ハーバード大学の教材を使った授業を無償で……CODEGYMがつくる「平等な学びの機会」とは

コロナで学びの継続が困難になっている。これは学生たちの学習機会を奪い、進路を阻むだけでなく、今後の日本の経済活動にも大きな影響がある。

同時に、コロナ禍で社会のデジタル化が急速に進み、ITエンジニアの人材不足も深刻になりつつある。

そのような中、株式会社LABOTがNPO法人CLACKと28社の協賛を受け、日本全国から希望する学生を対象に、コロナ緊急学習支援として6カ月間オンラインプログラミング学習「CODEGYM Academy」の提供を始めた。1000人まで無償という。掲げるのは「IT・Web業界が一致団結し、コロナの影響を受けた学生に教育支援を行い、エンジニアを育てる」だ。

プログラミングを教えてキャリアを支援

オンライン授業の様子

Gettyimages/Iya Forbes

LABOTのミッションは、「人の可能性に投資する」。

2020年1月に日本国内で初めて、ISA(Income Share Agreement、所得分配契約=在学中には学費の支払いが不要で、就職後に決定した年収に連動して支払額が決定する契約方法)を採用したコンピュータサイエンス・プログラミングスクール「CODEGYM ISA」を開校。家庭環境・学歴・年収などにかかわらず、誰もが平等に挑戦できる教育機会の提供を目指し、事業を展開している。

今回発足したCODEGYM Academyは、コロナの影響を受け、経済的事情での中退、進学中止、海外留学キャンセル等、コロナ禍で学校生活・キャリアへの影響を受けた全国の学生を対象に、これまでの学歴や文系・理系にかかわらず、新卒エンジニアに挑戦できる機会を提供している。

女性エンジニアの数を増やす取り組みも

オンライン授業の様子

Gettyimages/chee gin tan

授業は、世界最高峰のコンピュータ・サイエンス教材を用いて行われる。Creative Commmons ライセンスに基づき、米ハーバード大学が提供しているコンピュータ・サイエンス科目ならびにWebプログラミング科目をメイン教材に採用。

進行は全て日本語で、受講者はオンラインによるグループワークを通じて協調性を育んだり、ハッカソンなどチーム開発の経験も積むことができる。

600時間相当の学習を経て、情報工学の初学者でも国内IT/Web企業へのエンジニア就職が目指せる水準までキャリア支援を行う。6カ月のプログラムを終えて最終課題まで取り組んだ受講生は、履修証明書を取得しその後の就活に活用できる。

さらにCODEGYM Academyは、教育とジェンダー分野のSDGs達成に向けた取り組みにも力をいれている。女性エンジニアの数は男性エンジニアの約4分の1(2019年 情報サービス産業 基本統計調査)に留まるという現状を踏まえ、CODEGYM Academy 参加者の男女比率50%を目標に掲げ、女性の応募を増やすための説明会なども積極的に実施。

ジェンダーやLGBTQ+に関する相談窓口を設置しジェンダー平等推進に寄与していく。SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」についても、無償のオンラインプログラムによって地域・学歴、経済的な格差に関係なく、質の高い教育の機会を提供をする。

学びの機会だけでなく、企業のDXにも貢献

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Shutterstock / metamorworks

現在、この支援プログラムに協賛・賛同する企業や個人を募集している。

継続的なプロジェクト運営のために総額で約2000万円を見込んでおり、協賛金の用途は、講師業務委託、人件費コスト、講師/サポート、教材、edX Verified Certificate履修証明発行を予定。協賛企業に対しては、受講生の紹介、受講生へのオンライン会社説明会の実施機会提供、Webサイトのへの企業ロゴ掲載などのリターンを提供する。

また、クラウドファンディングサイト「GoodMorning」にて、個人を対象としたクラウドファンディングプロジェクトもスタートしている。

CODEGYM Academyは、学生たちの学びを支援するだけでなく、ITエンジニア育成によって急激に進むデジタル化を支えるということでも期待が集まる。

ITエンジニアが慢性的に不足する今、IT・Web業界が一致団結し、多様なバックグラウンドを持つ新しいエンジニアを育成することは、業界に新たな価値をもたらしてくれるはずだ。こんな事態だからこそ助け合い、ピンチをチャンスに変えていこう。

CODEGYM Academy 公式サイト
協賛支援はこちら

MASHING UPより転載(2021年04月01日公開


(文・MASHING UP編集部)

MASHING UP編集部:MASHING UP=インクルーシブな未来を拓く、メディア&コミュニティ。イベントやメディアを通じ、性別、業種、世代、国籍を超え多彩な人々と対話を深め、これからの社会や組織のかたち、未来のビジネスを考えていきます。

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