顔パスで飛行機に。“非接触”に注目集まる成田・羽田空港の実証実験

Face Express

顔パスで飛行機に搭乗できる「Face Express」の実証実験がスタートした。

撮影:小山安博

成田空港と羽田空港が、パスポートも搭乗券も提示せず、顔パスで国際線の飛行機に搭乗できる「Face Express」の実証を開始した。

空港でのチェックイン時にパスポートの顔写真と本人の顔を照合しておけば、荷物の預け入れ、保安検査場への入場、搭乗口から飛行機への搭乗まで、パスポートや搭乗券を出さずに、顔認証だけで通過できるようになる。

チェックイン時に顔を登録、手荷物も自動で預けられる

Kカウンター

Face Expressが利用できるのは成田空港の第1ターミナルと第2ターミナルにあるANAとJALのカウンターの一部。これは第2ターミナルで、Kカウンターがその場所。

撮影:小山安博

今回、成田空港で実施された報道関係者向け公開に参加して、Face Expressの使い勝手を確認してみた。

Face Expressが利用できるのは全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の2社による運航便で、どの便がFace Expressに対応するかは、両社がそれぞれ決定する。

端末操作

今後、JALの国際線を利用する際に、成田空港でKカウンターを案内されたらFace Expressを利用できる、ということになる。

撮影:小山安博

利用方法は次の通りだ。

まずは、チェックインカウンターの自動チェックイン機でパスポートを読み込ませる。すると顔認証を行うかどうかの同意画面になるので、同意するとキオスク(操作端末)のカメラが起動して利用客の顔が読み取られる。

そこで、パスポートの顔写真と読み取った顔を照合して本人確認が行われる。この時、顔画像情報、パスポート情報、搭乗券情報を登録してトークンが生成される。

パスポート登録

通常の手順でまずはパスポートを読み込ませる。

撮影:小山安博

同意画面

パスポート情報が読み込まれると、Face Expressを利用するかどうかの同意画面となる。

撮影:小山安博

顔の撮影

同意すると顔の撮影となる。この時、マスクやメガネ、帽子は取り外す。

撮影:小山安博

経路

顔の照合自体は一瞬で終わる。

撮影:小山安博

荷物

搭乗券と(預ける場合は)手荷物タグが出力される。タグは自分で張り付ける。

撮影:小山安博

通常のチェックイン手続きをすると搭乗券と、(預ける手荷物があれば)荷物タグが出力される。荷物タグを預ける手荷物に自分で装着し、自動手荷物預け機に移動。

荷物を預け機に置いたら、預け機のディスプレイに触れると顔の撮影が行われ、チェックイン時に登録されたトークンと照合して認証が行われる。本人確認されると手荷物が収納されて預け入れが完了する。

手荷物預け

自動手荷物預け機もFace Expressに対応する。

撮影:小山安博

検査場入場ゲートでも問題ないスピード

続いて、保安検査場に向かう。

検査場入場ゲートでは、これまで係員がパスポートと搭乗券を確認していたが、これも顔認証でそのまま通過できる。認証速度は速く、一度立ち止まる必要はあるが、おおむね問題ないスピードだ。

ゲート

マスクなどを外し、カメラを見る必要はあるが、認証速度はそれなりに速い。

撮影:小山安博

読み込み部分

顔認証に失敗した場合はパスポートと搭乗券の読み込みが必要となる。

撮影:小山安博

コツ

カメラを見るようにして入場するのがコツ。

撮影:小山安博

出国審査、搭乗ゲートも“顔パス”

