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無印良品、プラスチック飲料ボトルを「全撤廃」。実質値上げ覚悟で踏み切った理由

無印良品

無印良品のドリンク12種類のパッケージが、ペットボトルからアルミ缶に切り替わる。そこにある無印ならではの模索とは?

画像:良品計画

無印良品を展開する良品計画は4月22日、同社が販売する飲料ボトルをすべてアルミ缶に切り替えると発表した。

すでに5品目で切り替えが進んでいたが、今後は主力飲料商品「ノンカフェイン 黒豆茶」を始めとする12品目でも「脱プラスチック」を進め、全17品目がアルミ素材になる。

500→370mlの「実質値上げ」でも……

良品計画 執行役員 食品部長の嶋崎朝子氏

良品計画 執行役員 食品部長の嶋崎朝子氏。

良品計画の会見よりキャプチャー

「環境問題は『これだけですべて解決する』というものではない。ペットボトルだからダメ、というわけではなくて(アルミが)現在選択すべき素材なんだろうということで、切り替えを決定した」

良品計画 執行役員 食品部長の嶋崎朝子氏は、記者会見でこう語った。実際に、無印良品が苦悩しながら「プラスチック飲料全撤廃」を決定した様子が、そこかしこで伝わる会見だった。

アルミ缶を選んだ理由として、嶋崎氏は以下の3つの理由を挙げた。

  1. ラベルやキャップを分別する必要がなく、リサイクルしやすい
  2. リサイクル率が高い(97.9%)
  3. (遮光性などにより)賞味期限を伸ばすことができる

日本の使用済みプラスチック量は年間約900万トンとも言われる。このうち、8割以上はリサイクルされているとしながらも、実際にプラスチック製品として再利用(水平リサイクル)されているのはごく一部だ。その点、アルミ素材は水平リサイクル率が6割を超えていると、嶋崎氏は指摘する。

水平リサイクル:使用済製品を原料として用いて同一種類の製品を製造するリサイクルのこと。たとえば、使用済ペットボトルを原料として再びペットボトルを製造する。(環境省資料より抜粋)

その代償として、容量は「ノンカフェイン 黒豆茶」であれば今までの500ミリリットルから370ミリリットルと減少。他の商品もサイズは小さくなっている。連動して価格も100円から90円(商品同じ、ともに税込み)と下げたものの、消費者にとってみれば実質的な値上げとなった。

給水機設置も、マイボトルは「プラスチック」

無印良品

プラスチックでできたマイボトルは50万本が売れているという。

画像:良品計画

もう一つ、無印良品が水プロジェクトの一環として進めてきた取り組みが「飲料水の販売取りやめ」だ。

代わりに、マイボトルを持参すれば誰でも無料で使える給水機を店舗内に設置した。取り組みは2020年7月からスタートし、2021年12月末までには国内の全店舗460店舗への導入を予定しているという。

「(一部のデベロッパーからは)水が売れなくなるから設置をやめてほしいという声もあった、けれどやはり、無印にしかできない提案をしたかった。給水機の設置や環境ワークショップの開催などは、企業や行政、学校など社外にも取り組みを広げていきたい」

無印良品としても、マイボトルを販売しており、すでに50万本が売れているという。ちなみに、このボトルはプラスチック製だ。矛盾するのでは?との質問に、嶋崎氏はこう答えた。

「プラを削減するのに(ボトルは)プラなのか、と色々な方からご意見をいただいた。しかし、できるだけ色々な方に持っていただくため、持ちやすく軽くおしゃれなデザインにこだわった。素材はプラだが、水筒のように何度も使えるようになっている。店舗で回収も行なっている」

今ではESG(環境・社会・ガバナンス)と呼ばれる取り組みを無印は1980年の創業時から掲げてきた、これからもESGのトップランナーとして走っていく ── 。嶋崎氏は会見で改めてそう強調した。

「水の活動はすぐに売り上げにつながることではない。けれど今の時代、企業がなにを考えてなにをしているのか、お客様はとてもよく見ている。一緒にできる行動を提案していきたい」

サステナビリティやエコへの取り組みと、その目標と時に相反してしまうようにも見える目の前の利益。本当に「持続可能」なビジネスのあり方とは? 無印の模索は、今後他社も少なからず直面する問題を象徴している。

(文・西山里緒

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