「AirTag」の製品パッケージ。今回使ったのは4つセットのもの。
撮影:西田宗千佳
4月23日から予約が開始され、30日に発売される「AirTag」のレビューをお届けする。
今回、短時間のテストのため、しっかりとした「遠隔地での位置把握テスト」は、後日お届けする。
ここでは開封と部屋の中でのテストを中心に、解説していこう。
ライバルより若干高価、電源は一般的なボタン電池
テストに使ったiPhone 12 miniは、同じく4月30日発売の新色「パープル」。明るく春らしい鮮烈な色合いだ。
撮影:西田宗千佳
AirTagには1つで販売されるもの(税込3800円)と、4つセットのもの(税込1万2800円)がある。今回使ったのは4つセットだが、数以外に違いはない。他社の忘れ物防止タグが3000円未満で売られていることを考えると少し高め。しかも、ぶら下げるためのタグなどは別売だ。だから、オプションまで含めると「かなり高め」ではある。
しかし、仕上げは非常に良い。白いすべすべとしたボタンのようだ。
ふたは回すと簡単に外れて、コンビニでも売っているごく一般的なボタン電池「CR2032」が入っている。使い始めるときは開ける必要はなく、挟まっているビニールを引っ張るだけでいい。
電池は内蔵。交換式だが、カタログによれば1年以上持つという。
撮影:西田宗千佳
このままどこかに入れておいてもいいが、ぶら下げる場合には前述の通りオプション品が必要になる。今回は本体と一緒に「AirTagレザーキーリング(4500円)」と「AirTagレザーループ(5500円)」、「AirTagループ(3800円)」の貸し出しを受けている。
「AirTagレザーループ」と「AirTagループ」の外箱。かなり細長い。
撮影:西田宗千佳
レザーループとループのテイストはだいぶ異なる。好みが分かれそうだ。
撮影:西田宗千佳
レザーループをバックパックにつけてみた。くるりと通してボタンで止める。
撮影:西田宗千佳
「AirTagレザーキーリング」。キーリング部の実物の印象はかなり大柄だ。
撮影:西田宗千佳
「AirTag」のはじめ方・設定方法は?
使う場合には、iPhoneもしくはiPadを持っていることが前提となる。どちらも、今後公開予定の「iOS 14.5」もしくは「iPadOS 14.5」が必要になる。最初に使う時にはアップデートを促される。
また使用開始時は、アップルの他のBluetooth製品(例えばAirPodsなど)と同じように、iPhoneの画面に設定を促すポップアップが出てきて、そのままスムーズに設定できる。
最初の設定時には、自動的にポップアップが出て「接続」の設定ができる。AirPodsなどのアップル純正Bluetooth機器と同じようなユーザー体験になっている。
筆者キャプチャー
設定時にはそのAirTagをなににつけるのかを指定する。もちろん自分で名前をつけてもいい。その時には、地図上に表示するための「アイコン」も決める。
用途を設定(左)。自分で名前やアイコンを決めることもできる。
筆者キャプチャー
ここまでは、本当に何も難しいとことはない。設定が完了すればすぐに使い始められる。
まったく新しい「センチ単位」の探し物体験
探す場合には、iPhone・iPadに備わっている「探す」(Find My)アプリを使う。探すだけならウェブ経由でもいいのだが、「家の中でUWBを使って探す」場合にはアプリの利用が必須だ。
せっかくなので、一番の特徴である「自宅内での検索」をやってみよう。
「持ち物を探す」タブから、自分が設定した探したい機器を選ぶ。その時、緑色の矢印と「この周辺」という表示があったら、ごく近くにある印だ。タップしてみよう。
ここで「探す」に緑色の矢印と「この周辺」があれば、近くにある印だ。
筆者キャプチャー
すると画面のような表示になる。
新型iPhoneの短距離通信「UWB」を使って持ち物を探してみた。iPhoneにはこのような表示が出るので、方向や距離を手がかりに見つける。
筆者キャプチャー
これは、iPhone内蔵の短距離通信「UWB」を使い、AirTagと連携している証拠だ。AirTagがある場所との距離・方向を、センチメートル単位の精度で示してくれる。本当にかなり正確だ。
探し物がありそうな場所に向けてiPhoneを動かすと、正しい方向と距離になった時にわかりやすくブルっと振動する。机やソファの下など、ぱっと見にはわかりにくいところに置かれていたとしても、これなら気づけるだろう。
一般的なBluetoothだけを使う忘れ物防止タグでは、この精度は実現できない。
もちろん、音を出して位置を確認することもできる。AirTagにはスピーカーも内蔵しているからだ。両方を合わせて使えば、朝の忙しい時間に忘れ物を探すのも簡単だろう。
ただ、この機能は、セットで使うiPhoneの対応機種が限られる。UWB機能を内蔵する機種でなければならない。具体的には、「iPhone 11 Pro」「同 Pro Max」「iPhone 12」「同mini」「同Pro」「同Pro Max」などだけで使える。ここはちょっと残念だ。けれども、このためにiPhoneを買い換える価値がある、と思うくらいに便利ではあり、iPhoneの新たなキラーアプリケーションとも言えそうだ。
「あくまで荷物向け」でペットや子供の装着には向かない
もちろん、一般的なBluetoothを使った忘れ物防止タグと同じように、「家から置き忘れたものを見つける」機能もある。こちらも同じく「探す」アプリを使う。
「探す」アプリを使い、遠隔地にあるAirTagを探してみた。この精度チェックは別途記事をお届けする。
筆者キャプチャー
この精度については、近日中にしっかりとした実験記事を別途お届けする予定だ。
だが、ちょっと使ってみて改めて分かったのは、「AirTagはあくまで荷物用だ」ということだ。これは先に強調しておきたい。
位置のアップデートはリアルタイムではなく、数分に一度のようだ。荷物は勝手に動かないからこれでいいが、子供やペットは自由に動き回るので不向きだ。また、プライバシー保護の観点からか、移動「履歴」は一切記録されておらず、最後に位置が判明した場所だけがわかる。
これも荷物なら問題ないが、勝手に自分で動き回るものには不向きといえる。そうした特性を理解して使いたい、新たな忘れ物タグだ。
(文・西田宗千佳)