三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による、海外金融大手からの人材引き抜き攻勢が止まらない。
JHVEPhoto/Shutterstock.com
日本の金融最大手、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、アメリカ債券市場における事業拡大戦略の一環として、ジョージ・ゴンカルベスをマクロ戦略の責任者に迎えたことを明らかにした。
ゴンカルベスは野村證券のアメリカ部門に2010年から9年間勤務し、2019年に退社。債券ストラテジストとしての個人活動期間をへて、2021年4月にMUFGに入社した。野村證券では、アメリカ金利戦略、債券戦略の責任者を務めた。
野村證券以前は、米銀メリルリンチ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーで債券アナリストあるいは金利ストラテジストとして実績を積み重ねてきた。
MUFGではニューヨークを拠点とし、債券市場の展望、市場戦略、トレードアイデアなどマクロ戦略全般の立案を担当。MUFG広報担当によると、アメリカの機関投資家営業部門を統括するマネージング・ディレクター、ジョン・カラベラスが直属の上司となるという。
野村證券などで金利戦略、債券戦略のエキスパートとして活躍してきたジョージ・ゴンカルベス(George Goncalves)。
MUFG
ゴンカルベスのマクロ戦略責任者就任は、MUFGが2020年10月に立ち上げたキャピタルマーケット(資本市場)戦略部門の強化が狙いとみられる。資本市場に影響をおよぼすマクロ経済の動向について、顧客向け資産運用アドバイス能力の向上がゴンカルベスの役割となる。
MUFGは従来、(比較的リスクの低い)投資適格債の取引拡大にフォーカスしてきたが、2020年以降、他の金融大手からのヘッドハンティングをくり返し、レバレッジドファイナンス部門やハイイールド部門の強化に取り組んでいる。
最新の動きとしては、米地銀リージョンズ・バンクからマイケル・クライン、投資銀行RBCキャピタル・マーケッツからキース・マレー、アンタレス・キャピタルからジョン・ティモニーという3人のシニアバンカーを採用。プライベートエクイティ投資会社のカバレッジ(営業)や法人向けダイレクトレンディング(直接貸付)の責任者に据えた。
それより以前のヘッドハンティングについては、以下の過去記事に詳しい。
MUFGは4月第3週、BNPパリバ、クレディ・アグリコル、みずほ銀行とともに、米メリーランド州で天然ガス焚き火力発電所を運営するCPVメリーランドに対し、3億7500万ドル(約400億円)のレバレッジドローン(=相対的に信用力の低い借り手への融資)提供を開始。同発電所には、日本から丸紅、大阪ガス、豊田通商も出資している。
[原文:MUFG hires former Nomura fixed income strategist as it ramps up its leveraged finance unit in the US]
(翻訳・編集:川村力)