エアビーアンドビー(Airbnb、以下エアビー)は、過去20年間で最も飛躍的な成功を収めたスタートアップのひとつだ。
創業は2008年。当初は「エアベッド&ブレックファスト(AirBed&Breakfast)」という社名で、旅行者が地元の民家からエアマットレスを借りられるようなシステムをつくろうというコンセプトだった。
エアビーアンドビーの共同創設者。左からブライアン・チェスキー、ネイサン・ブレチャージク、ジョー・ゲビア
Airbnb
それから12年後の2020年12月には、コロナ禍をものともせずにIPOを実現。今や時価総額は1000億ドルを超えている。
しかし、後にこれほどの巨大企業になるエアビーも、爆発的に成長する前の最初の1年間はずっとつまずいてばかりだった。シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルであるYコンビネータを通じて、成功に向けて試行錯誤していたのだ。
このとき共同創業者の3人は、同社にとって初となる資金調達のためにピッチデック(プレゼン資料)を作成した。エアマットレスをレンタルする会社として事業を始めようとしていた頃の、最初のピッチデックだ。
そこには、今や1000億ドル企業となった同社がどのように事業をスタートさせたかが示されている。このピッチデックが、やがて同社に30億ドル以上の調達資金をもたらすことになるわけだ。
そこで本稿では、気になるこのエアビー創業当初のピッチデックの内容を紹介しよう。
2008年の創業当初の社名は「エアベッド&ブレックファスト」だった
【スライド和訳】
当時、旅行者を家に無料で泊める「カウチサーフィン」のようなサービスはあったが、お金を払って民家に泊めるしくみは存在しなかった。そんなしくみがあればホテルより安く泊まれるだろう、と創業者たちは考えた。
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ソリューションは「文化の共有」。地元の人たちは、自宅の空いたスペースとエアマットレスを旅行者に貸すことで収入を得られる。
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競合となるサイト「Couchsurfing.com」のユーザー数はすでに63万人。ということは、このようなサービスに興味がある人は一定数いるということだ。
【スライド和訳】
これはまたとないチャンス。Yコンビネータを通じてエアビーに初めて投資したポール・グレアムは2009年、投資家仲間のフレッド・ウィルソンにこんなメールを書き送っている。いわく、「エアビーはイーベイと同様に化けると思う。創業者の顔ぶれもこのビジネスにおあつらえ向きだ」
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創業当初のエアビーアンドビーのウェブサイトはこんな感じだった。
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「大勢の人の興味を引きつけておきながら、収益性については後回し」というスタートアップが多いなか、エアビーには常に収益を上げる計画があった。取引ごとに10%の仲介手数料を見込んでいたのだ。
【スライド和訳】
エアビーに関する口コミを広めるための施策も立案。イベントの開催、予約サービスとの提携、すでに成功しているオンラインコミュニティ「クレイグスリスト(Craigslist)」の活用などだ。
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最大の競合相手はおそらくクレイグスリスト。Hotels.comもライバルになるだろうと創業者たちは結論づけた。
【スライド和訳】
エアビーのコンセプトには今や何の問題も見当たらない。競争優位性についても同社の考えはほぼ正しいことが分かった。サイトの使いやすさ、ブランド力、ホストにとっての魅力の高さといったあらゆる要素がエアビーを大きな成功へと導き、数十億ドルの収益につながった。
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