリーのプロ野球においても将来的に検討する価値があるのかどうかを知りたい」

三振やホームランへの影響

今回の変更の目的は、三振やホームランの増加を抑え、近年不足しているとファンから不満の声が上がっているコンタクトヒッティングやクロスプレーを増やすことだ。

投手板までの距離の拡大によりホームベース上での球速が落ちるため、これまでの15シーズンで徐々に増加している三振が減少すると見られている。三振の数は、2007年から12年連続して前年より増え続け、2019年には2007年の33%増となる4万2823個を記録した。また、過去3シーズンでは、総三振数が総安打数を上回るという異例の事態となっていた。

打者も、特にパワーヒッターは今回の変更の影響を受けるだろう。ボールがホームベースに到達したときの速度が遅くなれば、打球の初速も遅くなる。つまり、打球の飛距離が抑えられることになる。これによって、近年のシーズンで記録的な増加を見せていたホームランも減少すると見られている。1シーズンの総ホームラン数は、2017年に6105本という新記録が樹立されたが、2019年には6776本という驚異的な記録で塗り替えられた。同年、24チームが200本以上のホームランを放ったが、これまでの最高記録は22チームだった。

「そもそも我々をゲームに引きつけていたものが、圧倒的な試合結果を前にしてかすんでしまい、(MLB首脳の間では)人々がそれを退屈だと感じているという結論に達した」と、あるMLB関係者はワシントン・ポストに語っている。

「4つか5つのことを変えてみれば、試合を正しい方向に導き、より多くの動きを取り戻せるのではないかという考え方に、我々は何度も立ち返っているし、そうしようとしている。しかし、何か1つ、たとえ過激なものであろうとも、解決につながることであれば、それに挑戦しないと我々は怠慢ということになる」

投手は技術を習得し直さなくてはならない

投手は技術の調整をしなければならないだろう。変更の当初、まだ適応しきれていない段階では、変化球を放棄する必要があるかもしれない。

新しいルールの下では、ホームベース近くで変化する球の投げ方を、投手は習得し直さなくてはならないだろう。MLBは、以前行った実験でストライクの減少は見られなかったと述べているが、投手が変化球の投げ方を変えなくてもいいということはあり得ない。

もう1つのルール変更もテスト

アトランティック・リーグでは、先発投手の降板で指名打者制度が解除される「ダブルフック」というルールも実験的に導入する。これは、先発投手が交代した場合は、指名打者の打順にはリリーフ投手がそのまま入るか、代打を送らなければならないというものだ。この変更の目的は、アメリカン・リーグが指名打者を使う一方、ナショナル・リーグは投手を打席に立たせるという差異に対する妥協案を試すことだ。また、先発投手をより長く起用するインセンティブとなり、アメリカン・リーグの監督たちの試合終盤の采配が重要になってくる。

[原文:Baseball pitchers throw so hard now that MLB is thinking about moving the mound, but the idea could cause more problems

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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