このあとはセキュリティーチェックと出国審査(エミグレーション)だ。

出国審査は成田空港側の管轄ではないが、現状ではパスポートとカメラを使った顔認証での出国審査があるため、パスポートを取り出す必要はあるものの、手早く出国できる。

搭乗口にたどり着いたら、飛行機に乗るために搭乗ゲートを通過する。

ここでは通常、並んでいる間にパスポートチェックが行われ、ゲートで搭乗券をかざすが、Face Expressではそのままゲートに向かえば、顔認証で通過できる。

搭乗ゲート

最後の関門が搭乗ゲートだ。

撮影:小山安博

搭乗ゲート詳細

搭乗ゲートは通常の搭乗券を読み込むモードと顔認証のモードを切り替える。自動で顔認証と搭乗券の双方を認識はせず、排他制御となっている。今回のデモでは真ん中のみが顔認証ゲートという設定。

撮影:小山安博

搭乗ゲート 顔照合

照合が行われ、ゲートが開く。搭乗ゲートの場合、航空会社の搭乗情報とも照合するため、多少時間がかかるようだ。

撮影:小山安博

“顔パス”は慣れた人向け、余力をよりサポートが必要な人へ

実際の認証のスピードを動画で確認してみよう。

撮影:小山安博

従来の方法だと、チェックイン、手荷物預け入れ、保安検査場入場、出国審査、搭乗の5カ所でパスポートが必要だったが、これが2カ所になり、しかも、すべて人の手を介さずに非接触で進めることができる。

ターゲットとなるのは飛行機の利用に手慣れた人だ。慣れた人を手早く、無人で搭乗できるようにしつつ、そうした人にもカウンター内で対処していた航空会社側の人員をフリーにする。

家族連れや慣れていない人には、これまで通りの搭乗手続きをしてもらうが、フリーになった人員をサポートに振り分けられるようになり、より手厚い、効率的なサポートが可能になる。

Face Express自体は、13歳未満は親権者の同意が必要で、カメラの位置で身長の制限もあるが、基本的には誰でも利用できる。

ただ、成田空港側もすべての人をFace Expressに移行したいという考えはなく、必要な人にサポートを手厚く提供できるよう、スタッフを効率的に再配置できる点をアピールしている。

「Face Express」のマーク

搭乗ゲートの機械のカメラ。画面には「Face Express」のマークが表示されている。

撮影:小山安博

もともと国土交通省が制度づくりを進めてきたもので、個人情報保護やプライバシーの配慮もされている。

登録された情報は、24時間以内に削除される。基本的にはその日のうちに搭乗することを前提としているためだ。

Face Expressの仕組みは、世界的には「One ID」として各国で整備が始まっており、混雑する空港の搭乗手続きをスムーズにして、スタッフなどのリソース効率化を目的としていた。日本ではなじみのないOne IDではなく、新たにFace Expressというブランドで訴求していく。

顔認証の仕組みは五輪に合わせてコロナ前から準備の進んでいた

搭乗ゲート

もともとは東京五輪合わせだったが、コロナ禍で“非接触”であることが注目を浴びた。

撮影:小山安博

まずは4月13日から実証実験を行って、東京五輪前となる7月にも本格運用を開始する計画。現在はJALとANAのみだが、他の航空会社の利用に向けた調整も継続していく予定だ。

2020年の東京五輪開催に合わせて開発が進められていたが、新型コロナウイルスの流行と東京五輪の延期で開発も1年延期された。

結果として、もともとの目的に加えて、非接触で搭乗できるという点がコロナ禍におけるメリットとなり、成田空港ではそうしたニーズも追い風に普及促進に努めていく考え。

実証実験期間中は、実際の運用における課題の洗い出しや機器のチューンナップ、利用者からのフィードバックを集積して本格運用につなげていく。本格運用開始後も、利用できるゲートやターミナルの拡充を進め、他の航空会社への利用にも拡大していく。

現時点で、国際線の利用はハードルが高いが、成田空港ではコロナ後の航空需要の回復を見据え、利用者のメリットにもつながるとして、Face Expressの整備を続けていく考えだ。

(文、撮影・小山安博 編集・小林優多郎


小山安博:ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はセキュリティ、デジカメ、携帯電話など。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。

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