- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数と死者数がブラジルで再び増加している。パンデミックが始まって以来、最悪の状況だ。
- 感染力の強い変異株が急速に拡大し、主に若い人々が感染している。
- ブラジルではこれまでに1400万人近くの感染が報告されていて、少なくとも36万5000人が死亡している。
2月25日以降、ブラジルでは毎日、新型コロナウイルスの新規感染者数が5万人を超えている。多い日には1日で10万人に達している。これはパンデミックが始まって以来、最悪の状況で、感染拡大が収まる気配はない。
新型コロナウイルスの感染が疑われる、救急車で病院に搬送された43歳の患者(2021年4月14日、ブラジリア)。
AP Photo/Eraldo Peres
Sources: Johns Hopkins University, The New York Times
「P.1」という感染力の強い変異株が感染拡大をもたらしたと考えられていて、若い世代の感染が増えている。4月第2週、集中治療室(ICU)で治療を受けているCOVID-19の患者の大半は40歳以下だった。
病院の緊急治療室では、医療従事者たちが超満員の患者の治療にあたっていた(2021年3月11日、ポルト・アレグレ)。
REUTERS/Diego Vara/File Photo
Sources: Insider, Insider, The Guardian, CBS News
サンパウロのある看護師は、20代、30代、40代の患者が増えていて、超満員のICUに運ばれてきたこうした患者の大半は助からないとCBS Newsに語った。
病院に搬送される患者(2021年4月15日、リオデジャネイロ)。
REUTERS/Ricardo Moraes
Source: CBS News
これまでに3200万回のワクチン接種が実施されているが、ブラジルの人口は2億1200万人だ。少なくとも1回目の接種を受けた国民は11.8%で、2回の接種を済ませた国民はわずか3.8%だ。
Sources: Brazil's Health Ministry, Reuters
死者数はこれまでで最も多くなっている。4月15日(現地時間)には、COVID-19またはその合併症で3560人が死亡した。
Sources: Johns Hopkins University, Reuters
サンパウロでは先週、葬儀業界で働く人々が安全を求める抗議デモを実施した。デモ参加者が掲げたサインには「わたしたちは生きたい! ワクチンが欲しい!」と書かれている。
労働条件の改善や安全対策を求めて抗議する葬儀業界で働く人たち(2021年4月15日、サンパウロ)。
REUTERS/Carla Carniel
葬儀はよく見受けられる光景となっている。新型コロナウイルスのパンデミックでブラジルより多くの死者を出したのはアメリカだけだが、アメリカの死者数はワクチン接種が進む中で減少しつつある。
親族が見守る中、新型コロナウイルスで亡くなった患者の棺を埋葬する墓地のスタッフ(2021年3月12日、サンパウロ)。
Photo by Alexandre Schneider/Getty Images
「死者36万5444人」は想像するのも難しいかもしれない。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、工場から完成した棺を次々と運び出す従業員たち(2021年4月9日、リオデジャネイロ州ノバ・イグアス)。
REUTERS/Pilar Olivares
このような状況の中でも、何かしらの喜びをもたらそうと力を尽くす人たちもいる。リオデジャネイロの北に位置するペトロポリスでは先週、キャプテン・アメリカのコスチュームを着て、子どもたちにマスクを手渡し、COVID-19の感染予防策を教える軍警察の姿が見られた。
(翻訳、編集:山口佳美)