サイバーランダーは、テスラのサイバートラックに搭載する。
CyberLandr
- ストリームイットは、テスラのサイバートラックをキャンピングカーにするアタッチメント「サイバーランダー」の予約販売を開始した。
- サイバーランダーは、通常の駐車スペースに収まるサイズで、シャワー、キッチン、ベッドを備えている。
- また、浄水器、音声認識システム、スターリンクでのインターネット接続キットも備えている。
テスラ(Tesla)の「サイバートラック(Cybertruck)」はまだ発売日も決まっていないが、ある企業が価格5万ドル(約540万円)のアタッチメントの予約販売を開始した。これを搭載すると、サイバートラックがキャンピングカーへと早変わりする。
ラスベガスを拠点とする分析会社ストリームイット(Stream It)は、サイバートラックを多目的に使えるようにするアタッチメント「サイバーランダー(CyberLander)」を開発した。これがあれば、移動可能な住居として、週末の旅行や緊急時の避難所にも使えるようになる。
同社によると、一般的なキャンピングカーとは異なり、サイバーランダーは通常の駐車スペースに収まり、運転中に視界が妨げられることもないという。
先行予約はすでに始まっており、最初の20台は4万ドル(約430万円)で、徐々に通常の小売価格である5万ドルまで高くなっていく。
ただし、サイバートラックの最終的な仕様が発表されていないため、サイバーランダーの機能が変更される可能性もあるとストリームイットは述べている。製造場所はテキサス州であり、テスラもサイバートラックの製造を同州で行う予定だ。
納品が始まるのはテスラがサイバートラックの予約注文分の出荷予定と同じ2021年後半になるという。
テスラのイーロン・マスク(Elon Musk)CEOは、2019年11月にサイバートラックについて発表し、「あなたのいかなるニーズに対しても対応可能だ」と述べた。それを具体的に示すために、同社は「サイバーキャンパー」と称した、引き出し式のキッチンと飛び出す天井を装備したイメージ画像を公開した。
2019年にテスラが公開した「サイバーキャンパー」のイメージ画像。
Tesla
テスラはその後、サイバーキャンパーやサイバートラックの発売日について沈黙を守っているが、カナダのコンセプト・アーティストが自ら考案したサイバーキャンパーのコンセプト画像を公開している。そんな中で代替案を持って登場したのが、ストリームイットということになる。
シャワー、音声認識、衛星インターネット接続キットを装備
サイバーランダーは格納も拡張も簡単にできるように見える。格納時にはサイバートラックの荷台にすっぽりと収まるため、トレーラータイプのキャンピングカーでは行けないような険しい土地にも行くことができるという。
サイバートラックが1回の充電で走行できる距離に対して、重さ約540キログラムのサイバーランダーが与える影響はごくわずかで、走行距離を約5%減少させるだけだとストリームイットは述べている。
サイバーランダーは、荷台にすっぽりと格納されるため、外からは見えない。
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そのため、サイバーランダーは、オフグリッド(送電網につながれていない状態)生活を目指す場合だけでなく、救急隊員や釣り旅行をする人などが使う場合や、さらには災害などの緊急事態での利用にも適しているという。
内部には、リクライニングする椅子があり、これを広げるとクイーンサイズのベッドに変わる。その下にも眠るためのスペースがあり、大人2人と子供2人、あるいは大人3人での使用が可能だ。他にもサラウンドオーディオを搭載した32インチの4K UHDスマートテレビもある。
日中は、椅子を外に出して景色を楽しむこともできる。
椅子はサイバーランダーから取り外すことができる。
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キッチンには十分な広さの作業スペース、IH調理器、音声操作可能なスマート水栓を備えたシンクなどがある。
また「スパ・スタイル」の循環式シャワーがあり、お湯が切れることはないという。自動洗浄機能付きのトイレもある。これらのバスルームエリアには、床暖房機能のあるタイルが貼られている。
また、UV殺菌機能付きの浄水システムを搭載しているため、川や湖の水をろ過して補給することができる。
コンパクトなキッチンがあり、壁にはスマートテレビも。
サイバーランダーには、さまざまなテクノロジーが搭載されており、イーロン・マスクのスペースX(SpaceX)の衛星インターネットサービス、スターリンク(Starlink)の受信機もその1つだ。もちろん、インターネット接続を利用するには、別途費用を支払う必要がある。
サイバーランダーは、サイバートラックと同様に完全に電気で駆動する。音声起動コントロールを内蔵し、空調や照明のほか、スマートガラスの窓の明るさも調節できる。
サイバーランダーを展開したり格納したりするのはアプリから操作でき、監視カメラの確認もアプリから行える。これらのシステムは無線アップデートに対応していて、ソフトウエアは常に最新の状態に保たれる。
4月15日、マスクはサイバートラックのプロトタイプとともに、テキサス州にある建設中の自動車メーカー、ギガファクトリーを訪れ、車両を走らせた。しかし、ニュースメディアは、このプロトタイプが2019年に初めて発表されたものと何も変わっていないと指摘している。
ストリームイットは、サイバーランダーの製造に意欲的に取り組んでいるようだが、肝心のサイバートラックの発売日が決まっていないため、同社の戦略が計画通りに進むかどうかは分からない。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)