アメリカ東部の蜂蜜から比較的多くの放射性元素…50年代と60年代の核実験の影響は今も残っている

1954年3月1日、ビキニ環礁で150メガトン級の水素爆弾の爆発実験が行われた。

1954年3月1日、ビキニ環礁で150メガトン級の水素爆弾の爆発実験が行われた。

Ann Ronan Pictures/Print Collector/Getty Images

  • アメリカ東部で採取された蜂蜜に、放射性元素であるセシウム137の痕跡が見つかった。
  • これは、数十年前に行われた核実験に起因するという研究結果が出ている。
  • 人体への影響はないが、土壌汚染の「ホットスポット」を特定するのに役立つと考えられている。

最近発表された論文によると、アメリカの蜂蜜の中には冷戦時代の核実験に起因するセシウム137の痕跡が残っているものがあるという。

蜂蜜の汚染レベルは、人間に害を与えるほど高くはない。しかしこの研究は、核実験による放射性降下物が環境に及ぼす長期的な影響について多くの情報を提供するものだ。

蜂蜜に含まれる放射性物質の痕跡は、偶然発見されたものだった。

サイエンス・アラートによると、バージニア州ウィリアムズバーグにあるウィリアム&メアリー大学(W&M)の地質学者で、この論文の筆頭著者であるジム・カステ(Jim Kaste)は、春休みの課題として学生たちにナッツや果物などの食品の放射線を測定させた。

その結果、ほとんどの食品から検出されるセシウム137の痕跡はごくわずかなものだったが、ノースカロライナ州で購入した蜂蜜からは他のサンプルの100倍もの放射線が検出された。W&Mの公式サイトに掲載された記事によると、カステは「測定器が壊れたのかと思った」と述べたという。

ミツバチは、花の蜜を5倍に濃縮して蜂蜜を作る。つまり、植物が吸収した汚染物質も濃縮されることになる。蜂蜜は汚染の「ホットスポット」の特定にも使えるというわけだ。

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